2場所続けて優勝争い!大相撲・熱海富士の魅力とは? 初場所の番付はどうなる?

今回は、大相撲秋場所と九州場所で優勝争いを演じ、2024年初場所でさらなる活躍が期待される熱海市出身の力士、熱海富士(伊勢ヶ濱部屋)について、スポーツジャーナリストの生島淳さんにお話をうかがいました。聞き手はSBSの影島亜美アナウンサー。

凱旋(がいせん)した熱海富士=JR熱海駅前広場(2023年11月30日静岡新聞掲載)

笑顔、もち肌、大きくて柔らかい体…

影島:私、スポーツはあまり得意ではないんですが、スー女(相撲好き女子)目指そうかなと思っているんですよ。熱海富士は笑うと目がなくなっちゃうのがかわいくて、ひと目でファンになってしまいました。

生島序ノ口と序二段で優勝した時のインタビューで、笑いながら答える姿が印象的でしたよね。2場所連続で千秋楽まで優勝争いに絡んだのは、フロックではなく実力だと思います。千秋楽は「これより三役」という土俵入りが別にありますが、扇の要の位置に熱海富士がいて、肌の白さが際立っていました。大きさも柔軟性も彼の武器です。

影島:そうですね。

生島熱海富士は伸びしろがたくさんあると思います。伊勢ヶ濱親方は「まだまだ勉強することはたくさんありますよ」と解説で話していました。親方はまだ細かい指導はあまりしていないようで、熱海富士の個性を殺さないようにしっかりと伸ばしていきたいそうです。

ただ、九州場所の千秋楽は立ち合いで頭を下げてしまい、そのままバタッと両手をつくような取り組みだったので、親方は「まわしが欲しくて頭を下げちゃったばっかりに…」「まだまだ相撲はうまくない」と厳しいことを言っていました。これから上位力士と当たっていく中で、相撲のうまさを覚えていく時期なのかなと思います。来年のこの時期には大関に上がっている可能性もゼロではないですよ。

影島:期待したいですね。熱海富士と同じ伊勢ヶ濱部屋の兄弟子、焼津市出身の翠富士の存在も注目です。兄弟子の存在は大事なんですか?

生島同じ部屋にどれだけ強い力士がいるかがとっても大事です。普段の稽古のレベルが上がるわけですからね。千秋楽でも、花道から翠富士と聖富士が笑顔で熱海富士の取り組みを見ていましたよね。今、伊勢ヶ濱部屋はすごくノッていると感じました。

影島:なるほど。

生島以前、翠富士が十両優勝して番付が上がった時に、この番組で「身体が小さいのでどうしても成績に上下があると思います」「印象的な場所をいくつか作ってほしい」と言ったんですよ。ところが、その予測をいい意味で裏切ってくれた。翠富士は上半身が強じんなので、どんどん番付を上げて安定してきましたね。ケガがなければ長く幕内で活躍できる力士です。

影島:伊勢ヶ濱部屋では、熱海富士の付き人をしている焼津市出身の聖富士も気になります。

生島九州場所は幕下に上がって、いきなり全勝優勝。まげもまだ結えないのですが、番付を上げていきそうですね。今年は熱海富士を筆頭に出世が早い力士が多いんですよ。元横綱・白鵬の宮城野部屋の伯桜鵬、二所ノ関部屋の大の里、このあたりが来年、再来年の土俵を盛り上げていくんじゃないかなと思いますね。

屈託のない笑顔で地元ファンに九州場所の結果を報告する熱海富士=JR熱海駅前広場(2023年11月30日静岡新聞掲載)

来場所は試練を迎える!?

影島:来年の初場所が気になりますが、その前に12月末の番付発表が楽しみです。熱海富士はどこまで上がってくるでしょうか?

生島相撲の番付は、例えば10勝5敗だと5枚ぐらい上がるというのが目安です。西前頭8枚目で11勝4敗だった熱海富士は前頭筆頭あたりまで上がってきて、全ての上位力士と当たる来場所は試練を迎えそうです。初日に横綱・大関とぶつかり、夕方5時半以降に登場する力士になってくると思いますね。

影島:熱海富士の活躍が楽しみですね。生島さん、きょうは勉強になりました。ありがとうございました。

※2023年11月28日にSBSラジオ「IPPO」で放送したものを編集しています。
今回お話をうかがったのは……生島淳さん
スポーツジャーナリスト。雑誌『Number』で二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の聞き書き「相撲、この技、この力士」を隔号で連載中。最新刊に『箱根駅伝に魅せられて』。
シズサカ シズサカ

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