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⚾春季高校野球東海大会 静岡で20日開幕 県代表2校の軌跡

 第70回春季高校野球東海大会の組み合わせが決まりました。各県の上位2校が出場し、5月20日から静岡県静岡市の草薙球場、清水庵原球場で試合が行われます。春の静岡県大会で初優勝を果たした加藤学園は大垣日大(岐阜2位)と、準優勝の日大三島は東邦(愛知1位)と初戦でぶつかります。静岡県代表2チームのこれまでの戦いぶりをまとめました。

加藤学園は大垣日大 日大三島は東邦と初戦

 第70回春季高校野球東海大会の組み合わせが9日、決まった。春の静岡県大会で初優勝を果たした加藤学園は大垣日大(岐阜2位)と、準優勝の日大三島は東邦(愛知1位)と初戦でぶつかる。大会は各県上位2校が出場し、20日から草薙、清水庵原球場で開催される。

春季高校野球東海大会組み合わせ
春季高校野球東海大会組み合わせ
 加藤学園は、切れのある直球と変化球との緩急で勝負するエース左腕吉川、最速140キロ超の右腕酒井に加え、県大会準決勝、決勝で好投した2年生右腕小沢が台頭した。大会を通して投手陣の厚みが増し、失点を計算できる。打線も2番大木を中心に調子は上向き。主力の主将太田が左肋骨(ろっこつ)の疲労骨折から復帰したことも大きい。
 日大三島は上位打線の綱島、永野が勝負強い。常に鋭い打球を飛ばし攻撃の軸となる。寺崎、池口も経験豊富で、杉山、相原は東部地区大会から好調を維持している。投手陣は主戦の技巧派左腕関野のほか、右腕永野も登板機会が多い。1年の右腕東海林も結果を出していて、登板の可能性がありそうだ。

県大会決勝を振り返り 加藤学園が初の県制覇

加藤学園─日大三島 7回途中まで2安打1失点に抑えた加藤学園の吉川=草薙球場
加藤学園─日大三島 7回途中まで2安打1失点に抑えた加藤学園の吉川=草薙球場
◆決勝(草薙第2試合)
加藤学園 100001000―2
日大三島 000000100―1
▽二塁打 池田、北條、太田(加)▽野選 大木(加)
▽試合時間 2時間6分

 【評】加藤学園が、日大三島打線を散発3安打に抑えロースコアの接戦をものにした。
 加藤学園は初回に先頭池田の二塁打で好機をつくり、藤沢の右前適時打で先制。六回には北條の左越適時二塁打で加点した。先発吉川はコーナーに制球良く投げ分け、許した安打は2本のみ。1点差に迫られた七回途中で救援した小沢も強気の投球で後続を断った。
 日大三島は永野が力投し投手戦に持ち込んだが、好機を生かし切れなかった。

 課題の接戦 粘り勝ち 吉川-小沢 好投リレー
 先発吉川がエースらしく試合をつくり、今大会台頭した2年の小沢が好救援。2人のリレーで緊迫の投手戦を制した。加藤学園は昨秋東海大会準決勝で常葉大菊川に0-2で敗れて以降、接戦でいかに勝つかを課題としてきた。粘り強く戦い、つかんだ初の栄冠に米山監督は「取り組んできたことが形に現れた」と成長を実感した。
 吉川は常に有利なカウントをつくりアウトを重ねた。最速137キロの直球と変化球の緩急もさえ、5連続を含む計8三振を奪い被安打はわずか2本。「内角の直球が甘くならずに投げ込めた」と納得の表情を浮かべた。
 好投した準決勝に続き、七回途中から登板した小沢は一打同点の場面で強気に内角を攻め、見逃し三振でピンチを脱出。前回課題となった最後の打者も中飛に切り「絶対に抑えてやるという思いだった。腕を振ることができた」。
 大会を通じ戦力の底上げも収穫だった。先制打を放った藤沢は今春から三塁の定位置をつかみ主軸に成長。負傷離脱していた太田に代わり中堅に入った石田ら存在感を示した選手もいた。指揮官は「太田や大木以外の選手もやるべきことをやってくれた。課題はまだまだあるので、チャレンジャー精神を貫いていきたい」と表情を引き締めた。

日大三島 1点届かず
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日大三島─加藤学園 初先発で力投する日大三島の永野=草薙球場

 あと1点、届かなかった日大三島。だが永田監督は「秋に16強のチームがここまでできるとは思わなかった」と春準優勝の結果を前向きに受け止めた。
 戦前、指揮官が「2歩も3歩も(力が)抜けている」と見ていた加藤学園を相手に、競り合いに持ち込めたのは公式戦初先発の主将永野の好投が大きい。強力打線に対して9回を2失点。初回、初球の変化球を左越二塁打にされ冷や汗をかいたが、その後は制球、配球に注意を払いながら丁寧に投じた。「球速(120キロ台後半)は出なくてもコーナーに決めれば(打者は)詰まったり差し込まれたりした」と永野。
 攻撃でも2安打2盗塁とけん引した永野だが、そこは納得していない。「1点取れなかった、勝ちきれなかった悔しさがある」。肌で感じた敗因を夏までに克服してみせる。

