障害児の子育て 先輩ママが支援 長泉町に療育塾開業

 「障害児を育てる後輩ママ、パパを助けたい」。長泉町納米里の白砂幸子さん(63)が、知的障害のある息子を育ててきた34年間の経験を生かした「親子療育塾」を開業する。日常生活に必要な基本的な動作や知識を子どもに教えるほか、親に対しても障害児への効果的なしつけ方などを助言する。

障害児の子育て経験を生かした療育塾を開業する白砂幸子さん=長泉町納米里
障害児の子育て経験を生かした療育塾を開業する白砂幸子さん=長泉町納米里

 白砂さんは28歳の時に次男純(あつし)さんを出産。生後1年ほどで難治性てんかん「ウエスト症候群」と診断され、知的障害があることが分かった。「入園させる幼稚園が見つからずに引っ越したり、8時間おきに薬を与え続ける必要があったりと苦労は多かった」と振り返る。熱心な療育のかいあって、現在純さんは隣町のスーパーマーケットに就職し、通勤も一人でこなしているという。
 40歳の頃からは県内の特別支援学級などの支援員として約20年働いた。「学校だけではフォローできない、家庭内でのしつけ方や悩みごとの解決にも力になりたいと思った」と塾の開業を決めた。
 塾は療育手帳を所有する小学2年までの子どもを対象に、期間は数カ月から1年ほどを想定。手洗いや着替え、時計の読み取りや計算など生活に必要なことを白砂さんが個々に合わせてマンツーマンで指導する。クリップを使って鉛筆の正しい持ち方を教えたり、バスの乗り方を動画で見せてから実践したりと純さんの子育てで学んだ工夫も凝らす。実演を見せることで親にも指導の参考にしてもらうほか、進学先の決め方や行政から支援を受ける際の手続き方法などもアドバイスする。「『障害があるからできない』ではなく『こうすればできる』を発見する場にしたい」と思いを話す。
 県手をつなぐ育成会によると、個人が療育塾という形態で支援する取り組みは珍しいという。小出隆司会長は「障害者の親になると、社会の少数派になり、自身の経験が通用しない子育てに大きな不安を抱える。仲間で体験を共有して不安を緩和し、子育てに希望を持てるような場にしていってほしい」と期待する。
 (東部総局・山川侑哉)

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 生徒を募集中
 現在療育塾の生徒を募集している。1コマ90分で、利用料は15コマ2万円。身体や精神障害のある子ども、小学3年生以上の児童についても相談に応じる。定員4人。問い合わせは白砂幸子さん<電090(3445)5651>へ。

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