​【「ストレンジシード静岡2026」開幕】11回目の「ストリートシアターフェス」。沼津市出身ひびのこづえさんのプロジェクトは必見!

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は3日に開幕した、静岡市葵区の駿府城公園、中心市街地を会場とする「ストリートシアターフェス  ストレンジシード静岡2026」を題材に。同フェスは4日、5日も開催。
(写真と文=論説委員・橋爪充)

11回目の「ストレンジシード静岡」。今年も静岡市内13カ所で18の演目やワークショップが毎日開催されるほか、ストリートシアターの担い手たちによるトークやパフォーマンスイベントなどが行われる。昨年も書いたが、この楽しく、とんがったパフォーミングアーツのフェスティバルが、静岡で開かれていることが実に誇らしい。

今年も初日の午前から各所を巡った。業務の兼ね合いで市街地の演目が見られなかったのは悔やまれるが、駿府城公園各所で目撃した4演目は、それぞれにタイプが異なる魅力的な内容だった。写真を交えて紹介する。

プラネタリウム演劇を標榜する「譜面絵画」の『LANDSCAPERS』は、劇団の紹介を見たら「演劇的想像力を介して誘発および展開するための作品」と書いてあったので、何だろうと思ったが、イメージの全てを観客に発想させる、ちょっと経験がない作品だった。観客はブルーシートの上に横になり、青空を見上げることを推奨され、スピーカーシステムから流れる弾き語りならぬポエトリーリーディングに耳を傾ける。そこで紡ぎ出される「カラス」と「ガラス」の対話は、まるで抽象画のよう。多くの人はあおむけで目をつぶり、自分なりの演劇的風景を創造していた。


沼津市出身のコスチューム・アーティストひびのこづえさんが主導するプロジェクトによるダンスパフォーマンス『Are You ALICE?』は、「不思議の国のアリス」をモチーフにした作品。中嶋美虹さん、猪野なごみさんという二人のダンサーがウサギ、クイーン、トランプの兵隊、チェシャ猫など、各種キャラクターを、ひびのさんの美しい衣装をまとって演じる。クラブミュージックとクラシック音楽、現代音楽が混ざり合ったような小野龍一さんの音楽に乗せ、躍動感にあふれたダンスを披露した。ダンサー二人は表情の演技も怠りなく、演目は終始開放感に満ちていた。最後は観客のほとんどが立ち上がり、ダンサーたちの振付を受け入れて踊った。長くストレンジシード静岡を見ているが、観客の「巻き込み率」は史上最高レベルだった。


角谷将視さん、濱口啓介さんによるフィジカルコメディデュオ「ゼロコ」による『ベンチ』は、駿府城公園内の4人がけベンチを舞台としたせりふなしの演目。見知らぬ者同士が反発し合いながらも、徐々に関係を深めていき、ついには大海原にこぎ出す。こんな壮大な話が、公園のベンチだけでできるなんて、という驚きが一つ。もう一つの驚きは、不確実性を込み込みで演じている点だ。公園だからいろいろな音がするし、いろいろな人がいる。くしゃみ一つ、観客のアクション一つも物語に取り込んでいく、即応性の高さに舌を巻いた。


香川県からやってきた現代サーカスカンパニー「うきも-project-」の『うきふね』は駿府城公園内の白砂の地面がむき出しになった場所におよそ8メートル四方の四角形を描き、舞台とした。四角形の中には100キロ以上あるという自然石を三つ配置。この領域内で金属製の輪「シルホイール」や白い大旗を取り入れた、極めて緻密な身体表現を披露した。和洋の弦楽器を中心とした音楽は荘厳そのもので、二つのシルホイールと、波打つ大旗が行き交う場面は息をのむほどの緊張感があった。
 
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■ストリートシアターフェス  ストレンジシード静岡2026
会場:駿府城公園、青葉シンボルロード、呉服町名店街など(静岡市葵区)
会期:5月4日(月・祝)、5日(火・祝)
観覧無料、一部予約制・有料の場合あり

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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