県大会 準決勝までをおさらい

加藤学園

加藤学園―浜松開誠館 相手打線を1失点に抑えた加藤学園の小沢=草薙球場(写真部・坂本豊)
加藤学園―浜松開誠館 相手打線を1失点に抑えた加藤学園の小沢=草薙球場(写真部・坂本豊)
◆準決勝(草薙第2試合)
加藤学園  000100001―2
浜松開誠館 000000001―1
▽三塁打 小沢(加)▽二塁打 北條(加)新妻(浜)▽捕逸 大迫(浜)
▽試合時間 2時間30分
【評】加藤学園が、終盤までもつれる浜松開誠館との投手戦を制した。加藤学園の先発右腕小沢は尻上がりに調子を上げた。四回に敵失に乗じて先制した後も相手打線を封じ、九回には自らの適時三塁打で加点した。最終回に1点を失い、完封、完投は惜しくも逃した。開誠館は先発広崎が好投したが、打線が援護できなかった。

◆準々決勝(清水庵原第2試合)
藤枝明誠 100002200―5
加藤学園 00201700×―10
▽二塁打 藤沢、北條(加)西出、望月(藤)▽暴投 牧野(藤)
▽試合時間 2時間46分
【評】加藤学園が中盤にビッグイニングをつくり、藤枝明誠を振り切った。加藤学園は同点の六回、敵失絡みで勝ち越し、なおも1死満塁で大木がこの日3本目の適時打を放った。その後も打線がつながり一挙7点と突き放した。藤枝明誠は中盤まで接戦を演じたが、要所で守備が乱れ、立て直せなかった。

◆3回戦(あしたか第1試合)
加藤学園 001432―10
島田商  000000―0(6回コールド)
▽三塁打 池田(加)▽二塁打 曽根(加)▽暴投 高畑(島)
▽試合時間 1時間34分
【評】加藤学園が投打に島田商を圧倒。6回コールド勝ちした。加藤学園は三回、4番片山の犠飛で先制した。四回には池田の中越え三塁打などで4点を追加。その後も打線がつながり、突き放した。主戦吉川は伸びのある直球に変化球を織り交ぜて零封した。島田商は1安打に抑えられ、反撃の機会をつくれなかった。

◆2回戦(あしたか第2試合)
清水桜が丘 00111―3
加藤学園  22612x―13(5回コールド)
▽本塁打 池田(加)
▽二塁打 河合(清)北條、大木、藤沢(加)▽暴投 東野2(清)
▽試合時間 1時間35分
【評】加藤学園が毎回得点の猛攻で、清水桜が丘に五回コールド勝ちした。加藤学園は初回、池田の先頭打者本塁打で先制。以降も長短打に四死球、足技を絡め、一気に試合を決めた。失策を伴うピンチは投手陣の力投でしのいだ。清水桜が丘は三、四、五回に1点ずつ返す粘りを見せたが、三回の大量失点が痛かった。


日大三島  
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日大三島―常葉大菊川 4回裏日大三島1死満塁、永野が中前適時打を放つ=草薙球場(写真部・坂本豊)

◆準決勝(草薙第1試合)
常葉大菊川 021001200―6
日大三島  11041200×―9
▽二塁打 勝亦、鈴木(常)永野、野田(日)▽暴投 山下、福住3、内藤(常)関野(日)▽野選 綱島(日)
▽試合時間 2時間38分
【評】日大三島が両軍合わせて23安打の打撃戦を制し、常葉大菊川を破った。日大三島は一回に永野の適時二塁打で先制した。逆転を許し、1点を追う四回は綱島、寺崎、永野の3連打など4安打を集めて一挙4点。六回は野田の2点適時二塁打で突き放した。常葉大菊川は5暴投2失策と守備が乱れて波に乗れなかった。

◆準々決勝(清水庵原第1試合)
聖隷クリストファー 000001000―1
日大三島      00002020×―4
▽三塁打 大高(聖)▽二塁打 杉山2、相原(日)▽暴投 山内、川名(聖)
▽試合時間 2時間7分
【評】好機を確実にものにした日大三島が、聖隷クリストファーに競り勝った。日大三島は五回に杉山、相原の連続適時二塁打で2点を先取。七回にも杉山が二塁打で出て、相原が適時打を放った。先発の1年生右腕東海林は3回無失点と好投。松本、永野が好救援した。聖隷クリストファーは打線が4安打と沈黙した。

◆3回戦(あしたか第2試合)
韮山   0000000―0
日大三島 151000×―7(7回コールド)
▽二塁打 寺崎、杉山、相原、永野(日)▽暴投 辻村(韮)
▽試合時間 1時間31分
【評】序盤に打線がつながった日大三島が、7回コールドで韮山を退けた。日大三島は初回、寺崎の二塁打を足掛かりに、1点を先制。二回には長短6安打に四球を絡める打者一巡の猛攻で5点を追加し、一気に試合を決めた。投手陣は関野と永野の継投で零封した。韮山は6失策と守りが乱れ、五回の好機も走塁ミスで逸した。

◆2回戦(あしたか第1試合)
磐田西  0000000―0
日大三島 107100×―9(7回コールド)
▽二塁打 山本(磐)、渡辺2(日)▽暴投 高野(磐)▽ボーク 関野(三)
▽試合時間 1時間35分
【評】日大三島が集中打で突き放し、磐田西を七回コールドで下した。日大三島は初回、綱島と永野の左前打で好機をつくり、池口の犠飛で先制。三回には、渡辺の2打席連続二塁打など打者一巡の猛攻で一気に7点を奪った。四回に暴投で1点を追加し、引き離した。磐田西は打線がつながらなかった。
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