​<秋季高校野球静岡県大会> 御殿場西、守備型優位の秋に超攻撃野球目指す 振り切った方針で2回戦突破 大切なのは「御西らしさ」

9月15日、草薙球場で行われた秋季高校野球静岡県大会2回戦で、御殿場西が静岡商に4―1で勝って3回戦進出を決めた。

静岡商
000 000 010=1
200 020 00x=4
御殿場西

「秋としては一番ありえない練習をしてきました」
そう切り出した御殿場西の竹内健人監督。

通常、新チームが発足したばかりで迎える秋の大会は守備をいかに仕上げて臨むかに重点を置き、守り勝つ、負けない野球が優位とされるが、竹内監督は「(8月30日の県大会予選上位校決定戦で)沼津東に負けてから、トレーニングとバッティング練習しかしていません」と明かした。

「御西らしさが足りない」

県予選で選手に感じた「御西らしさが足りない」というのが理由だ。元気がない。周囲にもそう指摘された。それが一番気になった。
犠打なし、フルスイングが御殿場西の真骨頂だが、バッティングにも迫力がない。「捉えても(打球が外野の頭を)越えていかない。県予選で前進守備をされたんですよ。屈辱でしたね」

思い切った選択

そこから、バッティング練習とトレーニングに絞るという思い切った選択をした。
「ほかのチームはその代の力量によってどういう野球をやるか考えると思うけれど、うちは御西の野球をやりたくてきている選手たち。力がないからと諦めるのではなくて、いかに御西の野球ができるか、そこにたどり着くためにはごく普通の選択」

ナイスゲーム

静岡商との2回戦を前に、指揮官は「とにかく今日は御西らしい野球をやろう。負けても御西らしさが出ていればいい、勝っても御西らしさがなければ駄目だ」と選手に告げた。
結果は長打2本を含む8安打4得点。
「いい表情で入っていましたし、失敗を怖がらずに振りにいっていた。ミスもあったけれど、どんどん仕掛けていた。勝ったからではなく、ナイスゲームだったと思う」と及第点を付けた。

〝弱さ〟を自覚

リードオフマン小沢一貴内野手は新チームで唯一、夏からのスタメン。
「前のチームは点が入るたびに盛り上がって、1試合トータルで元気があったんですけど、今は相手に流れがいったらどんどん下がってしまう」と自分たちの〝弱さ〟を自覚している。

1試合ごとに成長

「秋は勝ちにこだわらない。 チームに力がない中で1試合1試合成長することが大事。夏に結果を出せるようにやっている」と小沢選手。「トレーニングでパワーも付いてきて、打球の飛距離が変わってきた。振る力が付きました。お客さんに『御西野球っていいな』と思われるのが一番。御西らしさを今日は見せられたと思う」と胸を張った。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)

<取材後記>
竹内監督は囲み取材の終わりに「夏頑張ります」と敗戦の弁のような言葉を残しました。決して秋を軽んじているわけではなく、「(今の力で勝てるほど)甘い世界じゃない」と考えていて、この時期に調整するより追い込んだ練習をした方が最終的に目標に到達できるという判断でした。もともと守備、走塁の意識、こだわりが強く、日頃から鍛えられているからこそ、振り切った選択ができるのだろうと思います。この日は守備、走塁でも「さすが御西」と思わせてくれるいいプレーが出ていました。

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