“電撃訪問”成果なく 2年ぶり直接議論 川勝知事とJR社長【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線の工事を巡り、13日に県庁で行われた川勝平太知事とJR東海金子慎社長の2度目のトップ会談。金子社長による約2年ぶりの“電撃訪問”は、初回と異なる非公開で粛々と行われた。終了後に入れ替わりで取材に応じた2人は「直接話ができてよかった」と肯定的な受け止めを示したものの、県内区間の着工に対する両者の隔たりは埋まらず、具体的な成果は得られなかった。

JR東海の金子慎社長(左)と川勝平太知事(右)
JR東海の金子慎社長(左)と川勝平太知事(右)

 川勝知事は県内区間の工事について、政府が6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」と自民党の参院選公約、リニア建設促進期成同盟会の総会決議を挙げ、「大井川の水資源と南アルプスの自然環境を守るという本県の主張が共通認識になった」と強調した。水資源や環境の保全に向け、国の専門家会議や県の有識者会議での議論を重視する姿勢を示した。

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 金子社長は、川勝知事が主張した神奈川県駅(仮称、相模原市)―山梨県駅(仮称、甲府市)の部分開業について、「中間駅同士を結んだ部分開業は考えていない」と改めて否定。知事が8月に神奈川県駅の視察で指摘した関東車両基地の整備の遅れも「用地取得は5割ほど済んでおり、実際の工事は短縮できる」と説明し、あくまで静岡工区の着工遅れが開業時期に影響していると説明した。

 川勝知事は、JRがトンネル湧水の県外流出対策として示した東京電力田代ダムの取水抑制案について「水が戻ることを歓迎する」と伝え、大井川流域の首長の要望として静岡市道閑蔵線のトンネル整備も提案した。一方、金子社長は山梨リニア実験線の試乗を提案し、知事もこれを希望したという。

 会談を非公開とした理由について金子社長は「率直なやりとりをするための通常の方法」と説明。「(知事の発言は)私たちの考えとは違うので、直接会って話す意味は大きい」と知事との対話には前向きな姿勢を見せた。

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