⚽浜松から世界へ 伊藤奮闘、夢舞台 W杯カタール大会

 【アルラヤン=静岡新聞社特派員・市川淳一朗】ひた向きにサッカーに打ち込んできた先に、夢舞台が待っていた。ワールドカップ(W杯)日本代表DF伊藤洋輝(23)=シュツットガルト、浜松市出身、ジュビロ磐田ユース出=がコスタリカ戦に出場した。敗れはしたが「小さい頃から目指していた場所。自分のできるパフォーマンスを最大限できれば」と奮闘した。

日本―コスタリカ 後半、ボールをキープする伊藤=アルラヤン(共同)
日本―コスタリカ 後半、ボールをキープする伊藤=アルラヤン(共同)


 伊藤は後半開始からピッチに投入され、3バックの左センターバックに入った。相手を終始押し込む展開の中、積極的に敵陣に上がって攻撃参加。27分には持ち味の正確なロングパスを右サイドに通した。
 小学5年から所属した地元の蒲サッカースポーツ少年団では、すぐに10番をつける突出した存在だった。監督だった磯部聡さん(54)=浜松市東区=は「自分の思いがはっきりしていた子」と振り返る。地域の選抜メンバーにも選ばれ、毎日のように大好きなサッカーに汗を流した。
 小学生の頃の将来の夢は、「バルセロナでバロンドールを取りたい」。名門クラブで世界年間最優秀選手賞を獲得するという大志を抱き、中学、高校と成長を続けた。
 高校3年時の2017年にジュビロ磐田とプロ契約。しかし、加入から3シーズンは壁にぶつかった。行き詰まると、磯部さんの家に顔を出した。それでも、話す内容はサッカーのことばかり。決して気持ちはそれなかった。最後には「まあじゃあ頑張るか」と前を向いて帰っていった。
 いちずな思いは21年夏、ドイツ1部へのステップアップの道につながった。海を渡っても向上を求めて個人コーチを付け、サッカーにより集中する環境をつくった。結果として「今まで以上に成長した」という実感を得て、一つの目標だった舞台に到達した。

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