「悪さの割合を決めてくれ」熱海土石流めぐり現所有者"責任ない"と新たに提訴 被告が被告を訴える構図に被害者側「奇妙な論理」=静岡県

静岡県熱海市で発生した土石流災害をめぐる民事裁判で、現在の土地所有者が責任は全くないと主張する新たな裁判を起こしたと発表しました。遺族や被災者らは「奇妙な論理」と疑問を呈しました。

<青島悠記者>
「午前11時前です。今、原告である遺族らが弁論準備のため、地裁沼津支部に入ります」

静岡県熱海市で発生した土石流災害をめぐっては遺族らが、盛り土の前の土地所有者や現在の土地所有者、静岡県や熱海市などに対し、64億円あまりの損害賠償を求める裁判を起こしています。

この裁判をめぐって現在の土地所有者が2024年7月1日、新たな裁判を起こしたと明らかにしました。

<現在の土地所有者の代理人 河合弘之弁護士>
「どういう訴訟を起こしたかというと(熱海)市と県と前所有者に対して、責任はあなたがたにありますよと。現所有者は責任ないですよという」

現所有者が訴えたのは土地の前所有者、熱海市、県の3者です。

今行なわれている民事裁判で遺族らの請求が認められた場合、県、熱海市、土地の前所有者、現所有者に損害賠償の支払いが生じます。その際に県、熱海市、前所有者が現所有者に対して損害賠償の一部を支払うように求めても、現所有者は自らの責任がないことを前提に支払い義務はないと主張。

4者の中では現所有者とほかの3者の責任割合は0対100であると確認したいとしています。

<現在の土地所有者の代理人 河合弘之弁護士>
「4者間の中で誰がどういう風に悪いのかわからないままになるのはよろしくない。言ってみれば、悪さの割合を決めてくれと」

責任はないと主張する現土地の所有者に対し、被災者側の弁護士は疑問を呈します。

<被災者側 池田直樹弁護士>
「奇妙な、奇妙な論理だと思います。爆弾(土砂)があることを知りながら、自分の土地が危険であると知りながら放置した責任は、新幹線ビルディング(前所有者)と同じレベルの責任になるんじゃないんですかというのが我々の主張です」

現所有者側の新たな提訴について、熱海市は「これまで通り法的責任は問われないと主張していく」また、県は「県の主張は当時の公文書に基づいているので、一貫して変わっていない。少なくとも誰が悪いという主張はない」としています。

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