食の都の象徴に! 「しずおか食セレクション」とは?
「しずおか食セレクション」、みなさんご存知でしょうか。静岡県産の高品質な農林水産物の中から、国内外に誇ることのできる価値や特長をもったものを静岡県が認定しています。県産ブランドのイメージを向上させるだけでなく、有力な観光資源にもなり得るものと考えられています。「食の都」づくりに力を発揮することが期待されている「しずおか食セレクション」についてまとめます。
2023年度は三島野菜3品を含む5品が認定
食セレクションに三島野菜3品 鈴木さんは市内5人目マイスター認定 栽培する農作物や高い栽培・加工技術を認定された三島市の生産者4人が6日、市役所に豊岡武士市長を訪ね、認定を報告した。特色ある地元農作物の証しとなり、豊岡市長は「おいしい食べ物がたくさんあるのが三島の売り。今後も一緒に発展させていきたい」と喜んだ。
食セレクションの一つでもある「みしまマンゴー」を生産する鈴木貴之さんは、市内で5人目となる日本特産農産物協会の「地域特産物マイスター」に認定された。「富士山の伏流水で育て、品質は大産地にも負けない。三島にない生産物を作ってきたことが評価された」と報告した。
〈2024.03.07 あなたの静岡新聞〉
始まりは2011年 県産品のシンボル的存在として位置付け
「しずおか食セレクション」ブランド認定制度創設 農林水産物のPR強化 県が対象商品募集 ※2011年1月6日静岡新聞朝刊
山や海の幸など多彩な食材を活用した「食の都」づくりに取り組む県は、認定制度を県産ブランド全体のイメージ向上につなげる。
対象商品は県産農林水産物と茶で、応募資格は県内に活動拠点を持ち、生産を行っている個人、法人、団体。生産者と販売者の共同申請も可能。安全性や品質のほか3年以上の販売実績、コンクール入賞などの評価、独自性のセールスポイントが認定基準となる。
認定の特典として、販売先や消費者へのマッチングを県が支援するほか、今後作成する「しずおか食セレクションマーク」の表示、ブランドカタログへ掲載して情報を発信する。県マーケティング推進課は「認定を目指した取り組みを誘発し、食産業の活性化に生かしたい」とし、2013年度は加工食品も認定対象に広げる方針。
県「しずおか食セレクション」の20商品ブランド認定 ※2011年2月24日静岡新聞朝刊
静岡県は、県産農林水産物の中から価値や特徴がある商品をブランド認定する「しずおか食セレクション」の20商品を選び、23日、静岡市内のホテルで認定交付式を行った。
認定されたのは野菜7点、ミカン2点、畜産物1点、水産物5点、茶5点。応募のあった33商品から販売実績や独自性のセールスポイントなどを審査した。交付式で堀川知広経済産業部長は「本県食材の代表ブランドとして商品価値を高めてほしい」と述べ、生産者に認定証を手渡した。
ブランド認定された商品は県の「食の都」づくり推進役として、国内展示会やマッチングフェアなどでPRする。
認定商品、事業者は次の通り。
クラウンメロン(県温室農協クラウンメロン支所、袋井)▽アローマメロン(県温室農協磐田支所、浜松支所、静南支所)▽高糖度トマト「アメーラ」(サンファーマーズ、静岡市)▽高糖度ミニトマト「アメーラルビンズ」(同)▽久能葉しょうが(JA静岡市久能葉しょうが委員会、静岡市)▽伊豆きぬさやえんどう(伊豆太陽農協きぬさや部会、下田市)▽JA伊豆太陽野ぶき(伊豆太陽農協野ぶき部会、下田市)▽本貯蔵青島誉れ(三ケ日町柑橘出荷組合、浜松市)▽寿太郎プレミアムゴールド(南駿農協西浦柑橘出荷部会、沼津市)▽特選和牛静岡そだち(県経済連)▽稲取キンメ(伊豆漁協稲取支所、東伊豆町)▽須崎日戻り金目鯛(伊豆漁協須崎出張所、下田市)▽生桜えび、冷凍生桜えび(由比港漁協、静岡市)▽生桜えび(大井川港漁協、焼津市)▽遠州灘天然とらふぐ=活魚(浜名漁協、浜松市)▽静岡牧之原茶「望」(ハイナン農協、牧之原市)▽天空の茶産地川根奥光(大井川農協川根茶業センター、川根本町)▽国産ダイエットプーアール茶茶流痩々(荒畑園、牧之原市)▽花いろ烏龍茶(ヤマセン、牧之原市)▽丸子紅茶(村松二六、静岡市)
「しずおか食セレクション」常設販売で食の都PR 島田・KADODE
