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ラグビーリーグワン開幕!今季、静岡ブルーレヴズは?

 いよいよ、ラグビーリーグワン1部の2023~24年シーズンが12月9日に開幕、静岡ブルーレヴズは初戦で、日本代表のリーチマイケル選手らが所属する東芝ブレイブルーパス東京と対戦します。クラブ創設3年目、前日本代表のナショナルチームディレクター藤井雄一郎氏、アシスタントコーチ長谷川慎氏らを迎えた新体制となり、チームはトップ4入りを目指します。昨季の振り返り、新シーズンに向かう様子など見どころをまとめます。

静岡ブルーレヴズ、9日開幕戦 藤井新体制、トップ4へ船出 ラグビーリーグワン1部【しずスポ】

 目標のトップ4(プレーオフ圏内)進出へ。ラグビーリーグワン1部の静岡ブルーレヴズは9日、BL東京との開幕戦(味の素スタジアム)に臨む。「どの部分で勝つかより、いろんなことができるチームに」。静岡の藤井雄一郎新監督が今季の展望を描く。ヤマハ発動機時代からFW陣のセットプレーに揺るがぬ自信を持つ静岡。だが「武器を抑えられたら厳しくなる」。指揮官は“伝統”に幅広い戦術を融合させることが上位に入る鍵と見る。

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トヨタとのプレシーズンマッチを前に、円陣を組む静岡フィフティーン=ヤマハ大久保グラウンド(写真部・二神亨)

 昨季は接戦に勝ちきれず、終盤の攻防に課題を残した。日本代表ナショナルチームディレクターだった藤井監督はワールドカップ(W杯)フランス大会後にチームに合流。宮崎・延岡合宿ではコンタクトや体力強化に重点を置き、80分を戦い抜く基礎固めを徹底した。
 最大の強みであるFW陣のセットプレーは今季も戦い方の軸になる。藤井監督から副将を託された3年目のフランカー庄司拓馬は「スクラム、ラインアウトの考え方は変わらない。そこで圧倒していくのが自分たちのスタイル」と強調する。日本代表の強固なスクラムを作り上げ、今季から静岡に復帰した長谷川慎アシスタントコーチからも緻密な指導を受け“代名詞”はより脅威を増している。
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トヨタとのプレシーズンマッチでスクラムを組む庄司=ヤマハ大久保グラウンド(写真部・二神亨)

 セットプレーで圧力をかけた上で、重要になるのが相手に的を絞らせないアタックだ。2年目のSO家村健太がキープレーヤーの一人に挙がる。昨季第9節の東京SG戦でリーグ戦デビューし、以降最終節まで全試合で先発出場。非凡なゲームメークと新人らしからぬ落ち着きで存在感を放った。バックスの司令塔としてラン、パス、キックをどう選択しボールを運ぶのか。外国人選手とも密な連係を重ね頭をフル回転させる。「信頼される10番になり、チームを前進させたい」。今季はコンバージョンキックにも挑戦する。
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トヨタとのプレシーズンマッチでゴールを狙う静岡・家村=ヤマハ大久保グラウンド(写真部・二神亨)

 W杯組からは南アフリカ代表で連覇に貢献したナンバー8クワッガ・スミスが合流し、トンガ代表でフランス大会オフロードパス数1位のFBチャールズ・ピウタウが加わった。FWとバックス、それぞれに世界クラスの選手を擁し布陣は盤石だ。新生静岡が旋風を巻き起こせるか。期待は高まっている。
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5月18日、加入会見に臨んだピウタウ(右)と山谷社長=磐田市内

 (吉沢光隆)
〈2023.12.08 あなたの静岡新聞〉

今季は藤井新監督が指揮 「目指すはトップ4」

 ラグビーリーグワン1部の静岡は21日、新監督に就任した前日本代表ナショナルチームディレクター藤井雄一郎氏(54)の記者会見を浜松市内で開いた。藤井新監督は新リーグ発足から2季連続で8位に低迷するチームの立て直しへ、「どれだけ頑張って上のチームを倒すか。トップ4に入れるチームをつくる」と抱負を述べた。

記者会見で抱負を述べる藤井新監督=浜松市内
記者会見で抱負を述べる藤井新監督=浜松市内
 藤井氏はリーグワン前身のトップリーグ・サニックスで14年間監督を務めた後、2019年のワールドカップ(W杯)日本大会で日本代表強化委員長として初の8強進出に貢献。現場復帰を決めた理由について「次は監督をやりたかった。いくつか話はもらったが、一番好きなチームに決めた」と語った。
 昨季までチームを指揮した堀川隆延氏はDF担当、アドバイザーから復帰する長谷川慎氏はFW全般のコーチとして指導を分担する考えを明らかにした。日本代表でともに活動した仲間を迎え「コーチ陣と一緒になっていいチームになっていけば」と話した。
 現在の静岡について「コンタクトが好きな選手が多いが、スキルがまだ少ない」と指摘。4強入りを目指す上で「日本代表に入る選手を出すことがトップ4で勝っていく条件」と強調した。
 会見に同席した山谷拓志社長は「世界に挑むチームづくりにたけている。かつてのように優勝争いできるチームにしたい」と新指揮官に期待を寄せた。
(運動部・名倉正和)
〈2023.10.22 あなたの静岡新聞〉

頼れる主将はラグビーW杯優勝の南アフリカ代表メンバー、クワッガ・スミス選手

 ラグビーリーグワン1部の静岡は24日、新シーズンの主将を昨年に続き、ナンバー8クワッガ・スミスが務めると発表した。新たに設けた副将にはフランカー庄司拓馬、WTBマロ・ツイタマの2人が就く。

