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旗手活躍 五輪⚽ベスト4

 東京五輪は日本勢のメダルラッシュが連日続いています。サッカー男子は準々決勝でニュージーランドと対戦。0-0からのPK戦を制し、2大会ぶりに4強入りしました。旗手怜央選手(静岡学園高出)の活躍を中心にこれまでの戦いを振り返ります。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉
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【準々決勝】伏兵NZ崩せずPK戦 旗手は立ち上がりから攻勢

 1次リーグで韓国を破った伏兵ニュージーランドに苦戦した。PK戦で辛くも勝利を拾ったが、課題が残る一戦となった。

日本―ニュージーランド PK戦の末、4強入りを決め歓喜する日本イレブン=カシマスタジアム
日本―ニュージーランド PK戦の末、4強入りを決め歓喜する日本イレブン=カシマスタジアム
 立ち上がりから日本が攻勢を掛けた。前半2分、左サイドバックで先発出場した旗手(川崎、静岡学園高出)がこぼれ球に反応し、ミドルシュート。その後もMF久保建(レアル・マドリード)やMF堂安(PSVアイントホーフェン)が再三ゴール前に迫ったが、5バックで自陣を固める相手を崩しきれない。
 国際サッカー連盟(FIFA)ランキング122位の格下に対し、前半のボール保持率は28位の日本が圧倒した。苦杯をなめた韓国も同じような展開に持ち込まれた。
 延長戦で退いたが、旗手は2試合連続で90分間出場。「前半はフリーでボールを持っていたが、迷いがあった」と振り返る。後半31分にゴール前の好機でヘディングシュートを外し、思わず天を仰いだ。「チャンスを決めきらないと評価されない」と悔しさをにじませた。
 PK戦に入る前に、旗手はGK谷(湘南)に「ヒーローになるチャンス」と送り出した。「何とかしてと祈りながら見ていた」と旗手の期待に応え、谷が2本目を止め、立候補者が蹴った日本は全員が決めた。
 森保監督は「できれば90分でゴールを決めて勝ちたかった。ピンチもあったが、無失点に抑え戦ったのがPKでの勝利につながった」と言った。準決勝では優勝候補のスペインとぶつかるが、指揮官は「ゴールチャンスをつくって得点する」。1968年メキシコ五輪以来となるメダル獲得へ厳しい戦いが続く。

 ▽男子準々決勝
 日本0 (0―0 0―0 延長 0―0 0―0)0 ニュージーランド
 (PK4-2)

【1次リーグ最終戦】初先発旗手が流れ呼ぶ フランスに大勝し8強

 勝ちか引き分けで1次リーグ首位で準々決勝進出が決まる最終戦。日本は受け身になることなく、攻めの姿勢を貫いた。

日本―フランス 前半、競り合いを見せる旗手怜央=日産スタジアム
日本―フランス 前半、競り合いを見せる旗手怜央=日産スタジアム
 フランスは逆転での準々決勝進出を狙い、立ち上がりから前掛かりに攻撃を仕掛けた。日本も負けじと、左サイドハーフで五輪初先発した旗手(川崎、静岡学園高出)が攻めた。「スイッチを入れるのが自分の役目」と前半7分、右足で強烈なミドルシュートをゴール枠内に放ち、流れを呼び込んだ。
 勢いに乗った前半27分、ゴール前のこぼれ球をMF久保建(レアル・マドリード)が左足で押し込み先制。34分にはDF酒井(浦和)が追加点を挙げた。後半も旗手が果敢に攻撃し、25分のMF三好(アントワープ)の3点目をお膳立て。終了間際には前田(横浜M)のダメ押しゴールで完勝した。
 けがで離脱していたDF冨安(ボローニャ)が復帰し、最終ラインは安定感を増した。森保監督は「選手は落ち着いて準備できていた。力があるから勝ててきている」と試合を振り返り、チームの完成度に手応えを口にした。1968年メキシコ五輪以来のメダル獲得を目指すチームは確実に成長軌道を描いている。

