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テーマ : 新型コロナワクチン

オミクロン対応型低調 ワクチン長期化、接種疲れ 年末年始対策も収束見えず【表層深層】

 新型コロナウイルスのオミクロン株に対応した新ワクチンの接種率が、低水準にとどまっている。ワクチン事業の長期化が「接種疲れ」につながり、関心が薄れたことが影響したとみられる。人の往来が増える年末年始に向け、政府は接種の促進を感染対策の切り札に据え、自治体も年の瀬に追い込みをかけたが、流行「第8波」が収束する気配は見えない。

新型コロナウイルスのオミクロン株に対応するワクチン接種を受ける女性(左)=9月、東京都港区
新型コロナウイルスのオミクロン株に対応するワクチン接種を受ける女性(左)=9月、東京都港区
自衛隊が運営する大規模接種会場で、オミクロン株に対応した新ワクチンの接種を受ける男性=10月、東京都千代田区
自衛隊が運営する大規模接種会場で、オミクロン株に対応した新ワクチンの接種を受ける男性=10月、東京都千代田区
新型コロナウイルスワクチンの接種率
新型コロナウイルスワクチンの接種率
新型コロナウイルスのオミクロン株に対応するワクチン接種を受ける女性(左)=9月、東京都港区
自衛隊が運営する大規模接種会場で、オミクロン株に対応した新ワクチンの接種を受ける男性=10月、東京都千代田区
新型コロナウイルスワクチンの接種率


武器
 「対策は充実してきたが、感染を防ぐための最大の武器はワクチン」。政府関係者は接種の重要性をこう指摘する。
 政府と自治体は9月20日に新ワクチン接種を始めて1カ月程度で、目標の1日100万回を大幅に上回る約168万回打てる体制を整備した。接種間隔も少なくとも5カ月から3カ月に短縮するなど、新ワクチンを打ちやすい環境を整えた。
 準備を急いだ背景には、これまで帰省や忘年会、新年会などで人と交流する機会が増える年末年始に感染の波が押し寄せてきた苦い経験がある。
 12月に入ると、自治体はさらに推進策に取り組んだ。
 群馬県は県内の大学、商業施設を巡回するバスで接種を始めた。「伸び悩む若者向けに発案した」(担当者)。宮城県は東北大と連携し、JR仙台駅近くに夜間接種センターを設置。中旬からは1日当たりの接種規模を拡充し、担当者は「予約枠の定員は埋まっている。帰省や受験シーズンを迎える人もいるので、多くの人に受けてほしい」と話す。東京など首都圏の1都3県は21日に「年内接種を」と共同メッセージで呼びかけた。
 松野博一官房長官は23日の記者会見で「G7(先進7カ国)各国の接種率を比較すると日本が最も高い。接種が進んでいると考えている」と強調した。

関心低下
 しかし新ワクチンの接種は、開始から3カ月が経過しても全人口の32・5%で、2回を打ち終えた人の80・4%、3回目の67・5%を大きく下回った。回数を重ねるごとに接種率は低下しており、スタートから間もなく2年が経過する中で「ワクチンに対する国民の関心はどんどん低くなっている」(別の政府関係者)。
 中国地方の自治体担当者は「接種疲れ」を理由に挙げる。住民は矢継ぎ早に接種を求められ、間隔もどんどん短くなっていった。「いつまで続くのかと思っている人は多い。問い合わせがよく来る」と明かす。
 神奈川県に住む50代の男性は、新ワクチンをまだ打っていない。「3回目までは早く打たないといけないと思っていた。接種してもかかっている人が周囲にいて、実家がある九州に帰省をする予定だが、迷っている」と話した。

警戒
 「第8波」に入り、1日当たりの感染者数は8月下旬以来の20万人を超え、今年夏の「第7波」で記録した過去最多の水準に迫っている。日本医師会の幹部は「感染が徐々に増えながら年末年始を迎えると思う」と警戒感を示す。インフルエンザとの同時流行も懸念材料だ。
 厚生労働省に対策を助言する専門家組織の脇田隆字座長は「ワクチンで免疫をつけていくのがまだ重要なのは明らかだ。オミクロン対応ワクチンを、重症化率が高い高齢者には進めていく必要がある」と訴えた。

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