復帰50年 沖縄の矛盾、静岡県も関心を 「語る会」が写真展

 沖縄の実情を静岡県内の人にも知ってもらいたい―。県内の沖縄関係者でつくる団体「静岡・沖縄を語る会」は、そんな思いを抱きながら10年前の発足以来、地道な活動を続けている。15日の日本復帰50年の節目に合わせ、静岡市内で写真展を企画した。復帰後に発展した沖縄の歩みを振り返りながら、「在日米軍の状況は今も変わっていない」と日米地位協定や基地負担の課題を指摘する。

復帰50年に合わせた写真展で沖縄の歴史を振り返る「静岡・沖縄を語る会」メンバー=14日午前、静岡市葵区のギャラリー「集」
復帰50年に合わせた写真展で沖縄の歴史を振り返る「静岡・沖縄を語る会」メンバー=14日午前、静岡市葵区のギャラリー「集」

 団体メンバーは350人程で沖縄と何らかの接点のある県内在住者が大半。定期的な会報発行や講演会、街頭活動などを通じ、沖縄の現状を伝え続けてきた。
 写真展の名称は「沖縄復帰?50年」とした。米国の施政下だった沖縄を旅行した際、米軍の関係車両が子どもをひき逃げする事件が起き、衝撃を受けたという画家小野由紀子さん(75)=静岡市葵区=は、米軍関係者の飲酒運転事故や暴行事件が繰り返される現状に「本当に『復帰』と言えるのか」と疑問を抱く。「日本の法律で米兵を裁けない日米地位協定が背景にある。その矛盾を静岡県民に伝えたい」との思いが活動の原点にある。
 「当時の沖縄の道路は米軍が使う道以外はほとんど舗装されていなかった」と復帰前の沖縄を回想するのは顧問の建築設計業増田千次郎さん(76)=同区=。大学時代に家屋調査で何度も訪れた。「今は道路が良くなり、観光で経済が回るようになった。現地の人は基地問題がある中で復帰後、よく努力した」と感慨深げだ。
 20日まで開催する写真展では、復帰時の写真や地元新聞紙面とともに静岡県内の米海兵隊が沖縄に移った経緯などの説明文を掲示し、会場の一角に特産品も置いた。沖縄に6年間住んだ経験がある共同代表の富田英司さん(73)=同市清水区=は基地負担の深刻さに触れて「どんなことがきっかけでもいいので沖縄に関心を」と呼び掛ける。

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