【PILIPILI(ピリピリ)】沼津のエスニックレストラン!多国籍な家庭料理を普段着で楽しむ

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ベトナム風生春巻きにタイ風グリーンカレー、ケニア風サモサも手頃な値段で楽しめる!レストランテPILIPILI

異国情緒溢れる外観
 

多国籍料理のレストランテ『PILIPILI(ピリピリ)』は、沼津駅北のリコー通りを東に少し入った沿道にある。甘辛みそダレで食べるベトナム風生春巻、コロッケに似たケニア風サモサ、歯ごたえのいいメキシカンタコスなどの家庭料理を手ごろな値段で堪能できる。

サンタフェ風の外観から若者向けのこじゃれた店かと思いきや、オーナー夫妻の人柄どおり、誰もがかしこまらずに普段着で異国料理を楽しめる場所だった。

ベトナム風生春巻

ケニア風サモサ
 

元グラフィック・デザイナーの渡部幸彦さんと南伊豆の旅館の娘でコックだった妻の恭子さんが沼津に同店をオープンして早28年。幸彦さんは「若いころはお金が貯まると年単位で休職し、メキシコ、コロンビア、アフリカなどを放浪した」という経験豊富なバックパッカー。恭子さんはトライアスロンが趣味で、山ならヒマラヤが合言葉、欧州などを徒歩や自転車で旅したことがあるという。

店内を見渡すと、中南米などの色鮮やかな絵皿、素朴な木彫りのオブジェ、古布、アフリカ絵画のティンガティンガが飾られている。実際に料理に使用するのはメキシコで買いつけてきた陶器皿だ。

赤と白のギンガムチェックのクロスがかかるテーブル席で食べていると、陽気なマリアッチのリズムなどが小さなBGMで聞こえて楽しい。

居心地の良い店内
 

平日ランチはサラリーマンやOL、土日は昼も夜も幅広い年齢層が訪れる。インドカレーを好んで注文する小学生もいるそうだ。メニューは多種あり、チキンのガーリック焼き、マレーシア風骨付きチキンカレーなどのほか、スパゲッティボロネーゼなどお馴染みの料理でも一味違った美味しさ。ランチや単品料理のほかにコースもある。

スワヒリ語で唐辛子を意味する『ピリピリ』から、スパイシーな辛さを連想するが、味付けはほどよく、塩分はひかえめ。取材時はタイ風グリーンカレーをいただいたが、メキシカンブルーが鮮やかな陶器皿には、鶏肉、ざく切りのパプリカ、ナス、玉ねぎなどの具がたっぷりと入っていて、野菜のうまみが煮込まれたココナッツミルク風味の辛さはクセになりそうだった。

タイ風グリーンカレー
 

旅先で出会った人々から調理法を伝授された幸彦さんは、「海外の家庭に居候したときなどに教わったんです。当時メモしたレシピノートがこれです」と、古びた一冊を見せてくれた。青年時代の貴重な一人旅の記録が料理のレシピだなんて!そして今でも再現できるなんて!とてもうらやましく思えて、コップの水を一口飲んでからじっくりとのぞかせていただいた。

料理名、材料、手順がペン書きの絵と文字で詳細に記され、それらは幸彦さんの青春の宝物だろう。そうしたレシピとはまた別に、「料理修業や買いつけのために中南米などを訪ねてもいる」との話もきいて感動した。

旅先で記したレシピノート
 

エスニック料理に詳しくなければ、接客をおもに担当する恭子さんに尋ねながらメニューを決めたらいいだろう。その恭子さんが各国を旅して感じたのは、「美味しい飲食店がたくさんある日本だけど、各国の本当に魅力的な料理を取り揃えて提供すれば、お客さんに何度でも足を運んでもらえるお店にできるのでは」という思いだ。

じつは東京の有名インド料理店『アヒリヤ』は恭子さんの義兄が経営しているそうで、そこから仕入れる上質なスパイスも使っている。

この日は子育てを終えたと思われるご婦人グループのほか、一人で食べに来た男性客が数名、各自くつろいでいた。友だちや家族、一人でも、こじんまりした店だからこそ落ち着ついて食事ができる。旅好きのご夫妻との出会いが、味な世界を広げてくれる。

(ライター/佐野一好)

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■レストランテPILIPILI(ピリピリ)
住所:沼津市北高島町4-35

Face to Faceは富士・富士宮・沼津で発行している地域月刊新聞です。記事に登場するのは、あなたの街にいるかもしれない「ふつうの人」。地域に暮らす人々が共感できる、十人十色の物語を伝えています。

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