​<秋季高校野球静岡県大会>富士宮西、強豪私学にあと一歩及ばず  八回まで1―0リードも常葉大橘に逆転負け

秋季高校野球静岡県大会は9月14日、ちゅ~るスタジアム清水で行われた1回戦で、富士宮西があと一歩まで常葉大橘を追い詰めたが勝利には届かなかった。八回まで1―0でリードしたが、最終回に反撃を受けて5失点。延長十回タイブレークで敗れた桐陽との県大会予選と同様に終盤に粘り負けを喫し、吉田創哉主将は「力不足。チャンスに打てていれば流れも変わったと思う。いい勝負じゃなくて、勝ちたかった」と言葉に悔しさをにじませた。

常葉大橘
000 000 005=5
000 010 000=1
富士宮西

好機はつくったが

強豪私学を相手に、真っ向勝負を挑んだ。
まだ打線に厚みがない分、犠打を絡めて2死二塁、2死三塁の好機をつくるまでは良かったが、あと1本が出ない。古殿和彦監督は「九回は流れもあるので仕方ない。(その前に)しっかり勝負するところで勝負しきれないとこうなるのかな」と残念がった。

八回まで無失点、九回に暗転

1年生エース村松倫太朗投手が好投し、試合をつくった。八回までは要所を締めて無失点。ところが九回、先頭に三塁打を許すと受け身に回ってしまった。
「八回までは打たれても気持ちに余裕があったのに、(橘の)最後まで諦めないプレッシャーを感じた。勝てる未来が見えていたのに」と村松投手。

球速は120キロ台ながら制球良く直球と3種の変化球を操った。投球術も巧みで、打者のタイミングをずらしながら、八回まで5安打無失点に封じた。
今夏の静岡大会でも2試合に先発。着実に経験を積んでいる。「橘相手にここまで投げ切れたのは収穫。あそこで打たれても動じないような気持ちをつくっていきたい」

「相手の雰囲気にのまれた」

日野景都捕手は俊足ぞろいの橘の盗塁を2度阻止して、1年生エースを助けた。
「(村松)倫太朗がいつも通りテンポ良く投げてくれた。九回に格段、倫太朗のピッチングが悪くなったわけじゃない。あの(九回の)スリーベースから(相手の)流れが始まってしまった。桐陽戦もそう。終盤の詰めの甘さ、チーム全体で粘れない、相手の雰囲気にのまれてしまった部分があると思う」と反省した。

チームの目標はベスト8。日野捕手は「どんな組み合わせでも(ベスト8に勝ち上がるまでに)私学は絶対に入ってくる。倒さなければいけない相手。いい試合をして満足はできない」と肝に銘じる。

もう一つ上を

1987年春の選抜に出場し、その後も優勝候補を脅かすダークホース的な存在として異彩を放ってきた富士宮西。ただ近年は競技人口減少の影響もあり、なかなか県上位に食い込むことができていない。
2年生5人、3年生8人と一桁人数で推移してきたが今春、久しぶりに1年生12人と二桁人数の入部があった。村松投手を筆頭に中学硬式野球の富士シニアから4人が加入するなど〝追い風〟が吹いている。「もう一つ上を目指せるところまで来ている」と言う古殿監督は「数少ない上級生に頑張ってほしい」とハッパをかける。

誰でもできることを本気で

チームのテーマは「誰でもできることを誰にもできないくらい本気でやる」。

吉田主将は「冬にもっといい雰囲気をつくって。チャンスで必ず打てるチームにしたい。守備でも取れるアウトを必ず取る、それを確実にして冬を乗り越えていきたい」と誓った。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)

<取材後記>
富士宮西高の副部長(コーチ)として、静岡高OBで2014、15年に3季連続の甲子園出場を果たした黄金世代の内村杏輔さんが指導に入っています。「(強豪から見て)絶対に勝てると見ている相手がどういう風に戦ってきたら嫌か」ということを選手に伝え、準備に生かしているそうです。「2年くらい前は私学にコールド負けしないというところに(目標を置いて)いた。そこから変わってきて、今は私学に勝てるところが見えてきている。九回やるだけでは満足しない段階に来ていると思う」と話します。秋の公式戦は終えましたが、10月にも強豪校との練習試合が組まれているそうです。

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