
J2藤枝MYFCは8月2日、ホームでレノファ山口と対戦し2−2で引き分けました。勝って勢いに乗りたい中断期間明けの初戦でしたが、惜しくも勝ち点3には届かず。チームには負けなかったことよりも、勝てなかった悔しさが漂いました。須藤大輔監督、選手たちが試合を振り返りました。
須藤監督「点を取った後の立ち振舞いが納得いかない」
―試合の総括を。中断明け一発目。何が何でも勝ち点3が欲しかった試合でした。1点を取るまでは、本当にわれわれらしいアグレッシブな、攻守において相手を上回るサッカーができたのかなと思います。ただ1点を取ってから弱気の虫が出てしまったのかなと。
整える守備をやるのであれば、全部つぶさなきゃいけない。後ろで守ってしっかり跳ね返して、セカンドボールを拾って攻撃に転じていかなければいけないが、整えているのにつぶせない、拾えない、相手のボールになる。セットプレーからやられる。その後も受けに回ってしまった。
今の順位を考えると、相手は下のチームです。われわれが上のチームとやる時の雰囲気で、今日の試合は相手を受けてしまったのかなというのはあります。何が何でも勝ち点1をまずはしっかりキープしながら戦っていこうという、相手に対して受けに立った瞬間、こういうゲームになってしまう。非常にもったいない前半を過ごしてしまったなと思います。
ハーフタイムでは少し活を入れました。「こんなのはサッカーじゃない。われわれが目指しているサッカーはもっとアグレッシブに、リスクを負って、勝負を仕掛けていくサッカーだよ。攻守において、もっと能動的にやりましょう」と。そしてスイッチを入れたかったので2枚を代えて臨みました。それが実ったかは分からないのですが、しっかり点を取ったところまでは良かったのかな。
強いチームならそこから畳みかけて、ひっくり返すということができたと思います。ということはまだまだ力不足かなと。ただ、こういうゲームをしっかり追い付けたというところは、一定の評価はできるのかなとは感じますけれども、私の今の感想としては、もったいない前半を過ごして、そのつけが後半に回ってきてしまったのかなと。
最後まで戦ったし最後まで走り抜いたという戦いは評価できますが、このような形にならないようにしなければいけないゲームでした。後半戦に向けて、もう後がない状況です。もっと一つのプレーにこだわりを持つ。攻めのこだわりを持って戦っていきたいなと思っています。

―決めきることを焦点としていた中で2得点。だが監督としてはまだまだ取れたという感覚か。
1点を取った後の立ち居振る舞いが僕は納得いかない。もっといかなきゃいけなかったのかなと思います。あれで失点をして、さらに2失点をして、それでも火がつかなかった前半。そこに僕はクエスチョンがつきました。
ただその後、しっかり1点を取った。足りないのはそこからです。複数得点したから良いではなくて、取り方というのに問題があったのかなと。どのようなフェーズで得点の流れになっているのかを考えると、全くもって足りなかったという印象です。
だから失点をゼロにするというのももちろんそうですが、2点取られたら3点取る、3点取られたら4点取るぐらいの気持ち。その部分が圧倒的に足りなかったと思います。殴られて殴られっぱなしで、次の一手が出ないような状況になっていたので、それではサッカーじゃないという話はしました。もう一度奮い立たせるようなサッカーをしていきたいと思っています。
―後半から入った榊原選手が良い動きを見せていた。
本当に前線をしっかりかき回せていたと思います。ただやはり(シュートを)打てるところで打っていないという場面がありました。(榊原)杏太以外の選手もそうです。シュート数が多分少ないと思います。
あれだけ押し込んでいるのであればシュートで終わるとか、シュートがクリアされてスローインやCKで終わるというシーンがもっと増えなければいけないのかなと。前線の選手はもっと貪欲にシュートで終わっていきたいなと感じています。

―1点取った後に畳みかけられなかったのは、余裕がなかったからか。
逆に余裕ぶったのかなと僕は思います。楽をするまではいかないですが、うまく守ろうとしている。うまく守れれば良いのですが、それで押し込まれて息ができなくなっていました。守備のアグレッシブさが全くなくなったので、それが尾を引いて失点してしまったのだと思います。
―2−2から勝ち越し点を取れなかったのは何が足りなかったか。
シュートです。明らかにゴールへのプレー。混んでいるところに飛び込んでいってるというところが明らかに見えました。リトリート(自陣へ引いて速やかに守備陣形を整える戦術)の相手を崩すにはいろんな方法があると思います。そこの視野が狭くなって、ゴールへの直線的なプレーに終始してしまった部分がありますから、もっといろんなパターン、コンビネーションを発動していきたい。加えて、攻めにいってカウンターを食らうシーンもありましたから、そこもリスク管理はしていかなければいけないです。
―中断期間での修正点はどのぐらい出せたか。
2割から3割ぐらいです。僕の率直な感想ですが、そのぐらいしかできていないのかなと思います。
攻めの形はすごくできている部分もありましたが、まだまだ足りないし、相手は怖くなかったと思います。逆に相手の攻撃の方が単純ですが怖かった。怖さを与えることは前半戦からの課題ですから、その意味では全く足りなかったです。
そして守備の甘さも出ています。ゴール前の攻防は後半戦のポイントとして準備してきました。そこでやられていますから、全然足りないです。これをどう捉えるか。2−2で引き分けてOKとするのか、全くできていないと捉えて次の秋田戦に奮起していくのか。それが試されるのかなと思っています。
公式戦3戦連続弾となる先制ゴールを決めた浅倉廉

