時系列で見る伊東市政の半年 “田久保劇場”に揺れた伊東市 2025年を振り返る④ =静岡

2025年を振り返るシリーズ企画。今回は、「田久保劇場」によって混迷を極めた伊東市政についてです。人口約6万人のまちで起きた激動の半年は、全国からも連日注目を集めました。

1万4684票を獲得、現職との一騎打ちを制し市長へ

任期満了に伴う2025年5月の伊東市長選挙。元市議の田久保真紀氏が現職との一騎打ちを制し、多くの市民が「新しい伊東市」に期待を寄せていました。

<伊東市民>
「伊東の市民をなめてるよ、あの人は。伊東、恥ずかしいよ」

しかし、待っていたのは市政の混乱と市のイメージの低下でした。

6月に学歴詐称疑惑が浮上

<伊東市 杉本一彦市議>
「市長、確認させてください。あなたは東洋大学法学部経営法学科を卒業で間違いありませんね」

6月初め、市議全員に宛名不明の文書が届いたことで、田久保氏(当時市長)の学歴詐称疑惑が浮上。

<伊東市 田久保真紀市長(当時)>
「卒業は確認ができませんでした。除籍であることが判明しました」

7月、田久保前市長は最終学歴としていた東洋大学「卒業」について、実際は「除籍」だったと明らかにしました。市長を辞職する考えを示しましたが、その後に撤回し、続投を表明。市政は停滞と混乱の道へと進みます。

田久保前市長は対外公務を相次いで欠席し、当選直後に退任した副市長と教育長は現在も不在のままです。

市には苦情などの問い合わせが1万件以上寄せられ、職員の負担は過酷を極めました。

「ストップウォッチで測りました。19.2秒掲示した」

学歴詐称疑惑を巡り、「卒業証書」を議長と副議長に見せていましたがー。

<伊東市議会 青木敬博副議長>
「こういう感じでパって開いて、自分たちが身を前のめりにしたら閉じる。またもう1回パっと見せてまた引っこめる」

8月、この「チラ見せ」とされた行動を田久保前市長は否定しました。

<田久保真紀市長(当時)>
「報道にあるような『チラ見せ』の事実はありません。約19.2秒ほど見ていただいたと記憶しています。ストップウォッチではかりました。私の持っている記録では19.2秒提示をした」

9月、市議会側は田久保前市長が卒業証書の提出を拒否したことや疑惑を調査する百条委員会で虚偽の発言をしたなどとして刑事告発しました。

不信任決議案を市議会は全会一致で可決しましたが、田久保前市長が選んだのは辞職ではなく議会の解散でした。

約6300万円の「大義なき解散」、そして失職へ

<伊東市議会 中島弘道議長>
「大義なき解散で私たちには怒りしかありません」

10月、市議選では田久保前市長に不信任を突きつけた前職18人が全員当選。「大義なき解散」といわれた選挙の費用は約6300万円でした。

その後、再び不信任決議案が可決され、田久保氏は就任から約5か月で失職しました。

12月、過去最多9人が立候補した伊東市長選。田久保前市長は4131票の獲得にとどまり落選し、「田久保劇場」は幕を閉じました。

市政の立て直しを望む市民が選んだのは43歳の新人、杉本憲也氏です。

「高い授業料」を経て新たな一歩

<伊東市 杉本憲也新市長(15日)>
「皆さんが困った時には一緒に悩み、皆さんと一緒に笑い、涙し、市民の皆さんのために一生懸命働くことができる、そういう伊東市役所を必ず作ってみせます。一緒に、この新しい伊東市の未来を前に進めてください」

長期間足踏みを余儀なくされた市政を、どれだけ早く前進させられるか。これからの伊東市の歩みに注目が集まります。

伊東市議選と伊東市長選にかかった費用は合わせて約1億円。伊東市にとってはあまりに「高い授業料」となってしまいました。新しいリーダーの手腕に期待がかかっています。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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