森と遊ぼう 浜松市浜北区・県立森林公園【わたしの街から】

 浜松市浜北区の県立森林公園。約215ヘクタールの敷地にはアカマツが林立し、さまざまな動植物が息づき、美しい鳥たちもやってくる。涼める木陰も水辺もあって暑い中でも散策を楽しめそう。車なら新東名高速道浜松浜北インターチェンジから約15分で行ける里山環境だ。さあ、夏休み。身近な自然を満喫しよう。 photo02 木々に囲まれた水辺で生物と触れ合う子どもたち=浜松市浜北区の県立公園  

自然体験「森っ子クラブ」 命に触れて 心を育む

  数組の親子連れが森林公園の職員たちの指導で親水池の水をすくったり、草花に触れたりして楽しんだ。県立森林公園で今夏も行われている未就園児、未就学児を対象にした自然体験活動「森っ子クラブ」。浜松市中区の伊藤潤君(5)は「ぬるぬるした生き物とかもいて楽しい」と笑顔で話す。父親の陽平さん(39)も「息子が最初は触れなかった虫も平気になった。市街地ではできない貴重な体験だ」と目を細めた。 
 森っ子クラブは夏から秋にかけての前期、秋から翌年春までの後期に分けた連続講座。名称を変えながら約10年続く。今期はモリアオガエルの卵探し、水遊び、落ち葉集めなどに取り組む。公園ビジターセンターの三輪照光事務局長(63)は「子どもたちに、自然の中でたくましくしなやかな心を育ませたい」と狙いを語る。 

 こうした自然体験を通じた幼児教育活動は北欧発祥の「森のようちえん」と呼ばれ、全国的な広がりを見せる。NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟によると、同連盟に加わる個人・団体は2009年の68から22年には319までに増加(県立森林公園は非加盟)。活発化の背景として、コロナ禍でも密を避けられるアウトドア人気の高まりや、幼稚園なども門の施錠が厳しく園外活動が減少し始めたことが考えられるという。同NPO法人の藁谷久雄事務局長は「物にあふれる時代だからこそ、自然とのつながりを必要とする社会全体の問題を反映している」と指摘する。 
 

夏には十数種が飛来 野鳥観察 まずは鳴き声から

 夏の森林公園には十数種の野鳥が飛来する。鳥たちの鳴き声を聞き、姿を観察するのも散策の楽しみだ。ビジターセンター「バードピア浜北」の自然解説員瀬下亜希さん(53)に、この時期に園内で観察できる鳥の特徴などを聞いた。 
  photo02    ■サンコウチョウ
 「ツキ(月)ヒ(日)ホシ(星)ホイホイ」の鳴き声から三光鳥とも表記されるサンコウチョウ。尾羽は30センチ近くまで伸び、目の周りの青色はアイリングと呼ばれる。

  photo02  ■キビタキ
 黒と黄色のコントラストが鮮やかなキビタキは「ポッピピリ」と軽快な節回しで鳴く。

  photo02  ■オオルリ
 魅力的な瑠璃色の目を持つオオルリは「ヒーリーリー、ジジッ」という澄んだ声から日本三鳴鳥(他はウグイス、コマドリ)に数えられる。


 観察は日の出30分後から午前9時までが適している。マダニに注意して肌の露出を避け、草むらには入らない。えさを探して飛び、枝に乗って子に与える姿も運が良ければ見られる。瀬下さんは「初心者は鳥の声を聞くことから始めよう」と助言する。
  photo02  

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