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災害に対応 焼津市役所新庁舎完成

 焼津市役所新庁舎が2年あまりの工事を経て完成しました。津波浸水想定区域に立地するため、市民窓口を2階に集約させるなど災害に対応した構造になっています。長い議論の末、現在地に立地することが決まった新庁舎の特徴をみていきましょう。
  〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・尾原崇也〉

議場、教育委員会…分散している庁舎機能を集約 現庁舎位置に立体駐車場建設

 2019年7月から建設工事が進められていた焼津市役所新庁舎が完成した。5日に新庁舎の竣工(しゅんこう)式が行われ、出席した関係者らが、庁舎内部を見学した。

完成した焼津市役所新庁舎。現庁舎(手前右)の横に立つ=焼津市
完成した焼津市役所新庁舎。現庁舎(手前右)の横に立つ=焼津市
 新庁舎は鉄骨鉄筋コンクリート造りの地上8階建て。現在、アトレ庁舎、大井川庁舎にそれぞれ分散している教育委員会や議場などが入る。福祉や年金、子育て関係など市民窓口は、同じ2階フロアにまとめて配置した。
 新型コロナ対策として、市民と応対するカウンターと業務用のスペースにそれぞれアクリル板を設置したほか、1時間に一回の換気機能を導入した。排気する空気の二酸化炭素(CO2)濃度を検出するセンサーも取り付けた。
 新庁舎は21日に開庁する。全部署の業務が始まるのは10月上旬の見込み。現庁舎は解体し、立体駐車場を23年3月完成めどに建設する。
 式典で中野弘道市長は、周辺に7月開館したターントクルこども館に触れ「相乗効果でにぎわい創出を図っていければ」と期待を寄せた。
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新庁舎内の市民窓口フロア

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新型コロナ対策として窓口カウンターにアクリル板を設置した

 〈2021.9.6 あなたの静岡新聞〉

1階に市民協働拠点「海街ひろば」 にぎわい創出にも工夫

 焼津市は23日(※2018年2月23日)、市役所新庁舎の基本設計案を市議会全員協議会で報告した。1階には市民協働の拠点として「海街ひろば」を設置し、隣接の「海街デッキ」とともに周辺環境ににぎわいを生む配置を工夫した。

焼津市役所新庁舎の外観イメージ
焼津市役所新庁舎の外観イメージ
 新庁舎は8階建ての延べ床面積1万5千平方メートルで、現庁舎西側隣接地に建設する。現在、大井川庁舎とアトレ庁舎に分散している行政機能を集約し、6階に教育委員会、7階に議場などが入る。
 県第4次地震被害想定の最大津波浸水深を考慮して市民窓口は2階以上に設置し、1階はオープンスペースや会議室などで活用する。同時に受電設備や非常用発電機などは最上階に置き、災害発生時に備える。
 新庁舎を建てた後、現庁舎を解体して立体駐車場を建設し、2階部分を渡り廊下でつなげる。新庁舎の開庁は2021年5月ごろの目標で、立体駐車場は22年度に完成予定。総事業費は81億円の見込み。
 各階に多目的トイレを配置し、授乳室も設けるなど、市民誰もが使いやすいユニバーサルデザインにも重点を置く。同市新庁舎建設課は「庁舎は焼津のシンボル。市民が親しみやすい場所に仕上げたい」としている。
 基本設計案は26日から市ホームページや市役所などで公開し、3月20日までパブリックコメントを募る。
 〈2018.2.24 静岡新聞朝刊〉

現在地建設、2015年に決定 県のハード整備進捗で津波浸水区域外れる前提

 市役所の老朽化に伴って新庁舎の建設計画を進めている焼津市は18日(※2015年11月18日)までに、新庁舎の建設場所を現在地とする方針を固めた。現在地は静岡県第4次地震被害想定で、最大級のマグニチュード(M)9級の「レベル(L)2」津波の浸水域に位置する。市は県が予定する津波対策後は浸水被害が無くなり、安全性が確保できることを前提に、まちづくり、コスト、利便性など総合的な視点から判断した。関係者への取材で分かった。

老朽化が進む焼津市役所。市は新庁舎を現在地に建設する方針を固めた=2015年10月、焼津市内(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
老朽化が進む焼津市役所。市は新庁舎を現在地に建設する方針を固めた=2015年10月、焼津市内(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 計画では、建設地を現在地とする際は現庁舎(6階建て)の「活用」と「解体」の2案を想定。活用する際は隣接の別館・議会棟跡地に9階建ての新庁舎を増築し、解体する場合は12階建ての庁舎を建設する計画。2案とも現在分散しているアトレ、大井川両庁舎の部局を集約し、延べ1万5100平方メートル規模になる。
 防災対策として1階部分は窓口機能は設けず、駐車場として活用。津波避難ビルとしての機能も備える。災害対策本部機能は従来通り、内陸部にある消防防災センターに置き、新庁舎との連絡体制も構築する。
 市の算定では、概算事業費は現庁舎の「活用」が約67億円、「解体」が約80億円。ほかに候補地に挙げられていた文化センターエリア、総合病院エリアと比べても最も安く、最高額の総合病院エリアの96億円からは16億~30億円程度抑制できる。市は今後、2案のいずれかを選定する。
【焼津市新庁舎の建設計画】
  現庁舎は1969年建設。市民会議が2年半の協議を重ね、2月、新庁舎の機能や規模、建設候補地を盛り込んだ建設計画案をまとめた。新庁舎の基本理念は「市民の安全と安心を守り、人と環境にやさしく、協働の拠点として市民に親しまれる庁舎」。
 〈2015.11.19 静岡新聞朝刊〉

アトレ庁舎に保健センター移転 大井川庁舎は健康機能充実 新庁舎完成後も分庁舎活用

 焼津市は、市役所新庁舎建設に伴う各庁舎機能の再配置計画をまとめた。アトレ庁舎に保健センター機能を移転させ、母子保健と子育て支援施策の連携を図る。大井川庁舎は健康・教育機能の拠点施設として再整備する。

焼津市役所新庁舎開庁後の各庁舎機能配置計画
焼津市役所新庁舎開庁後の各庁舎機能配置計画
 アトレ庁舎は保健センター、青少年教育相談センター、ふれあいギャラリーの各機能を新たに配置し、こども相談センターや親子ふれあい広場を継続して置く。現在の保健センター(東小川)とふれあいギャラリー(本町)は機能を廃止し、建物の活用策を検討する。
 大井川庁舎は、保健師が健康指導を行う「未病センター」を新たに置くなど市民の健康に資する機能を充実させる。隣接する大井川商工業研修センターには、学校全体の教育力向上に取り組む市教委の「教育センター」を拡充して配置する。
 現在建設中の新庁舎は9月開庁予定。アトレ庁舎では健康福祉、こども未来、建設、都市政策各部の大部分が新庁舎に移る。大井川庁舎では教育委員会事務局、議会などが新庁舎に移転し、市民サービスセンターは引き続き配置される。
 市は再配置に伴うアトレ、大井川両庁舎の改修事業費として2021年度当初予算案に2200万円を計上し、市議会2月定例会に提出する方針。
 〈2021.2.5 静岡新聞朝刊〉 
地域再生大賞