静岡の伝統工芸が体験できる匠宿

江戸時代まで宿場町として栄えた静岡市丸子にある「駿府の工房 匠宿」では、地域の伝統工芸体験を始め、工芸品の購入ができます。
全国から工芸好きが通うほどリピーターの多い匠宿の人気の理由は、どの体験工房にも職人がいて、ものづくりの制作現場を兼ねて実演をしている上、同じ場所で体験できるところにあります。また、作ったものが日用品として使えるところも人気の秘訣です。

筆者は、工芸品は高くて取扱いが難しく、手に届きにくいものと先入観を持っていましたが、1000円台から体験可能な竹千筋細工体験の意外なお手頃価格と、簡単なのに美しい逸品ができあがることに、匠宿で工芸品のイメージが変わり、日用品としての工芸品のトリコになりました。

工芸品の展示と販売は「ギャラリーTeto Teto」

そんな日用品にも使える工芸品や民芸品を多く取り扱うのが施設内の展示販売がされている「ギャラリーTeto Teto」。各工房の工房長が作った竹千筋細工、お茶染め、駿河漆器など静岡ならではの品々を始め、ギャラリーTeto Tetoの店長・酒井恵さんが個展や展覧会などへ回って実際に手に取ってセレクトされた品々が並んでいます。
工房で作られた作品

常時販売されている各工房で作られた工芸品は、竹千筋細工の籠や花器、お茶染めのされたてぬぐいや名刺入れ、静岡県内の土で作られた陶芸など、ここでしか手に入らない作品が多く並んでいます。
セレクトされた全国各地の工芸品

各地よりセレクトされた作品には、水引が素材のアクセサリーや、日本の技術と伝統が盛り込まれたマッチと一体型のお香など、珍しいものが並びます。手作業で丁寧に作られた、ガラスや陶器などの希少な品々。店長がこだわり抜いてセレクトした品は、どれも展示販売に選ばれた理由が伝わるものばかりです。
約1カ月で変わる展示販売

常時展示販売されている作品に加え、1カ月単位で変わる企画展示販売も開催されています。現在開催されているのは創業明治13年の埼玉県の帽子屋さんの「田中帽子店の夏の帽子展」で、ラフィアや麦わらなど天然素材にこだわり、一つ一つ手作業で作られた帽子が、7月下旬まで販売されています。
帽子展の後は、8月8日からは匠宿伝統工芸館の展覧会「お茶染めWashizu.展」にちなんだ作品の販売、8月9日からは「うなぎの寝床のモンペ」の展示販売が行われます。
ギャラリーTeto Tetoの後はカフェ「HACHI&MITSU」で一服

施設内のカフェ「HACHI&MITSU」には、毎月変わるマンスリーランチや地元の養蜂場で作られたはちみつを使ったスイーツなどを味わえます。午後3時から注文できる「至福のはちみつチーズケーキ」は、はちみつをたっぷりかけて食べられる贅沢な一品です。
マンスリーランチは、メインのプレートに副菜、デザート、ドリンクがついて人気のセットです。7月のマンスリープレートは「花椒香る冷やし豆乳担々麺」。花椒のほんのり痺れる辛さがアクセントで、ひんやり濃厚な豆乳スープが麺とよく絡み、暑い日でもお箸が進みますよ!8月のメニューもお楽しみに。

徳川家康が虫の羽を傷つけないための虫かごのために考案された竹千筋細工、お茶産業が盛んな静岡だからできたお茶染め、日常から生まれた伝統工芸を日用品に取り入れたいと思う筆者でした。
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■駿府の工房 匠宿
住所:静岡市駿河区丸子3240-1
電話:054-256-1521
営業時間:10:00〜19:00(店舗によって営業時間は異なります)
休館日:月曜(祝日の場合は営業、翌平日休館)