
静岡学園の技巧派レフティー高田優(徳島ヴォルティス内定)が開いた“プロへの扉”【全国高校サッカー選手権・注目選手①】
「俺に誘い?ほんとに?」
プロへの扉は突然開かれた。徳島ヴォルティスの入団が内定した静岡学園のMF高田優は2年生の冬までBチーム暮らしだった。プロは果てしなく遠い世界に思えた。「サッカーは高校までかな」。そんな思いが頭をよぎる日さえあったという。
転機が訪れたのは、2月の新人戦が終わって数日後。新人戦の時期だけ他のスタッフにAチームの指揮を任せていた川口修監督が久しぶりにグラウンドに姿を見せた。
「なんだろう」と不思議に思っていると、監督は自分のところへ。「高田、来週から徳島ヴォルティスの練習に行ってこい」
「考えたこともなかったから、『えーっ』みたいな。『俺に誘いがくるの?ほんとに?』って感じでした」
元日本代表FW柿谷曜一朗に感激
慌てて荷造りをして、単身で1週間ほど徳島の練習に参加した。プレースピードと守備の強度に戸惑った。自信を持っていたテクニックも、プロの世界はレベルが違った。強烈なオーラを放っていたのは元日本代表の柿谷曜一朗選手。
「めちゃくちゃうまかった。優しいし、良いプレーをしたら『おお、お前うまいなあ』って声を掛けてくれて。いいにおいもして、めちゃくちゃ格好良かったです(笑)」
プロの世界が急に身近になった。静岡に戻ってしばらくすると、クラブ側から「入団を考えてほしい」と連絡が入った。練習への取り組み姿勢が変わり、自分の課題と真剣に向き合うことができるようになった。
それでも「自分がプロで通用するのか」という不安が消えることはなかったという。大学かプロか。最後に背中を押してくれたのは、静岡まで来てくれた徳島のスカウト。
「僕の長所をすごく分かってくれた上で、自分の選択を尊重すると言ってもらった。選手のことを第一に考えてくれているのが分かって、『プロで勝負してみよう』と思うようになった」。覚悟を決め、6月、入団の意思があることを正式に伝えた。
左足で刻む独特のリズム
静岡市葵区出身。4歳の時に地元のスクールでサッカーを始め、静岡千代田小時代は「SALFUS oRs(サルファス)」でプレーした。中学入学前にチャレンジした清水エスパルスジュニアユースのセレクションは不合格だったが、声を掛けてくれた清水エスパルスSS静岡に入った。
「小学時代は中盤でパスを出すことが楽しかった。ドリブルをやり始めたのは中学から。高校に入って一番成長したかなと思う」
高田の持ち味は左足で刻む独特のリズム。レフティーならではの相手を惑わすドリブルやパスはきっと、スタンドに駆けつけたサッカー少年たちの心をつかむはずだ。
夢舞台「ワクワクしています」
埼玉スタジアムのスタンドで静岡学園の全国制覇に胸を躍らせたのが4年前。当時中学2年生だった。「めちゃくちゃ面白い試合だった。みんなうますぎて、自分には無理だって思っていました」。超満員のスタジアムでプレーしている自分をイメージするのは難しかった。でも、今は違う。静岡学園の激しいチーム内競争を生き抜いてきたという自負がある。
「自分のプレーは派手ではないけれど、1試合を通して『あの選手うまいな』と思ってもらえたらいいなと思う。今はプロに入ってからのことより、選手権に集中したい。ワクワクしています」
夢舞台で大暴れしている自分を想像している。


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