
大会前最後の練習試合でアピールする野田裕人(左)と望月就王
12月28日に開幕する全国高校サッカー選手権で優勝候補の一角に挙がる静岡学園はテクニックはもちろん、選手層の厚さも全国屈指だ。本番まで誰がピッチに立つか分からない。
大会直前まで各ポジションで熾烈なチーム内競争が続く中、注目は右サイドバックだ。県予選で全国切符獲得に貢献した望月就王(なお、静岡学園中出身)と、県予選を怪我で欠場した川崎フロンターレ入り内定の野田裕人(FCディバイン出身)。2人がアピール合戦を繰り広げている。
望月就王「静学のユニホームで選手権に出るのが憧れだった」
静岡学園のユニホームを着て、小学生の頃から憧れてきた舞台に立つことができるかもしれない。12月22日の大会前最後のトレーニングマッチを終えた後、静岡市生まれの技巧派ディフェンダーから充実感があふれ出た。
「気持ちも高ぶってきましたし、ちょっと緊張もしてきています。チームが勝つことは大前提として、自分も見ている人たちを魅了するようなプレーができたらいいなと思います」。言葉の中にテクニシャン集団の一員としてのプライドもにじませた。
小学校低学年の時は静岡学園と同じように個人技を大切にするシズナンFCでテクニックを磨き、その後強豪のカワハラFCへ。「静学の試合をよく見に行っていて、『絶対にこのユニホームを着てサッカーをやりたい』って思っていました」。夢を叶えるために静岡学園中に進み、中学時代は全国4強入りに貢献した。
武器は幼い頃から培ってきた高い技術。周囲と連動しながらボールを運び、一気に最終ラインの背後へと飛び出していく。身体能力の高さを持ち味にする野田とはプレースタイルが違う。
「(野田を)ライバルとは思っていないです(笑)。一緒に自主練もするし、遊びにも行くし…。互いの良いところを吸収しようと切磋琢磨してやっています」
夏の終わりから調子を落として、プレミアリーグで7試合連続ベンチから外れた時期もあったが、ここにきて復調。大会前最後のトレーニングマッチではしっかり先発の座を確保した。
今大会の絶対的な優勝候補は、高体連チームとして初のプレミアリーグファイナルを制した大津高(熊本)。清水エスパルス入りが内定している嶋本悠大らタレントがそろい、静岡学園は今季プレミアリーグで2連敗している。
両チームが順当に勝ち上がれば、決勝でぶつかる組み合わせ。望月は「大津には今年ずっと負けているので、最後に絶対に勝ちたい。でも、まずは目の前の相手に勝つことを考えていきたいです」と話す。
松村優太(東京ヴェルディ)らを擁して静岡学園が全国制覇を成し遂げた5年前、中学1年だった望月は埼玉スタジアムのスタンドにいた。「満員のすごい雰囲気に震えました」。憧れの舞台で駆け回る自分を想像しながら、最後のアピールを続けている。
復活の野田裕人「まずは選手権。コンディションを上げていく」

全国屈指のテクニシャン集団に頼れる主将が戻ってきた。12月22日の大会前最後のトレーニングマッチに、先発した望月に代わって後半スタートから出場。まだ本調子ではないが、右サイドを切り裂くスピード感は健在だった。
「タイミングを見ながら飛び出すこともできたし、感覚的には良かったです。でも、局面を打開していくチャレンジしたプレーをもっと出していかないと」。サッカーができる喜びが表情から伝わってきた。
けがに泣かされ続けた1年だった。