島田市竹下にある緑茶・農業・観光の体験型フードパーク「KADODE OOIGAWA」のマルシェにこのほど、静岡県の認定ブランド商品「しずおか食セレクション」と、「ふじのくに新商品セレクション」の入賞品をそれぞれ並べたコーナーが誕生した。県内の施設でブランド認定品などが常設販売されるのは初めて。県とKADODEが協力し“食の都しずおか”を来場者にPRする。
しずおか食セレクションのコーナーには季節ごとに旬の認定食材が陳列され、ふじのくに新商品セレクションのスペースには三島市特産のニンジンを使った21年度最高金賞「ぎゅっとまるごとにんじんジュース」(東平商会、長泉町)など、最高金賞をはじめとするこれまでの入賞品が常時約50種類並ぶ。
コーナーの近くにはキッチンが整備されていて、各産地自慢の逸品を調理し、来場者に提供するプランも準備中という。県経済産業部の土泉一見参事は「食の都しずおかを代表する食材や加工品を多くの来場者に手にとってほしい。県の代表的な土産品として定着することを期待したい」と述べた。
(池田悠太郎)
〈2022.05.12 あなたの静岡新聞〉
※集計数は初出掲載時のまま
社説 国内観光回復 静岡県の現状が心配だ
観光庁の宿泊旅行統計調査で国内観光の回復が鮮明になってきた。
ただ、静岡県の状況が心配だ。都道府県別データが示された昨年11月は10府県が19年同月比でプラスに転じたものの、静岡は約170万人泊で11・9%減にとどまり全国平均の7・2%減を下回る。最も増加幅が大きいのは山口で24・8%増。長崎、栃木が続き、本県の周辺では山梨と長野が増加した。
日本人客に限ると、東海4県でマイナスを脱していないのは静岡県のみ。一時的な状況なのか、構造的な課題が潜むのか精査が必要だ。
県内観光は「政策効果で回復傾向にある」(静岡財務事務所)が、鈍い回復状況について「団体旅行から小グループへの転換が見られ、受け入れや誘客態勢の再構築が必要」との指摘がある。
コロナ禍後を見据え、生き残りを懸けた地域間競争はますます激化する。富士山を筆頭に風光明媚[めいび]で温泉施設にも恵まれているからと、座して客を待つなら本県が掲げる観光立県は遠のく。
政府は23年度予算案で観光立国復活に向けた基盤強化を掲げた。自然環境に触れる旅や田舎に憧れる都市住民を想定し「第二のふるさと」「何度も地域に通う旅、帰る旅」の創出に乗り出す。障害や年齢にかかわらず誰もが快適に過ごせる「ユニバーサルツーリズム」や、観光を通じて地域資源の維持発展に貢献する「持続可能な観光」は世界水準の観光地づくりで主流になっており、政府はこれら観点での取り組みも支える。
本県にとって注目したい政策は「宿泊業の食の価値向上事業」だ。観光庁は、地元食材の価値を大切にする地産地消への認識不足を旅行業界の課題に挙げる。その土地ならではの食をPRして滞在価値を高めるため、宿泊施設と一流シェフのマッチング事業を支援する。ただ、「海に近いから海の幸、山間部なら山の幸」では食を十分にアピールできないのが実情だ。宿泊施設は派遣された人材と協働し戦略を磨く必要がある。
静岡県は海、山、川の食材が豊富だ。県産食材を活用した食文化振興を推進し、地産地消を実践する職人を顕彰する「ふじのくに食の都づくり仕事人」の制度もある。こうした人材が観光業の底上げに積極的に参画してくれれば、政府施策の理念を具現化する好事例になるだろう。
来るべき水際対策の大幅緩和に向け、外国人旅行客の取り込みが課題だ。
政府は観光立国を推進するための基本計画の改定案を有識者会議に示し、25年に訪日客数の最多を更新する目標を掲げた。客数のみに依存せず、1人当たりの消費額増や、地方での宿泊日数上積みを目指す方針を示した。
静岡県は全便欠航となっている静岡空港の国際定期便の再開活動を活発化させている。3月26日から韓国チェジュ航空が運航するソウル線が再開する。清水港では、国内の先頭を切って国際クルーズ船の寄港ラッシュを迎える。
文化庁は日本の文化芸術の多様性を世界に発信する観光支援に着手し、環境省は国立公園などで「保護と利用の好循環」を目指すなど、政府の訪日客政策は多様化し、かつ充実してきた。
本県が舞台の一つになり、日中韓の3カ国が連携する「東アジア文化都市」事業は絶好の交流機会になるだろう。コロナ禍は予断を許さないが、今年を県内観光再生の1年にしたい。
〈2023.02.18 あなたの静岡新聞〉