知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

⚽J3アスルクラロ沼津サポーター団体「沼津ダラーズ」活動休止 これまでの歩み

 サッカーJ3アスルクラロ沼津のサポーター団体「沼津ダラーズ」が、活動休止を発表しました。メンバーの減少や高齢化により、存続が難しくなったということです。クラブを支えるため、スタジアム内外で熱いエールを送り続けていた沼津ダラーズ。名前の由来や団体の思いなど、これまでの歩みを振り返ります。

活動10年の節目に休止決断「昇格への夢つないで」

 サッカーJ3アスルクラロ沼津のサポーター団体「沼津ダラーズ」が(12月)2日、活動10年の節目を迎え、活動を休止すると発表した。メンバーの減少や高齢化が要因。渡辺高久代表(40)は「アスルは宝のようなクラブ。J2に向けて夢をつないでいきたい」と思いを語った。

沼津ダラーズが作成した「沼津の誇り」の横断幕を掲げ、応援に臨むサポーターら=沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場
沼津ダラーズが作成した「沼津の誇り」の横断幕を掲げ、応援に臨むサポーターら=沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場
 同団体は、クラブがJFLに所属していた2014年に結成。当初のメンバーは3人ほどで、ゴール裏での応援活動を中心に、スタジアムでのイベントなどを通じてクラブにエールを送ってきた。現在も試合時に掲げる「沼津の誇り」と記した横断幕は、ダラーズが作成したという。
 結成当初から活動に加わる山本哲也さん(51)は「勝っても負けてもみんなが笑顔で応援できる場を目指してきた」と振り返る。
 クラブがJ3に入った17年ごろには、メンバーが10人以上に増えていったが、子育てや仕事といった環境の変化から今では9人に減り、継続が難しくなったという。渡辺さんは「アスルのために力になれることがあれば、また団体で動くかもしれない」と話し、「アスルが100年、1000年と続くクラブになってほしい」と願った。
 〈2023.12.7 あなたの静岡新聞〉

チームは「沼津の誇り」 J3参入前からアスルを鼓舞

 ※2015年3月14日 静岡新聞朝刊から

 沼津市の愛鷹広域公園で(2015年3月)8日に行われたアスルクラロ沼津の開幕戦。試合中、何度もバックスタンドのサポーターからわき起った「アスルクラロ」のコールは、メーンスタンドを巻き込み、大声援となってスタジアムに響き渡った。チームも勝利を収め、幸先の良いスタートを切った。
 バックスタンドに陣取ったサポーターのまとめ役は有志のグループ「沼津ダラーズ」。静岡県東部の語尾に付く方言「だら」が名前の由来。2013年、チームを応援する数人で結成し、アスルクラロ沼津のJ3入りを選手と共に目指している。(※アスルクラロ沼津は2017シーズンにJ3参入)
 代表は横浜市の会社員渡辺高久さん(31)。沼津市の出身で、試合の度に応援に駆け付ける。「地元にJリーグチームがほしい」。中学生のころから抱いた思いは変わらず、12年の東海2部リーグ時代から本格的に応援を始めた。「地元のチームは“自分のクラブ”。自分が関わってJ3入りを後押しできるのが楽しい」と、大声援で選手を鼓舞する。
 コールリーダーを務める沼津市の会社員山本哲也さん(42)は、03年に廃部になったJFLジヤトコの元サポーター。「沼津から西武百貨店や丸井などがなくなり、街の活気は失われた。アスルクラロ沼津はその代わりに地元を盛り上げてくれている」とチームへの思いを語る。県外の試合にも足を運ぶ。
 沼津ダラーズにとってチームは「沼津の誇り」。J3入りには、戦績のほかホームゲームの平均観客数が2千人以上という条件もある。今季の目標は2500人。「応援する仲間を増やしたい」。県東部初のプロチーム誕生に向けて、サポーターも全力を傾ける。
 ※年齢、肩書は当時のまま

スタジアム照明問題に直面も… J3ライセンス維持へ機運醸成

 ※2022年2月20日 あなたの静岡新聞から

クラブへの思いを語り合う沼津ダラーズのメンバー=沼津市内
クラブへの思いを語り合う沼津ダラーズのメンバー=沼津市内
 「東部地域にJリーグをこれからも」-。サッカーJ3アスルクラロ沼津のサポーター団体「沼津ダラーズ」が、スタジアムの照明問題でクラブが直面するJ3ライセンス喪失の危機回避へ、支援活動に乗り出した。クラブの歴史などを紹介する展示会を開催予定で、照明改修に向けた機運の醸成につなげる。
 ホームの愛鷹広域公園多目的競技場は夜間照明が基準を満たさず、ライセンス維持には今季中の改修が求められている。クラブは、クラウドファンディングや企業版ふるさと納税などで資金調達を進めている。
 ダラーズは第1弾として、(2022年2月)28日から3月27日まで、沼津市大手町のJR沼津駅ビル「アントレ」内の観光案内所で展示会を開く。地域に愛されてきたクラブの魅力を知ってもらうため、地域リーグ、JFL時代の写真や歴代のユニホーム、サポーターが寄せたメッセージなどを並べる。
 (2022年2月)19日にはメンバー5人が市内に集まり、展示写真の選定などを行った。「沼津にJクラブが誕生し、誇りができた。築き上げたものを簡単になくしてはいけない」と思いを語り合った。
 リーグ開幕後は、ホーム戦に合わせた活動などでクラブに協力していく。渡辺高久代表(38)は「アスルのポテンシャルを信じている。後悔しないためにできることをやり、未来のJ2、J1昇格につなげたい」と言葉に力を込める。(大石真聖)
 ※年齢、肩書は当時のまま
地域再生大賞