埼玉戦の前半、攻め込む静岡・スミス=ヤマハスタジアム
埼玉戦の前半、攻め込む静岡・スミス=ヤマハスタジアム
 スミスは9月に開幕するワールドカップ(W杯)フランス大会で南アフリカ代表に選ばれている。クラブを通じ「W杯に全力で取り組み、その後はリーグワンのシーズンに向けてさらに力を尽くすべく準備万全で磐田に戻ってくる」とコメントした。
〈2023.08.25 あなたの静岡新聞〉

9月開幕大舞台「日本での経験生かしたい」
 悲願のワールドカップ(W杯)連覇へ。ラグビーリーグワン静岡で今季を終えたばかりのクワッガ・スミス(29)の視線は、9月に開幕するフランス大会に向いている。「まずは大舞台でプレーするチャンスを得て、全力を出し切りたい」。静岡や日本で培ったスキルも武器に、南アフリカ代表・スプリングボクスの夢を追う。

 2019年11月2日、スミスは栄光の時を迎えていた。W杯日本大会に南アフリカ代表として出場し、同国3度目となる優勝を経験した。自身は1次リーグで2試合に先発。18年からヤマハ発動機でプレーしていたこともあり、「日本のファンの声援を受けながらの大会。優勝は本当に特別な経験だった」と回想する。
 キャリアに最高の栄誉を刻んだスミス。一方で同時に生まれたのがハングリー精神だった。準々決勝の日本戦から3試合は登録23人から外れバックアップに回った。「メンバーと一緒にウオーミングアップをし、終わればシャワーを浴びてゲームを見ていた」。勝利を心から願い仲間を見守りながら「選手であれば絶対に出たいもの」と大舞台でプレーすることへの欲求は強まった。
 180センチとバックロー(FWの3列目)としては小柄ながら強烈なタックル、ジャッカルを得意とする。「誰よりもハードワークし、周囲にエナジーを与えるプレーを心がけている」と献身性も大きな特徴の一つだ。日本のラグビーにも大きな影響を受けた。「プレーの遂行力やスピード感があり、レベルが高い」。今季は静岡の共同主将を任され、チームを率いながら自分の最良を維持する重要性を体感。「代表にも、日本での経験をしっかり生かしていきたい」
 6月中旬から本格的な代表合宿が始まる。「代表キャップは30を超え、前回とは立場も変わっている。全試合で出場し、連覇の偉業を手にしたい」。4年前に見た景色を、今度はフィールド上で味わうつもりだ。

 クワッガ・スミス 1993年6月11日生まれ。南アフリカ出身。U-20(20歳以下)南アフリカ代表などで活躍し、2016年には7人制代表でリオ五輪銅メダルを獲得。スーパーラグビーの強豪ライオンズなどでプレーし、18年にヤマハ発動機に入団。本名はアルバータス・ステファナス・スミス。「クワッガ」はニックネームでアフリカーンス語で絶滅したシマウマの亜種を指す。2歳上の兄が、生まれて間もないスミスのことをクワッガと呼んだことがきっかけ。
(運動部・吉沢光隆)
〈2023.05.11 あなたの静岡新聞〉

昨季は5勝2分け9敗、8位で終幕

 ラグビーリーグワン1部の最終節が23日、ヤマハスタジアムなどで行われ、静岡は6位のトヨタに27-37で敗れ、5勝2分け9敗で昨季と同じ8位に終わった。

静岡-トヨタ 前半38分、静岡の家村(下から2人目)がトライ=ヤマハスタジアム(浜松総局・山川侑哉)
静岡-トヨタ 前半38分、静岡の家村(下から2人目)がトライ=ヤマハスタジアム(浜松総局・山川侑哉)
 横浜は神戸を52-26で下した。
 静岡は前半、連続2トライを許した。だが同24分に相手のシンビン(一時退場)で数的有利となり、ラインアウトモールでフッカー日野剛志がトライを決め追い上げた。同38分に敵陣でのスクラムからボールを受けたSO家村健太のトライで詰め寄った。
 後半は、FBキーガン・ファリアが大きく前進してトライに貢献。CTBヴィリアミ・タヒトゥアのトライで一時は1点差まで詰め寄ったが、3本のPGで突き放された。
トヨタ (37)21―12 16―15(27) 静岡
トヨタに27-37 終盤逸機、突き放される  静岡は終始リードされながら食らい付き、後半25分過ぎまでは1点を争う展開だった。最後はミスや反則を突かれ、力尽きた。最終戦を見届けようとヤマハスタジアムに詰めかけた観衆はリーグワン参入以降最多の1万2203人。多くのファンに勝利を届けることはできなかった。
 今季を象徴するゲームとなった。4点差で迎えた後半30分、敵陣でのスクラムで取られた反則に堀川ヘッドコーチは「あれが全てだった」と振り返る。終盤に許した3本のPGも響き、フッカー日野は「逆転できる雰囲気の時に取り切る、守り切ることができなかった」と課題を口にした。
 強みのスクラムは常に相手を上回るなど多くの見せ場は生んだ。前半の初トライはラインアウトモールで押し込んだレヴズスタイル。シーズン後半の躍進に貢献した新人家村の自身初トライも流れを呼び、レイウア、ツイタマの連係で決めたトライも場内を沸かせた。
 スミスら主力の離脱なども重なり、一時は入れ替え戦危機の苦しい時期もありながら、首位埼玉に勝つなど成長の跡を記した今季。来季はその経験を順位に反映したい。復帰した共同主将奥村は「この結果に満足していない。来年は今年より順位を上げる。強くなって帰ってくる」と誓った。
〈2023.04.24 あなたの静岡新聞〉
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