越流前提の審査「かなり難しい」 浜岡原発防潮堤で規制委員長

 原子力規制委員会の更田豊志委員長は20日の記者会見で、新規制基準適合性確認審査が行われている中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)に関し、敷地前面にある22メートルの防潮堤のかさ上げなどをせず、(津波が防潮堤を越えて原発敷地内が浸水する)越流を前提に津波対策を議論する場合は「かなり難しい審査になるのではないか」との認識を示した。
 浜岡原発の審査を巡っては15日の会合で、プレート間(南海トラフ)地震単独の最大津波高を22・7メートルとする中電の評価を規制委側が了承した。最終的な「基準津波」を固めるには海底地滑りなどとの組み合わせ評価も必要で、数値がさらに高くなる可能性もある。
 更田委員長はこうした点を踏まえ「まだ基準津波が決まったわけではない。(22・7メートルは)小さな一つのステップ」と指摘した。
 防潮堤のかさ上げについては「あれだけの構造物の場合、簡単ではない」としつつ「高さを増すということになれば、大きな議論の焦点になる」とした。その上で「他の原発で基準津波の越流を前提に防護戦略をとってきた例はない。そういった議論をしようとすると、なかなか難しいことになる」と述べた。
 中電は越流に備えた多重の津波対策を、新規制基準の決定前から自主的に進めている。防潮堤のかさ上げは「まず基準津波の策定に注力する」として明言していない。

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