静岡県「要対策土」盛り土認めず JR東海存置計画、変更不可避 リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事

 静岡県の難波喬司県理事は31日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事で発生する残土のうち、有害物質を含む「要対策土」を大井川上流部の藤島沢(静岡市葵区)に積み上げるJR東海の処理計画について、7月に施行した県盛り土規制条例を理由に「認められない」と明言した。JR東海は同工事で発生する要対策土の全量を藤島沢に盛り土して永久存置する計画を示し、条例施行後も維持しているが、大幅な変更を求められる。

リニア中央新幹線南アルプストンネル工事で発生する残土の処理計画について見解を述べる難波喬司県理事=31日午後、都内
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事で発生する残土の処理計画について見解を述べる難波喬司県理事=31日午後、都内

 同条例は要対策土の盛り土を原則禁止する一方、適切な措置が講じられていると知事が認めれば例外的に認める「適用除外」の規定を設け、要綱の中で盛り土ができる場所を「事業区域内」と定めている。
 難波理事は、都内で同日開かれたリニアの国土交通省専門家会議の後に記者会見し、「(工事箇所から)何キロも離れた場所に持って行く。適用除外の対象にならないというのが県の見解だ」と述べた。
 JR東海の金子慎社長は8月25日の記者会見で、適用除外を受けられるか「県と相談していく」と話していた。難波理事は適用除外について「抜け道を探すことが起きる」と懸念を示し、「厳格に(条例を)運用する必要があり、裁量をきかせるべきではない」と強調した。
 要対策土は自然由来のヒ素などの重金属を含み、汚染対策が必要とされる土壌。JR東海は南アルプストンネル工事静岡工区で約370万立方メートルの残土の発生を見込み、うち10万立方メートル程度が要対策土になると想定している。

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