⚽攻撃の圧力弱く失点に W杯コスタリカ戦 吉田光範氏/ドーハの悲劇で森保監督とボランチコンビ【元代表の視点】

 「ゴールに向かう積極性が不足していた」。サッカーワールドカップ(W杯)1次リーグ第2戦でコスタリカに敗れた日本代表に対し、ジュビロ磐田で活躍した元日本代表の吉田光範氏(60)は28日、課題を厳しく指摘した。吉田氏は1993年に日本が初のW杯出場を目前で逃した“ドーハの悲劇”で、森保一監督(54)とボランチでコンビを組んだ。今回のW杯開幕後もメールでやりとりする間柄で、「次のスペイン戦はいい決断をしてくれるはず」とエールを送った。

吉田光範氏
吉田光範氏


 初戦でドイツに歴史的勝利を収め、勢いに乗ったかに見えたが、守備を固めたコスタリカから得点を奪えず、一瞬の隙から失点した。吉田氏は「ボールを保持してもゴール前へのフリーランニングやドリブル侵入が少なく、慎重に行きすぎた。攻撃の圧力の弱さが失点につながった」と分析した。
 後半からW杯初出場を果たしたDF伊藤洋輝(23)=シュツットガルト、浜松市出身、磐田ユース出=については「バックパスが多く、攻撃の起点になれなかった」と指摘。元ブラジル代表主将で磐田の同僚だったドゥンガ(59)の言葉を引用し、「消極的なパスは相手に推進力を与えてしまう。攻撃陣に出すパスのタイミングと質を高めないと」と注文を付けた。
 ドイツ相手に世界を驚かせた森保采配もコスタリカ戦でははまらず、選手交代でチームに明確なメッセージを送れなかったが、「選手時代から探究心があり、仲間を理解して長所を尊重してくれた。監督としても選手を信頼したチームづくりができている」と評価。大一番のスペイン戦に向け、「化学反応を起こす組み合わせが重要。選手の不安を取り除いて戦術を整理し、目標のベスト8への物語を完結させてほしい」と期待した。
 
 よしだ・みつのり 1962年、愛知県刈谷市生まれ。ジュビロ磐田前身のヤマハ発動機に入団し、天皇杯優勝などに貢献。代表歴は国際マッチ59試合出場9得点。“ドーハの悲劇”が起きた93年のW杯アジア最終予選は主力だった。磐田のトップコーチ、ユース監督などを経て、現在は地元の刈谷市で次世代の選手育成に取り組む

 

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