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102回全国高校サッカー選手権28日開幕 4年ぶりV狙う静岡学園の注目選手は?

 第102回全国高校サッカー選手権がいよいよ28日に開幕します。4年ぶりの全国制覇を目指す静岡学園は、29日に超激戦区といわれるブロックで明徳義塾(高知)との初戦を迎えます。個人技を前面に出す伝統の攻撃的スタイルが今年も健在。注目選手や、藤枝東との激闘を制した静岡県大会決勝をおさらいしておきましょう。
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初戦突破へJ内定3選手けん引 初戦は29日午後0時5分キックオフ!

 第102回全国高校サッカー選手権は28日開幕する。高校生世代最高峰プレミアリーグの西地区3位で4年ぶり3度目の全国制覇を狙う静岡学園は29日の1回戦で明徳義塾(高知)と浦和駒場スタジアム(埼玉)で対戦する。キックオフは午後0時5分。

4年ぶり3度目の全国制覇を狙う静岡学園イレブン=静岡市駿河区の同校谷田グラウンド
4年ぶり3度目の全国制覇を狙う静岡学園イレブン=静岡市駿河区の同校谷田グラウンド
 静岡学園は2年ぶり14度目の出場で前回は準々決勝敗退。対する明徳義塾は高知県1部リーグ所属で3年ぶり9度目の出場。相手は格下だが、初戦で不覚を取った全国総体の反省を生かし、セットプレーに警戒した上で確実に勝って勢いに乗りたい。
 同じブロックにはプレミアリーグ東地区1位の青森山田、7位の昌平(埼玉)、同西地区4位の大津(熊本)、7位の米子北(鳥取)など強豪が集まり、超激戦区となった。順当に勝ち上がれば、青森山田との対戦が予想される3回戦がヤマ場になりそう。今季のプレミア東西優勝チームの対決「ファイナル」を制した絶対王者を倒し、日本一への道を開きたい。
 大会は開幕戦を除いて中1日の日程で、準決勝からは国立競技場が会場。決勝は来年1月8日に行われる。

 神田、高田、中村けん引 伝統の攻撃スタイル健在
 個人技を前面に出す静岡学園伝統の攻撃的スタイルは今年も健在。夏場から主力にけが人が相次いだが、多くが復帰。来季J内定の3選手を中心に全国優勝を狙える戦力を有し、川口監督は「今年のチームは粘り強さがある。大会を通じ、試合ごとに成長できれば」と大舞台を見据える。
 J1川崎入りが決まっているエース神田は両足甲の手術で県大会を欠場したが、11月末から戦列に戻り本番に照準を合わせている。中盤でどれだけボールを保持できるかが鍵で、J2徳島に入団するMF高田には得点に絡むプレーだけでなくゲームメークにも期待がかかる。庄、田嶋、志賀らアタッカーは多彩で、後はかじ取り役のボランチを誰に託すか。3年の森崎、1年の山県らが先発を争う。
 守備陣は来季J1東京V内定のGK中村主将が統率する。プレミアリーグ終盤に目立った不用意な失点は改善が必要。ボランチが本職でCBを務める大村は「ビルドアップで詰まった時に打開するパスを出し、守備でもスライディングでガッツあるプレーを見せたい」と意気込む。チーム目標の日本一をつかみ取るため、主将の中村は「気持ちの強い方が勝つ。目の前の試合に集中し、これまで積み上げてきたものを出すだけ」と決意を示す。

 神村、明秀も強敵
 静岡学園の激戦区の他には、前回初優勝した岡山学芸館は初戦で、U-18プレミアリーグ東地区2位の尚志(福島)とぶつかる。日章学園(宮崎)は11月にU-17ワールドカップで4得点した2年の俊足FW高岡を中心に攻撃力が高い。市船橋(千葉)も地力はある。
 反対のブロックに入った前回4強の神村学園(鹿児島)も優勝候補の一つ。J2仙台に加わる西丸、ベルギーのゲンク入りする吉永、U-17日本代表の名和田ら充実した戦力で初制覇を目指す。夏の全国高校総体を制した明秀学園日立(茨城)は堅守速攻を武器とする。
第102回全国高校サッカー選手権 日程
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静岡学園メンバー ※画像タップで拡大してご覧になれます

【図表】全国高等学校サッカー選手権大会組み合わせ

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県大会 藤枝東との激闘制し2年ぶりV 宮崎が決勝弾

 第102回全国高校サッカー選手権静岡県大会(県サッカー協会、県高体連、静岡新聞社など主催)は11日、エコパスタジアムで決勝を行い、静岡学園が藤枝東を2―1で下し、2年ぶり14度目の優勝を飾った。全国大会の開幕は12月28日で、11月20日に組み合わせ抽選会が行われる。

静岡学園―藤枝東 後半26分、勝ち越しゴールを決めて喜ぶ静岡学園・宮崎(中央)。左端は先制ゴールの庄=11日午後、袋井市のエコパスタジアム(写真部・小糸恵介)
静岡学園―藤枝東 後半26分、勝ち越しゴールを決めて喜ぶ静岡学園・宮崎(中央)。左端は先制ゴールの庄=11日午後、袋井市のエコパスタジアム(写真部・小糸恵介)

