朝霧JAM in 富士宮 再生祝う熱いステージ

トランペットやバイオリンも交え、速いテンポの曲を次々演奏したボヘミアン・ベティヤーズ=9日、富士宮市の朝霧JAM会場
トランペットやバイオリンも交え、速いテンポの曲を次々演奏したボヘミアン・ベティヤーズ=9日、富士宮市の朝霧JAM会場

 キャンプと音楽がテーマの野外フェスティバル「朝霧JAM[ジャム]」(実行委員会主催)が8、9の両日、富士宮市の朝霧アリーナと周辺で開催された。2019年は台風禍、20、21年は新型コロナウイルス禍で開けなかった同フェス。4年ぶりの開催に、大小二つのステージで熱演が相次いだ。約1万人(主催者発表)が集まり、祭典の再生を祝った。
  photo02 軽妙な日本語も披露したファンタスティック・ネグリート
 大ステージの最終演者は両日とも日本のグループだった。朝霧ジャムでは8年ぶり。中堅2バンドが自らのファン以外も楽しませようと、フェス仕様の演奏で奮闘した。
 初日のテンパレイは出演キャンセルの英バンド「スピリチュアライズド」の代役としておはちが回ってきた。18年の初出演は小ステージの1番手だっただけに、開催中止期間を経て「大出世」を果たした格好。音源で聴かれる東洋的なフレーズやサイケデリックな音像は残しつつ、ベースが主導するロック寄りのサウンドを展開し、フロアを踊らせた。
 2日目のネバー・ヤング・ビーチは、雨と寒さが増す中「フーテンの寅さん」を意識したそろいの衣装で登場。トロピカルなギターフレーズを反復させる3~4分間のポップソングでたたみかけた。「明るい未来」「あまり行かない喫茶店で」など、フェスが好きな客なら耳なじみのある楽曲を満載したセットリストで盛り上げた。
  photo02 「君といつまでも」から「海 その愛」まで、代表曲を次々歌った加山雄三
 近年国内外で人気が定着したシティ・ポップの影響を強く感じさせる演者が多かった。ヨナヨナウィークエンダーズはボーカルとギターの磯野くんが滑らかなメロディーを操り、ヨナヲはAOR由来の穏やかな楽曲にボーカルの荒谷翔大がラップのスパイスを振りかけた。クリアなトーンのギターが、聴き心地の良さを増幅させた。
 英シンガー・ソングライターのアルフィー・テンプルマンもその一人だった。1980年代の雰囲気が漂うキラキラしたシンセサイザーの音色と、憂いを秘めたコーラスの和音にシティ・ポップへの深い愛情が感じ取れた。
 フェスの妙味である、音楽による文化の混交は各所でみられた。フランスのデュオ「ジ・インスペクター・クルーゾ」は骨太なブルースロックを基調にニール・ヤングの「ヘイ・ヘイ・マイ・マイ」をカバーしてみせ、ハンガリーの6人組「ボヘミアン・ベティヤーズ」は東欧ロマの音楽にハードコアパンク、スカを加味して興奮をもたらした。米シンガー・ソングライターのファンタスティック・ネグリートはスライドギターとオルガン、ファルセットが有機的に絡むモダンなブルースを聴かせた。
  photo02 ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌「Presence」も演奏したスタッツ
 日本勢では繊細なギターテクニックで破天荒な楽曲を表現した君島大空と、生演奏のヒップホップの魅力を提示したスタッツが観衆の心をつかんだ。最後のフェス出演となった加山雄三のステージは、代表曲のオンパレード。詰めかけた老若男女が「若大将」の雄姿を目に焼き付けた。

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