今年10年目を迎える彼女たちの活動を取材してきた。
安東おさんぽマルシェ
城北公園を舞台にした人気イベント『安東おさんぽマルシェ』。元々は『はっぴぃプレイス』の代表である伝刀(でんどう)さんが、自身のお店『MapleLeaf』の横で、一人で始めたイベントだった。その後、活動に賛同したお店が増えると、2016年10月に『安東おさんぽマルシェ』として近くの臨済寺にて、より規模を拡大して開催。

起業しているメンバーも多く、仕事や家事と並行しながら活動を行っている。現在、ボランティアも含めて約20名が在籍。
近年は地域の憩いの場である城北公園を舞台に、春と秋の年2回にわたって実施している。2025年5月18日に開催された春のイベントでは、安東・大岩地区のお店を中心に、この地域を応援したいという想いを持ったお店たち約60店舗が出店。キッチンカーや物販、ヨガ教室など幅広いジャンルが集ったという。次回は秋に開催予定!詳細はInstagramやHPで発信していくそうだ。

過去のイベントの様子。〝おさんぽマルシェ〟の名前の通り、散歩がてら訪れる人が多いのだとか。
安東おさんぽMAP
安東・大岩地区で頑張っている個人店を応援したいと始めたのが『安東おさんぽMAP』。転勤族の多い土地柄、「この地域のことを知らない人も気軽に個人店を尋ねられるように」とマップを作る案が出たそうだ。取材には地元の小学生とその家族、総勢約50人が協力。大好評となった第1弾に続き、第2弾はお仕事図鑑、第3弾は史跡めぐりなどのテーマで続編も発行されている。
今年は防災をテーマに第4弾の発行を計画中。「情報をアップデートしながら、地域のためになるマップを制作したい」と制作担当である大庭(おおば)さんは意気込みを話してくれた。

移住者だけでなく、小学校のお仕事見学ツアーなどにも使われている。
江戸時代の安東にあった『薬草園』
静岡浅間神社へとつながる長谷通り沿い、現在の静清信用金庫安東支店・横内支店がある一体には、江戸時代に『御薬園』と呼ばれる幕府の薬草園が置かれていた。昔の絵図によると、総坪数4373坪(14456.19㎡)。敷地全体に草木が植えられ、中には管理棟らしき建物や草木に水を通すための用水路、敷地内をくまなく回るように道も設けられていたようだ。文化14年(1817年)に駿府城外を警備する駿府加番を務めていた阿部正信がまとめた駿河国の地誌『駿国雑志』によれば、御薬園に植えられていた薬草は117種類。下痢止めなどに使われる『使君子(シクンジ)』、鎮痛作用のある『鳥兜(トリカブト)』などが育てられていたという。
本草学(薬として植物・動物・鉱物などを研究する中国の薬物学)に精通していたことでも知られている徳川家康公。この場所に薬草園ができたのも、家康公が大御所として駿府城に在城していたころに様々な草木を植えさせたことが始まりとされている。
家康公の歴史に詳しい静岡市歴史博物館の学芸員廣田(ひろた)さんは「この薬草園は家康公自身の健康管理や趣味のために作らせたのではなく、医療が発達しておらず、病気やケガとなれば漢方の生薬が用いられていた時代に〝中国から輸入するばかりでなく、日本で栽培することで薬を作るための原材料を確保していきたい〟と政策面での狙いがあったのでは」と推測する。
この薬草園のほかにも、久能山東照宮の山下にも薬草園が置かれていたと言われており、共通した薬草も多く育てられていたそうだ。


静清信用金庫安東支店・横内支店のアーケードにて、薬草園に関する説明や駿府の名勝をまとめた案内板が掲示されている。
取材協力:静岡市歴史博物館、静清信用金庫安東支店・横内支店