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元中学横綱「吉井」幕内で奮闘中 どんな力士?

 昨年、2場所連続で頂点に迫った熱海富士(熱海市出身)と、得意の肩透かしで会場を沸かせた小兵力士翠富士(焼津市出身)の活躍で、角界では静岡旋風が巻き起こっています。注目の力士は幕内だけでなく幕下にも。今回は、焼津港中卒業後角界入りした幕内優勝経験者のホープ、時津風部屋の吉井(20)の活躍を紹介します。

中学横綱、堂々気後れなし

※2020年7月26日 静岡新聞朝刊  

寄り切りで碧海浜(左)を破った吉井=25日、両国国技館
寄り切りで碧海浜(左)を破った吉井=25日、両国国技館
 16歳8カ月の若さで幕下昇進を果たした吉井=本名吉井虹(こう)、焼津市出身、時津風部屋=が大相撲7月場所で奮闘している。25日まで2勝2敗。8月1日で17歳となるホープは178センチ、150キロ程度で突き、押しを得意とし「同じ番付の相手。強くなるのに年齢は関係ない」と先輩力士ばかりとの対戦にも気後れせず、堂々と言い切る。
  入門が義務教育修了後となった現行制度では旭桜、後に「平成の大横綱」と呼ばれた貴花田(後の貴乃花)とは日数の差で続いて3番目のスピード出世。小学4年で相撲を始め、5年から中卒での角界入りを決意した。一昨年の全国中学校選手権個人を制した逸材だ。
 地元の道場に中川親方(元幕内旭里)が熱心に顔を出していたことがきっかけで、中川部屋に入門。昨年春場所に初土俵を踏んだ。だがその師匠による弟子への不適切指導が発覚して今場所前に部屋は閉鎖となり、時津風部屋に移籍した。新天地での生活に「みんな優しく受け入れてくれた」と感謝する。
 幕下昇進の際、部屋は違うが昨年秋場所限りで引退した中村親方(元関脇嘉風)から博多帯を贈られ「本当に幕下に上がったんだな」と実感。中学の日本一に輝いた時のインタビューで、尊敬する力士として名前を挙げてから目をかけられているそうで「期待に応えられる相撲を取りたい」と意気込む。あどけない表情に気骨をにじませ、さらなる高みを目指す。  

焼津港中時代は後輩・桑原(現・聖富士)と共闘

※2018年8月20日 静岡新聞朝刊

 相撲団体は焼津港が優勝を果たした。全国の強豪校を倒して勢いに乗り、頂点まで上り詰めた。
 朝日(鹿児島)との決勝。先鋒(せんぽう)で敗れた清水の悔しさを、個人戦を制した中堅の吉井と大将の桑原が力に変えた。吉井は確実に勝利し、桑原の体をたたいて気合を注入。気持ちが入った桑原は引き落としで勝負を決めた。
 焼津相撲クラブに通う3人は1学年ごとに異なるが、互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、チーム力で全国制覇を成し遂げた。松浦監督は「落ち着いて最後まで集中を切らさなかった」と目を細めた。

▽団体予選3回戦
 宇土鶴城(熊本) 2―1 焼津港
 ▽同決勝トーナメント1回戦
 焼津港 2―1 鳥取西(鳥取)
 ▽同決勝トーナメント2回戦
 焼津港 2―1 呉羽(富山)
 ▽同準々決勝
 焼津港 2―1 栗駒(宮城)
 ▽同準決勝
 焼津港 2―1 合川(秋田)
 ▽同決勝
 焼津港 2―1 朝日(鹿児島)
 清水 つきだし 浜口 ○
 ○ 吉井 おくりだし 栄 
 ○ 桑原 かたすかし 西加 
 ▽個人決勝トーナメント1回戦
 吉井虹(焼津港) したてひねり 花房海(東京・神代)
 ▽同決勝トーナメント2回戦
 白川大翔(香川・勝賀) おしだし 桑原哲平(焼津港)
 内田京汰(焼津豊田) よりたおし 酒部源太(愛知・常磐)
 吉井虹 はたきこみ 下村耶真人(山口・夢が丘) 
 ▽同決勝トーナメント3回戦
 井ノ上豪志(和歌山・箕島) ひきおとし 内田京汰
 吉井虹 ひきおとし 山下昇(高知・明徳義塾)
 ▽同決勝トーナメント4回戦
 吉井虹 おしだし 角田虎紀(石川・鳴和)
 ▽同準々決勝
 吉井虹 かたすかし 脇田晃太郎(鹿児島・伊敷台)
 ▽同準決勝
 吉井虹 おくりだし 竹田章一郎(栃木・若草)
 ▽同決勝
 吉井虹 つきおとし 大辻理紀(兵庫・報徳学園)

兄・蓮とともに13年ぶりの快挙 

※2016年7月31日 静岡新聞朝刊

相撲団体 焼津港―富士宮富士根南 優勝が懸かった大将戦で勝利した焼津港の吉井蓮(右)=県立富士宮北高相撲場
相撲団体 焼津港―富士宮富士根南 優勝が懸かった大将戦で勝利した焼津港の吉井蓮(右)=県立富士宮北高相撲場
 「『全国に行くんだ』と思って全力で投げにいった」。相撲団体は、焼津港が6月の県会長杯で敗れた富士宮富士根南に2勝1敗の逆転勝ち。優勝が懸かった大将戦で大一番を演じた吉井蓮は、弟の吉井虹(こう)とともに喜びを爆発させた。
 先鋒今野が敗れ、中堅虹が取り返して迎えた大将戦。会長杯では力負けした体重差約45キロの土屋に張り手ではじかれ、狙いの下手を取れなくなった。「上手から捨て身でいくしかない」。土俵際に追い詰められた瞬間、相手の股に足を入れて体ごと投げ飛ばし、ライバルに土を付けた。
 寄り切りで流れをつくった虹は「あとは大将に託すしかないと思って戦った。(兄のことを)正直かっこいいと思った」と満面の笑み。蓮は「兄弟で出られる最後の大会。全力を出し切りたい」と全中へ意気込みを口にした。

相撲(富士宮北高)
 ▽団体
 ①焼津港②富士宮富士根南③富士須津④富士宮三
 ▽個人
 ①大桑元揮(藤枝高洲)②土屋和也(町清水南)③八木裕真(磐田城山)④篠原(富士吉原三)⑤永田(袋井)⑥大村(浜松三方原)⑦武井(熱海)⑧土屋(富士宮富士根南)

新弟子検査決定「早くプロに」

※2019年2月12日 静岡新聞夕刊

少年相撲の「白鵬杯」に出場した中学横綱の吉井虹=両国国技館
少年相撲の「白鵬杯」に出場した中学横綱の吉井虹=両国国技館
 昨年の全国中学校体育大会の相撲個人を制した吉井虹(焼津港中3年)が大相撲の中川部屋に入門し、春場所(3月10日初日・エディオンアリーナ大阪)の新弟子検査を受検することが11日、分かった。横綱白鵬が主催する少年相撲の国際親善大会「白鵬杯」に出場後、東京・両国国技館で「早くプロに行きたかった。横綱になりたい」と語った。
 身長176センチ、体重145キロの中学横綱は右四つで前に出る攻めが得意だという。師匠となる中川親方(元幕内旭里)は「性格もいいし機転も利く」と話した。
地域再生大賞