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若者人気抜群「なえなの」さん(御殿場出身)の魅力

 若い世代に人気を誇るインフルエンサー「なえなの」さん。2023年1月には御殿場市応援大使に就任し、地元を盛り上げてくれています。雑誌やテレビ番組出演のほか、CMでは歌声を披露するなど幅広い分野で目覚ましい活躍を見せています。静岡県内での活動をまとめました。

御殿場市応援大使に Z世代の人気インフルエンサー

 Z世代に絶大な人気を誇るインフルエンサー、なえなのさん(22)が23日、出身地の御殿場市の応援大使に就任した。市役所で行われた任命式で「SNSを使って大好きな御殿場を盛り上げたい」と語った。市内のイベント参加に意欲を示した。

自らデザインした御殿場応援大使の名刺のパネルを手にするなえなのさん=御殿場市役所
自らデザインした御殿場応援大使の名刺のパネルを手にするなえなのさん=御殿場市役所
 なえなのさんはダンスやメーク、朝晩の日課の動画などをSNSに投稿している。主に10~20代に支持され、総合フォロワーは700万人に達する。任命式で名刺やたすきを受け取り、「生まれ育った御殿場の応援大使になるのは不思議な気持ち。富士山がきれいに見えるスポットや、おいしいご飯を発信したい」と意気込んだ。
 この日は一日市長も務め、市内の施設で撮影に臨んだ。御殿場中2年生の集会にサプライズで登場し、歓声を浴びた。書道2段の腕前を披露し、激励の言葉を揮毫(きごう)した。
 なえなのさんは市立小中を経て、御殿場高を卒業した。大使就任を希望していると新聞記事で知った市職員がアプローチし、実現した。勝又正美市長は「富士山や自然、観光施設など御殿場の魅力を全国に広めてほしい」と期待を込めた。
(矢嶋宏行)
〈2023.1.23 あなたの静岡新聞〉

 

「周りの声で夢を諦める選択肢はなかった」 中高生時代振り返り

 交流サイト(SNS)で若者に絶大な人気を誇り「Z世代最強のインフルエンサー」とも呼ばれるタレントなえなのさん(22)=御殿場市出身=。歌手、俳優、デザイナーなど、幅広い分野の活躍の礎である、同市での中高生時代を振り返ってもらった。

思い出を語るなえなのさん=9月中旬、東京都港区
思い出を語るなえなのさん=9月中旬、東京都港区
 SNSを始めたのは中学生の頃。画像をつなげた動画がはやっていて、親友と遊んだ写真や動画を投稿していました。理由はよく分からないんですけど、東京のサロンに行ってクマの耳のようなヘアアレンジをしてもらった写真のツイッター(現X)投稿がきっかけでフォロワーが急激に増えました。御殿場高校に進学してからはウェブCM出演など、東京でのお仕事もいただくようになりました。
 SNSについては学生時代、周りの大人からも同年代からも良く思われていませんでした。「御殿場にやばい人がいる」みたいなイメージ。学校では「犯罪に巻き込まれる危険性があるから」とやめるよう諭され、当時の彼氏からは「SNSをやめて俺と付き合っているか、俺と別れてSNSを続けるか。どっちかにして」と選択を迫られました。とても迷ったけれど、私はSNSを選びました。
 現実世界で応援してくれる人があまりいなかった反動で、SNSで「すごいね」「頑張ってるね」と言ってもらえるのがすごくうれしかった。応援してくれるフォロワーを大事にしたいと思いました。「箱を開けるな」と言われたら、開けたくなる性格でもあります。母親譲りの負けず嫌いもあり、周りの反対の声により自分が夢を諦めるという選択肢はなかったです。
   ■ ■ ■
 今につながる思い出は、インフルエンサーの仕事と、御殿場高校バスケットボール部マネジャーを両立したこと。つらくても投げ出さなかった経験は、今も自信になっています。
 友達に誘われて入部しましたが、めっちゃ大変でした。バスケ経験者ばかりの中、私だけ何も知らない状態。審判をやっても、素人なので間違えてしまうことも。自分だけできないつらさや、真剣にプレーする選手への申し訳なさで、精神的にきつかったです。だんだん仕事が増え、部活とスケジュールがかぶってしまう問題もありました。仕事を優先した次の日は、部活に行くのが怖かったです。
 高3の春頃には、やめようかと本気で悩みました。でも友達や顧問の先生から「最後までいなよ」と声をかけてもらって。自分の中に選手を見届けたいという思いもあり、ここでやめたら高校生活が曖昧に終わってしまう気もして、やり抜きました。最後の大会後、選手から感謝を伝えられた時は涙が出ました。
   ■ ■ ■
 高校時代の夢はデザイナーだったのですが、地元で希望の求人を見つけられませんでした。自力で食べていく自信がなくて卒業後は市内のアパレル店に就職しましたが、インフルエンサーへの気持ちが強まり、両親の反対を押し切って上京しました。
 二つの仕事をして実感したのは、好きなことの方がモチベーションがあるし、つぎ込める力も大きいということ。「自分にはできないかも」「収入が安定しないかも」とか、どんな仕事にも不安要素はあると思います。でも、好きなら頑張れるし、強気でないと仕事はうまくいきません。
 インフルエンサーの印象を強く持たれていますが、そこを軸に、歌も演技もデザインもやりたい。「○○になりたい」ではなく、私はやりたいことをやりたい。やりたいことを並行して頑張ってきたら、今こうなったという感じです。
 青春が詰まった静岡県のことを大切に思っています。大好きなイチゴのPRや、たくさんある工場の魅力発信…。いろいろなお仕事に挑戦してみたいと思っています。

