中小の知的財産保護・活用 INPITと金融機関、連携を加速

 独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)県知財総合支援窓口が、中小企業の知的財産権取得や活用促進に向け、県内金融機関と連携を強めている。このほど静清信用金庫と3例目の包括連携協定を結んだ。資金繰り支援を通じて取引先の新規事業を計画段階から知る金融機関とつながることで相談対応力を高め、地域経済活性化を図る狙い。

包括連携協定を結んだ三倉和彦事業責任者(左)と佐藤徳則理事長。INPITは金融機関との連携を強化している=静岡市葵区の静清信用金庫本店
包括連携協定を結んだ三倉和彦事業責任者(左)と佐藤徳則理事長。INPITは金融機関との連携を強化している=静岡市葵区の静清信用金庫本店

 協定は、独自技術などを持つ中小企業の情報を共有し、特許や登録商標などの取得・活用を促す目的。同金庫のほか、昨年11月に三島信金、今年4月に県信用保証協会も同様の協定を結び、今後も締結を予定する金融機関があるという。
 INPITが取引先企業の情報に精通した金融機関と組む利点は大きい。県知財総合支援窓口によると、昨年度に対応した支援は2831件。このうち、金融機関の紹介で支援した事例は21件にとどまる。グローバル化が進む中、技術の海外流出を防ぐには、新製品開発の当初から知財取得を見据えた支援を講じる必要がある。金融機関の協力を得られれば、早期に企業動向を把握し、支援の実効性を高められる。
 金融機関にとってもINPITは魅力的な存在。静清信金は「金融機関は専門技術の知識が乏しい。介在してくれると、取引先の強みを生かした経営戦略を提案しやすくなる」(経営相談部)と語る。
 同信金本部で行われた協定締結式で、佐藤徳則理事長は「INPITと地域の持続的成長を促していきたい」と話した。県知財総合支援窓口の三倉和彦事業責任者も「今後は手を携えて中小企業支援に貢献したい」と述べた。

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