 ▽男子1次リーグA組
日本(9) 4(2―0 2―0)0 フランス(3)
▽得点者【日】久保建(前27分)酒井(前34分)三好(後25分)前田(後46分)

【1次リーグ第2戦】久保が先制 メキシコ下す 旗手は出番なし

 初戦の南アフリカ戦から中2日で迎えたメキシコ戦。長丁場の戦いを見据え、中南米の試合巧者を相手に、どれだけ体力を消耗せずに戦えるかが大事な鍵だった。

日本―メキシコ 前半、先制ゴールを決める久保建(左)=埼玉スタジアム
日本―メキシコ 前半、先制ゴールを決める久保建(左)=埼玉スタジアム
 前半6分、MF堂安(PSVアイントホーフェン)のクロスをMF久保建(レアル・マドリード)が左足で合わせて先制。11分には相手反則で得たPKを堂安が決めて追加点を奪った。試合終了間際に1点を返されたが、逃げ切った。
 相手がボールを持つ機会が多くても、好機を確実に決めた。守備ではオーバーエージ(OA)のMF遠藤(シュツットガルト)が身体的な強さを発揮し、ピンチの芽を摘み取った。A代表で活躍するDF冨安(ボローニャ)を故障で欠き守備的な布陣で臨んだ。DF旗手(川崎、静岡学園高出)は2試合連続のベンチスタートで出番はなかった。
 森保監督は「受け身になる時間もあったが、積極的にゴールに向かったのは選手の自信だ」と振り返った。その言葉通り、選手は結果で応えた。

 ▽男子1次リーグA組
日本(6) 2(2―0 0―1)1 メキシコ(3)
▽得点者【日】久保建(前6分)堂安(前11分=PK)【メ】アルバラド(後40分)

 

【1次リーグ初戦】1-0で南アに勝利 後半出場旗手は攻撃活性化

 対戦相手の南アフリカ選手らに新型コロナウイルス陽性者が出て周囲は慌ただしかったが、試合運びは落ち着いていた。日本は前半の我慢比べを制して、虎の子の1点を守り抜いた。貴重な勝ち点3を奪い白星発進した。

日本―南アフリカ 後半、久保建(左)のゴールを祝福する旗手(右)=味の素スタジアム
日本―南アフリカ 後半、久保建(左)のゴールを祝福する旗手(右)=味の素スタジアム
 これが初戦の硬さなのか。前半は膠着(こうちゃく)状態が続いた。引いて自陣を固め、カウンター狙いの相手を攻めあぐねた。MF久保建やMF堂安(PSVアイントホーフェン)がドリブルやクロスで果敢に仕掛けるが、あと一歩で跳ね返された。
 この日、左サイドバックで先発したのは、攻撃参加が得意な旗手(川崎、静岡学園高出)ではなく、守備に定評がある中山(ズヴォレ)だった。大事な初戦を手堅く運びたいという思惑があった一方、サイドでの攻め手を欠いた。
 後半26分、久保建が得意の左足で先制点を奪うと一気に攻勢に転じた。中山に代わり旗手が投入されたのは、直後の27分。左サイドバックに入り、攻撃をさらに活性化させた。
 「自分が出るならゴールを取りに行く。攻撃のスイッチを入れるのが役目」と試合終盤にはサイドハーフに位置を上げ、圧力をかけ続けた。初出場の五輪を「いつもと違う雰囲気を感じたが、すんなり入れて良かった」と振り返った。
 森保監督は「もっと楽な試合にしたかったが、我慢強く戦った。次の試合に良い形で進める。最善の準備をして臨みたい」と言った。1968年メキシコ五輪以来のメダル獲得を狙う舞台が始まった。

 ▽男子1次リーグA組
日本(3) 1(0―0 1―0)0 南アフリカ(0)
▽得点者【日】久保建(後26分)
地域再生大賞