 なえなの 2001年生まれ。御殿場市出身。TikTokフォロワー数370万人、YouTubeチャンネル登録数110万人など、SNSの総フォロワー数は延べ700万人を超える。1月に同市の魅力を発信する「応援大使」に就任。6月には「うあのそら」で歌手デビュー。10月20日からはオフィシャルグッズストアを開設し、デザインや撮影を自ら手がけたTシャツやタオルなどを販売する。芸能プロダクション「seju」所属。
(聞き手=教育文化部・鈴木美晴)
〈2023.10.08 あなたの静岡新聞〉

 

地元・御殿場で大わらじ制作に挑戦 

 御殿場市の「御殿場応援大使」を務めるインフルエンサーのなえなのさん(同市出身)が21日、同市の東山地区コミュニティ共用施設で大わらじ作りを体験した。大わらじは富士登山者の安全を祈願する「御殿場わらじ祭り」で使用する。

大わらじ制作を体験する(左から)勝又市長となえなのさん=御殿場市の東山地区コミュニティ共用施設
大わらじ制作を体験する(左から)勝又市長となえなのさん=御殿場市の東山地区コミュニティ共用施設
 祭りの保存会会員や市民有志らが8月の祭りに向け、長さ3メートル、幅1・2メートルのわらじ制作に取り組んでいる。なえなのさんは勝又正美市長とともに、保存会会員から制作工程や歴史背景について説明を受け、約30分間作業に参加した。
 なえなのさんは「祭りや御殿場駅に展示されている大わらじしか知らず、ボランティアが作っていることや作業に力が必要なことに驚いた。未婚の女性だけが祭りで担げると知り、参加してみたい」と話した。
 同市ではかつて富士登山者の必需品としてわらじの生産が盛んだったことから、毎年わらじを開山行事として奉納し、健脚祈願や五穀豊穣(ほうじょう)、良縁成就を祈念している。
(東部総局・菊地真生)
〈2023.5.24 あなたの静岡新聞〉

歌手デビュー 「時代の先端」揺るがぬ自信

 若い世代の高い支持を集めるインフルエンサーでタレントの「なえなの」(御殿場市出身)が、デビュー曲「うあのそら」を発表した。「いろんなことをやりたいと思っていた中の一つが音楽。うれしいけど不安もありました」と語る。

インフルエンサーでタレントの「なえなの」さん
インフルエンサーでタレントの「なえなの」さん
 曲を手がけたのは、なえなのが10代の頃からファンだった「RADWIMPS」の野田洋次郎。ひんやりとしたシンセポップに抑揚を抑えたメロディーをループさせ、漂うようなため息も織り交ぜながら、22歳の不安と熱をクールに表現した。
 傷つけるより、傷ついた方が「ラク」で…。野田の歌詞からは、周囲と距離を保ちながら自分を守る若者像が浮かぶ。「『面白くて楽しい』を届けたいから、普段は見せないようにしている自分の感情が歌詞になっていた。見抜かれてるな」となえなのは不思議がる。
 中学1年で交流サイト(SNS)に投稿した自撮り写真が人気を集め、インスタグラムなどでファッションやメークなどを発信。「好きなことをして生きていたい」と、高校卒業後に就職したアパレル店をやめ、東京に引っ越した。「今の時代をつくっているのは絶対にインフルエンサーだと思う」。時代の先端にいるという自信は揺るがない。

〈2023.9.11 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