
「見ていただけるとわかるんですが、きょうは一人でやります。飽きさせない自信はあるんですが」とのMCで幕を開けたライブは、2010年にブラジルの音楽家、イヴァン・リンスと共作したアルバムの代表曲でスタート。
主題のメロディーを吹き、ベース、カウンターメロディー、ソロと重ねていく。音程の調整が難しいトロンボーンを使って、いわば「一発録り」で和音をつくり出す技術に惚れ惚れする。即興で編曲し、音の強弱、高低、長さを寸分の狂いなく演奏している。「ベースまでは決めておいたけれど、あとは全部適当です」というMCにも驚かされた。その後も自身のオリジナルや、ジャズ、洋楽の有名曲を次々披露した。

秋口に静岡市内で大きなコンサートを二つ控える。「今日はプロモーションのつもりです」という言葉とは裏腹な濃密な演奏の数々。希代のトロンボーン奏者の尽きせぬ創作意欲が伝わった。
(は)
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■富士山静岡交響楽団特別演奏会
「Playsガーシュイン vol.12 村田陽一凱旋コンサート with 静響ポップス・オーケストラ」
村田陽一(指揮・編曲・トロンボーン)
<村田陽一カルテット>林正樹(ピアノ)、納浩一(ベース)、渡嘉敷祐一(ドラムス)
日時:10月17日(金)午後7時開演
会場:静岡市清水文化会館マリナート(静岡市清水区島崎町214)
入場料:全席指定一般5000円(当日5500円)、学生2000円(25歳以下の大学生まで) ※未就学児入場不可
■「村田陽一ビッグバンド」ライブ
村田陽一(リーダー、トロンボーン、作編曲)
吉田治(アルトサックス)、鈴木圭(同)、小池修(テナーサックス)、竹野昌邦(同)、山本拓夫(バリトンサックス)、西村浩二(トランペット)、奥村晶(同)、佐瀬悠輔(同)、二井田ひとみ(同)、鹿討奏(トロンボーン)、東條あづさ(同)、山城純子(同)、松本圭司(ピアノ)、養父貴(ギター)、納浩一(ベース)、渡嘉敷祐一(ドラムス)、岡部洋一(パーカッション)
日時:11月15日(土)午後4時半開演
会場:グランシップ(静岡市駿河区東静岡2-3-1)
入場料:全席指定一般6000円、子ども・学生1000円(28歳以下の学生) ※未就学児入場不可