―公式戦3戦連続のゴールとなった。
連発できたことは良かったのですが、この試合だけで見たら、3点ぐらい取れたと思うので、まだまだだと感じます。
―良いボールが中川風希選手から入りトラップからのシュート。イメージは。
あそこに走り込むことが今までの課題でした。あの場面で風希選手が持った時に、角度や目線的に難しいかなとも思ったのですが、来ると思って信じて走り込んだことが得点につながったと思います。
―直近3ゴールは前半で奪った。決めきる部分は手応えがあるのでは。
前半から勢いを持って点を取ろうというのが藤枝のサッカーなので、たまたま自分が取れましたが、チームとして取れたのが良かったと思います。
―後半、追い付いた後に勝ち越し点が遠かったのは何が足りなかったか。
まずは2失点をなくすことが一番ですが、してしまったので、後半は前からいこうと。そして早い時間で点を取れたことはチームとして成長した部分だと思います。でももっと上に行くためにはあそこから1点を取らないといけないです。自分もあそこで点を取れる選手になりたいので、まだまだです。

―もっと強引にでも足を振った方が良いという感覚か。
相手に当たって入るということもあるので、チーム全体としてもどんどん打って良いのかなと思います。
―監督は先制後に前から守備にいかなくなってしまったと言っていたが。
1点入ってから少し受けに回ってしまった感じもありました。あとは暑さや中断明けということもあり、きつさもありました。でもそこは個人の課題でもあるのでまたしっかり準備をしたいです。
―榊原選手との良いコンビネーションもあった。
彼はめちゃめちゃうまいですし、彼からの良いパスがあって決められればという場面もありました。でも公式戦で長い時間一緒にできたので、次につながりそうです。
―髪の色が黒になった。いつイメージチェンジを。
試合の前々日です。髪を染めるのが面倒で、地毛を伸ばそうと思ったのですが全然伸びなかったので諦めて黒染めました。黒も良いなと思って変えましたが、思ったよりも真っ黒になりました。
プロキャリアをスタートさせた古巣山口に恩返し弾を決めた楠本卓海

―試合の感想は。
勝たなければいけない試合でした。
―守備面は、中断期間で準備してきたことは出せたか。
結果だけ見たら出せていないです。天候や暑さは少なからずありましたが、それは相手も一緒です。やらなければいけないことが中断前のリーグ戦ではできていたのですが、天皇杯の広島戦ではゴール前の守備で課題が残った。そこを中断期間にチームとして見つめ直してきましたが、今回は2失点という形になってしまいました。1点は仕方ないのかもしれませんが、2失点してしまったということはまだまだできていないことがあると思っています。
―古巣相手に特別な思いはあったか。
プロキャリアをスタートさせてもらったクラブで、4年間も在籍していたのでもちろん思いはあります。しかし今は藤枝の選手なので、全てを藤枝に捧げる気持ちでやっています。
―同点弾のシーンを振り返って。
あのような2次、3次攻撃での得点は自分自身、狙ってるところもあります。一発で叩けなかった時の相手の目線やボールの位置を見つつ。あのシーンでは大外にボールが来たら点を取れると思っていて、来たので枠に飛ばせば入るという感覚で蹴りました。
―恩返し弾になった。
純粋にうれしかったです。
―後半のスタートで引き分け。位置づけは。
守備の人間なのでゼロに抑えて勝てれば良かったのですが、そうはできなかったので全く良いスタートダッシュではなかったです。でもくよくよしていても仕方がないので、今回起こってしまったことを次にやらないために、またチームで積み上げていきたいです。
移籍後リーグ戦2試合目の出場で存在感示した榊原杏太
―個人的な手応えは。アシストという形で結果を残せた点は良かったのですが、その後に何度かチャンスある中で、自分がもっとシュートを打っていたら、という展開でした。
―アシストの場面は奥にいた楠本選手が見えていたか。
見えていなかったのですが、ファーに蹴れば誰かいるかなと思い、感覚で蹴りました。
―この試合はシャドーで出場。自身としては右の方が良いか。
右がやりやすいです。左足が強みなので、カットインなどで右側の方が生かせると思っています。
―徐々に周りとコンビネーションが合ってきてる感じがする。
自分の特徴も周囲の特徴もお互いに分かってきているので、あとは最後のところで合わせるだけだと思います。
―今回はシュートかという場面でのパスもあった。
もっとシュートを打った方が良かったと思います。より確実にと思ってしまいましたが、もっと強引にでも打っていけば良かったと感じます。
―今後に向けて。
チームが勝てるように頑張りたいです。