 ▽決勝
 静岡学園 2(1―1 1―0)1 藤枝東
 ▽得点者【静】庄(宮崎)宮崎(庄)【藤】植野(江口)


 【評】静岡学園が苦しみながらも2―1で藤枝東を下した。
 前半からボール保持率で上回ったのは静岡学園。ドリブルとショートパスで仕掛け続け15分、庄が正面からミドルを突き刺した。
 藤枝東は縦に速い攻撃で対抗し29分、植野の頭で追い付き、終了間際にも江口の好機があった。後半序盤も流れをつかみ18分に江口がバー直撃のヘディングシュートを見せた。
 しかし、26分に静岡学園の宮崎がゴールを奪い、試合を決めた。

流れ渡さず 後半決勝点
 流れを引き戻す勝負強さを見せた。静岡学園はボールを保持しながら藤枝東の速攻に手を焼いたが、「次の1点を取れば勝ちだと思った」。決勝点を挙げたFW宮崎は冷静に試合を振り返った。
 集中力を高めて試合に入り、前半早い時間にFW庄のゴールで先手を取った。しかし、「急ぎすぎてミスが多く、もっとゆったり攻めたかった」と川口監督。相手の守備ブロックを崩せず、ピンチを招く場面もあった。
 前半29分に追い付かれたが、「1失点は想定内。耐えれば好機が来る」。主将のGK中村が守備を統率し、追加点を許さなかった。
 県総体を制したが、全国総体は初戦敗退。主力にけが人も続出し、今大会前は苦しい期間を過ごした。中村が頼ったのは2019年度全国優勝メンバー阿部健人元主将。「今できることを120%やるしかない」。金言をもらいチーム内で共有し、甘さを廃した。
 来季J1川崎入り内定のエース神田を欠いた今大会は0トップで流動的に攻撃を展開。夏までBチームだった宮崎は「ドリブルのキープ力が武器。自分の良さを出せた」。チームの総力で2年ぶりに県の頂点に立った。
 全国大会までには神田ら主力が戻る。「大会を通じチームが成長し、これからが楽しみ。静学のスタイルを表現したい」。指揮官は4年ぶりの全国制覇に照準を合わせた。
 (寺田拓馬)

ラッキーボーイ 庄、2点に絡む活躍
 ラッキーボーイが2得点に絡む活躍でチームを救った。静岡学園のFW庄は大会前までBチーム。「数カ月前には想像できなかった」と試合後は笑みがこぼれた。
 前半の先制点は鮮やかなミドル。「コースが見えていた」と右足を振り抜いた。ドリブルで仕掛ける積極性が持ち味。後半26分には攻め込むと、宮崎に絶妙のタイミングでスルーパスを出した。
 今大会計3得点で前線からの守備でも貢献したが、主力が復帰すればレギュラー争いがまた激しくなる。「アピールし続け、観客を楽しませるプレーがしたい」。全国舞台へ決意を新たにした。

藤枝東無情 3年連続準V エース同点弾も遠い1点
 無情の笛の音が響き渡ると、藤色のイレブンは天を仰ぎ、力なく膝に手を置いた。3年連続でたどり着いた決勝の舞台で、藤枝東は三たび苦杯をなめさせられた。「2番ではだめ。1番にならないと変わらない」。伝統校を率いる鷲巣監督の言葉が重く響く。
 序盤から相手の圧力に押されて思い通り前進できず、先手も奪われた。それでも、エースの一撃で息を吹き返す。前半29分、身長189センチのFW植野が左クロスを頭でたたき込む。試合を振り出しに戻すと、鋭い逆襲や両翼を使った攻撃で得点の匂いを漂わせた。
 最大の決定機は後半18分。右から届いた浮き球に、遠いサイドのMF江口が頭で合わせた。しかし、惜しくもクロスバーを直撃。1点目をアシストし、攻撃をけん引した背番号11は「実力不足です」と言葉を絞り出した。
 3度目の決勝のピッチに立った主将のDF野田の目には涙がにじんだ。ただ、過去2年とは異なり、後方からの攻撃の組み立てに手応えも感じたという。「藤枝東はパスサッカーのチーム。今後もチャレンジしてほしい」と後輩たちに願った。
 (市川淳一朗)

静学・中村MVP
 全国高校サッカー選手権県大会の優秀選手、優秀レフェリーは次の通り。
 【MVP】(最高殊勲選手)中村圭佑(静岡学園)
 【ベストイレブン】GK 中村圭佑(静岡学園)▽DF 野田裕人(静岡学園)八巻涼真(浜松開誠館)細見和志(浜名)▽MF 田嶋旦陽(静岡学園)野田隼太郎(藤枝東)高田優、庄大空、森崎澄晴(以上静岡学園)▽FW 宮崎隆之介(静岡学園)植野悠斗(藤枝東)
 【優秀GK】藤崎蒼葉(藤枝東)
 【優秀DF】村上樹(藤枝東)
 【最優秀新人】なし
 【得点王(3点)】高田優、植野悠斗、庄大空、湯山大輔(藤枝東)、手塚有澄(聖隷クリストファー)
 【アシスト王】なし
 【優秀レフェリー】林繁久(静岡商高教)
 【フェアプレー賞】なし

【図表】静岡学園メンバー一覧

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