「財政危機宣言レベル」の静岡県 専門家は“製造業頼み”の税収構造を指摘 =静岡

県の財政がピンチです。知事が給与カットを決断するほど厳しい財政状況に陥った静岡県。行財政改革の専門家は「税収構造の影響が大きい」として経済政策の見直しが必要だと指摘します。

<鈴木康友 静岡県知事(10月27日)>
「いわゆる自転車操業を繰り返してきたということなので、まずはこの出血を止めないといけない」

鈴木知事が強い危機感を示す県の財政状況。大型事業にも暗雲が立ち込めます。

国の交付金への見通しの甘さから約100億円の財源不足が判明した県立中央図書館。

関係者によりますと、2028年夏ごろとしていた開館時期を「令和10年代中頃から後半」に遅らせる方向で調整していることが分かりました。県は、民間活力の導入などで建設費の削減を目指す方針です。

<鈴木康友知事>
「まずは、知事である私や副知事などの特別職の職員が自らの給与を削減し、財政健全化に向けて取り組むこととします」

厳しい財政状況を受け、知事自身の給与10%削減など身を切る決断を発表。

県では、過去の大型投資や県の単独事業の拡大などで歳出が歳入を上回り、税収の上振れと借金にあたる「資金手当債」で補てんする自転車操業の財政運営が続いてきました。

資金手当債の残高は1341億円と全国平均の2倍近くに膨れ上がっています。

<平木省副知事>
「もう財政危機宣言というレベルまでいっているというような危機感を持っています」

平木副知事は2026年度の当初予算編成における財源不足額は640億円に上ると発表。財政危機に陥った長期的な要因として専門家は「税収構造」の影響を指摘します。

<静岡産業大学 小泉祐一郎教授>
「都道府県税の税収のもとになる税源について、従来は、ものづくりとか製造とかの付加価値の税収を主としていたものが、消費税に移行している。製造業に頼った法人事業税に頼っているところは厳しくて、で、人口がある程度いて、しかもサービス業の盛んな都市部においては地方消費税が税率も上がったりして豊かになっている」

近年、県の税収のうち法人の事業税よりも消費にかかる税の比重が大きくなっています。「企業による税収」から「県民の消費による税収」へシフトしているため、企業立地の推進の見直しが必要だと強調します。

<小泉教授>
「工業団地も重要だけれど、まずそれだけじゃなく、駅周辺にそういったオフィス立地の企業立地ができる。もしくはサービス業を中心とした企業の立地とかを図っていくとか、そういう経済の活性化によって税収は増えるわけですから。まさに経済政策の見直しが重要」

いま手を打たなければ、将来に禍根を残しかねない。税収や経済の構造が変化する中、県は抜本的な改革に迫られています。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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