欠点が強みに変わったお茶「まちこ」
「まちこ」というお茶をご存じでしょうか?静岡市清水区で販売されているブランド茶で、香りをつけるフレバ-ティ-とは異なり、葉そのものからほんのりと桜葉の香りがします。
このお茶が注目されたきっかけは、30年以上前に遡ります。清水の山間部、両河内地域は清水を代表する茶産地。「水声園」の園主望月哲郎さんは、山間地に多い茶の病気「炭疽病(たんそびょう)」に強い品種を探していました。
茶農家の先輩からすすめられたのが「静7132」というお茶でした。この名前は品種ではなく、静岡県茶業試験場(現農林技術研究所茶業センター)で使われていた系統番号。望月さんは試しに日当たりの悪い場所に「静7132」を植えました。「初めて収穫した時は欠点だらけのお茶だと思いました。葉が硬く、太くて長いので製茶がしづらい。香りも独特だと思いました」。
「まちこは1年経過し、熟成するとより香りが強くなります」と話す望月さん。
当時は、特徴的な香味のある「静7132」はお茶らしくないと敬遠されていたそうです。栽培か製茶段階で失敗したのかと思った望月さんは、茶農家仲間に相談しました。みんなで茶を見ましたが栽培には問題がなく、仲間の一人が「香りが桜餅みたい」と言ったのです。その一言で望月さんたちは、個性的な香りが強みだと気付き、「静7132」は清水で生産が広がっていきました。桜葉の香りの正体は、桜の葉にも含まれる芳香成分「クマリン」。この成分が他の茶品種より多いため、桜葉の香りがします。
名前の由来はお茶摘みさんから
まちこの新芽は他の品種と比べて赤みのある色が特徴で、2番茶はより赤くなるそうです。
「まちこ」と呼ばれるようになったのは、望月さんの茶園に茶摘みの手伝いに来ていた方が「名前がないのはかわいそうだから私の名前をあげる」と言ったことが始まりです。「良いお茶を作ろうとすると、やらなければならないことがたくさんあります」と話す望月さん。仕事の原動力は喜んでくれる人がいるから。興津川上流に位置する両河内は、春になると川沿いに美しい桜が咲きます。ぜひ、桜の風景を目に浮かべながら、まちこを飲んでみてください。
お茶請けに清水名物「ちいちい餅」はいかが?

「ちいちい餅」は、主に旧清水市を中心に親しまれている大福餅。昔から法事の際などに食べられてきました。名前の由来は諸説ありますが、形がネズミに似ていることから、その鳴き声をとって「ちいちい餅」と名付けられたと言われています。別名「ちゅうちゅう餅」とも呼びます。
清水限定の和菓子と思いきや、他の地域でも、同じような形の餅菓子が別の名前で呼ばれているそうです。和菓子店・竹翁堂(清水区入江)の2代目植手信子さん(現在は息子さんが3代目を継承)によると、東京出身の先代である父親から「東京ではハト餅と呼ぶんだよ」と聞いたそうです。所変われば呼び名が変わるとは面白いですね。
「ちいちい餅」を、新茶と一緒に味わってみてはいかがでしょうか。
※シミズ毎日4月26日号を一部編集し掲載しています。









































































