全国的な問題になっているシャッター商店街の増加。静岡県内も例外ではなく、伊東市では、問題解決に向けたある会議が開かれました。
その名も「伊豆サトヤマカイギ」。地元の人だけでなく、建築家や大学教授、学生など外部の目線も加わり、街のにぎわいを復活させるための方法を模索しています。
全国有数の温泉地・伊東市。豊かな自然も美味しい魚もあり、観光業を中心に発展してきました。
伊東駅前のキネマ通り商店街。最近では空き店舗が増え、年を追うごとに活気を失っています。
<伊東市商店街連盟 市川正樹会長>
「2割が閉まっちゃってる。移転したりやめちゃったり」
伊東市にあるすべての商店街をみると、店の数は、ここ5年で約300軒から230軒にまで減っています。
<伊東市商店街連盟 市川正樹会長>
「イベントをやって、お客さんを呼ぼうとイベントをいろいろ企画したんですけど、結局イベントをやった時しかお客さんが来てくれない」
2023年12月、問題解決に向けてあるプロジェクトが動き出しました。伊東市内に集まったのは「伊豆サトヤマカイギ」のメンバー。静岡県外の建築家や大学教授、学生など職種も年齢も全く異なる30人です。
「サトヤマカイギ」とは、ホテルの管理運営などを手掛ける企業と金沢工業大学が考えた地域の課題解決を目的とした「合宿」のことです。
静岡県内では、焼津市で開催されたことがあり、漁港で音楽イベントを開催するなどの実績も残しています。
会議で話し合うのは、その土地に昔からありながら、埋もれている物事に新たな価値を与えるための方法。いわば、「あるもの探し」です。
一つのチームは、伊東を愛犬と過ごす街として売り出せないかと考えていました。
<都内の大学に通う 小野優菜さん>
「伊豆高原で盛り上がっている犬を伊東の駅前にも持ってこよう。そうしたら、つながるよね。伊東市が『犬の街』と認識されれば、伊東市全体が盛り上がるよねっていうのを目指したい」
若者には、昔ながらの伊東の商店街は、こう見えたようです。
<都内の大学に通う 小野優菜さん>
「あそこに見えますかね」
<神谷修二カメラマン>
「パーマ屋さんの?」
<都内の大学に通う 小野優菜さん>
「これすごくかわいいです。羽のついた写真おもしろい。これ絶対におもしろい。レトロな雰囲気が私たちにとって新鮮なので、これを前面に押し出して、レトロがいいんですってしたら、きっと色んな人が来ると思うんですよね」
ここに愛犬家に好まれそうな演出を加えると…。
<都内の大学に通う 小野優菜さん>
「ここにこれくらいの桶とかおいて、ワンちゃんの。ちょっと汲んで、できるよね。開運の猫を犬にしたい。招き猫じゃなくて招き犬みたいな。面白いですね」
「伊豆サトヤマカイギ」は3日間にわたり行われ、最終日は、それぞれのグループがプランを発表しました。
<都内の大学に通う 小野優菜さんのグループ>
「ずばりワンちゃんで伊東市を活性化。ワンちゃんと過ごす最高の一日。レトロな雰囲気を感じたので、全面に推しながら、ワンちゃんと過ごせるポイントを沢山散りばめて、散歩に最適な場所を作れたらな」
<伊東市企画部企画課 菊池貴臣課長>
「全国イチ、ワンちゃんに優しいというところまで振り切っちゃえばそれはそれでアピールポイントになりますし、SNSを使ってバズるところまで持っていければ非常にいいのかなって思いました」
<伊東市商店街連盟 市川正樹会長>
「どれか一つでも、二つでも、実現させてあげたいなあと思います。それが伊東市の商店街の発展にもつながることだと思いますので、がんばってもらいたいと思います」
VTRに出てきた「伊東を愛犬と過ごす街として売り出すプラン」については、伊東市の商店街で実践するべく準備が進んでいるということです。
また「サトヤマカイギ」を経て、伊東市は25歳以下の若者で構成する「伊東SNS部」をこれから立ち上げる予定のほか、観光客に商店街の店主などと交流してもらうイベントも今後、開催していくということです。