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焼津水産業翁、服部安次郎の生家をリノベーションした『帆や』とあかり展と。浜通りを歩く

焼津水産業の発展に貢献した服部安次郎の生家をリノベーションした 『帆や』 と、今年で14回目を迎える浜通りのあかり展を取材してきた。

浜通りとその歴史を垣間見る場所

海岸線と堀川に挟まれた『浜通り』は、昔の面影を残す建物や町並みを今でも見ることができる。北から『北浜通(きたはまどおり)』『城之腰(じょうのこし)』『鰯ケ島(いわしがしま)』の3つの地域で構成され、『焼津水産業発祥の地』とも呼ばれている。

明治時代には1000戸、5000人を超える当時としては大変な人口密集地で、さらに戦後には10000人を超える人が住んでいたという。北浜通と鰯ケ島は漁師が多く住み、エリアの中央に位置する城之腰には水産加工の店や酒屋、菓子屋、銭湯などの商店が多く集まっていた。新しい堤防ができるまでは現在のオーシャンロード付近が海岸であったため、強風や高波の影響を受けやすく高潮による被害も多かったそうだ。そういった背景もあり、ほかの地区にはない工夫を凝らした町並みができていった。

母屋の中


そんな浜通りに2021年にオープンした『帆や』は、焼津水産業の発展に貢献し、焼津水産業翁の一人と称えられる服部安次郎(1850年~1941年)の生家をリノベーションしたものだ。安次郎は、水産に関わる様々な事業を行ったそうで、その中に帆船の帆を作る仕事があり、『帆屋』とはその商号だという。また、大黒丸というマグロ漁船を所有しており、堤防がなかった頃は家の前に船を着け、そこからマグロをみんなで台所まで運んでさばいていたそうだ。

建物は、2017年に服部家から焼津市に寄附され、ここを拠点に浜通りの活性化を目的とした服部家利活用プロジェクトが立ち上がった。その一環で建物の再生が計画され、服部家の趣を残すため古材や伝統技術を用いながら改修を行ったそうだ。そこには、訪れた人たちに焼津の歴史や文化を知ってもらいたいという思いがあったという。

2022年に改修を終えた蔵の内部


改修工事は困難の連続だったそうだが、完成した母屋は当時の明智が今でも息づいている価値あるものになった。強風対策のための勾配の緩やかな屋根、高潮や高波をせき止めるための波除け、そして入り口からわずかに傾斜している床は、高潮が侵入した際に奥の堀川に流れるようにする工夫なのだという。これらは浜通りの家屋の一般的な特徴だったそうだ。また、家と家の間にある小路も高潮を裏の堀川に流す役割があり、昔の面影の一つである。

マルシェの様子


現在は、一棟貸しの宿やワーケーションとして利用されたり、毎月第2土曜日に行うマルシェや焼津の町を回りながら楽しむファンランの拠点などとしても活用されている(詳細はInstagram「hoya_yaizu」をチェック)。宿泊以外にも中を見ることができる機会はあるので、昔の人たちの知恵を体感しに訪れてみてはいかがだろうか。

浜通り夏のあかり展


浜通りで夏に行われているあかり展では、通りの両側に約350基の様々な絵が描かれたあんどんや竹を使用した灯籠が並び、幻想的な雰囲気が漂う。地域活性化の目的で2008年に始まり今年で14回目を迎える。年々楽しみにしている人が増え、焼津の夏の風物詩として定着してきた。

あんどんの絵は、地元の幼稚園児や高校生、絵手紙の会など地域のグループの人たちに描いてもらっており、個性豊かな作品が楽しめる。過去には、堀川にあんどんを吊るしたり、プロジェクションマッピングを行ったりと毎年違った試みを行っているという。今年は、9月1日(金)、2日(土)の18時~21時に開催予定。※雨天延期、予備日9月3日(日)

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