<浜名 MF朝井陽之>
浜名−浜松南 前半37分にチーム2点目を決める浜名の朝井(手前左)
ショートパスをつなぐ浜名で司令塔役を担う。トップ下に入って巧みにボールをさばき、チャンスのにおいを嗅ぎ取れば2列目から一気にゴール前に飛び出していく。ピンと伸びた背筋と常に涼しげな表情が、クレバーなプレーを一層際立たせる。
初戦となった1次トーナメント3回戦の浜松南戦は2ゴールを挙げた。スタンドがどよめいたのは2点目だった。最終ラインの背後に走り込み、味方からのロングボールをジャンプしながら右足アウトサイドでトラップ。体勢を崩すことなく流れるようにドリブルに移行し、ネットを揺らしてみせた。
半年間のリハビリを経て
中学時代は、元清水エスパルスの松原真也さんが監督を務める浜松FCでプレー。高校入学後は1年時からベンチ入りし、最上級生となったことしはチームの核として期待されていた。ところが、新チーム発足と同時期に腰痛が悪化し、戦線離脱。約半年間のリハビリを強いられた。浜名が19年ぶりに優勝した新人戦は仲間の活躍を外からまぶしげに見つめ、夏の県総体はベンチ入りしたものの一度もピッチに立つことができなかった。
朝井は昨年の高校選手権県大会で味わった悔しさも晴らしたいという。「昨年は自分のせいで失点して負けてしまい、悔いが残っている。今年はチームをしっかり勝たせたい」
腰の痛みも消えて完全復活した今、さまざまな思いを胸に高校最後の大会に臨んでいる。優勝候補の一角に挙がる古豪を、1977年度以来3度目の全国へと導くつもりだ。