バスケ・ベルテックス静岡B2昇格 躍進の軌跡たどります
静岡市初のプロバスケットボールチーム、ベルテックス静岡が1日、バスケットボール男子Bリーグ3部(B3)のプレーオフ準決勝第3戦で勝利し、悲願のB2昇格を決めました。チーム名は、「頂」を意味する英語の「VERTEX」に由来しているそうです。県社会人リーグ3部からスタートしたチームの変遷や、昇格を決めた試合の様子を振り返ります。
埼玉に86-81 B3プレーオフ準決勝第3戦
バスケットボール男子Bリーグ3部(B3)のベルテックス静岡は1日、さいたま市の浦和駒場体育館でプレーオフ準決勝第3戦を行い、86-81で埼玉ブロンコスを下して初のB2昇格を決めた。
4季目の今季はレギュラーシーズン3位でプレーオフに進出。準々決勝第1戦で17点差を逆転して勢いに乗り、埼玉には2勝1敗で競り勝った。
(運動部・山本一真)
〈2023.05.02 あなたの静岡新聞〉
同点で迎えたラスト5分 今季象徴するビッグプレー
運命を決めるラスト5分の攻防に静岡の強さが凝縮されていた。守備で体を張り、ボールに食らい付き、走る-。最後まで築き上げたスタイルを貫いた。埼玉の捨て身のシュートが外れ、B2昇格を告げるブザーが鳴り響く。コートにオレンジの歓喜の輪ができた。
5人が2桁得点をマークした攻撃は、今季掲げた「全員バスケ」の真骨頂を見るようだった。第2戦まで徹底マークで6得点と苦しんだチーム得点王のエールセネルも復活の16得点。5人が連動して埼玉の守備をこじ開けた。
3月に上位対決で大きく負け越し首位から陥落。チームはばらばらになりかけたが、主将岡田は言った。「一度固まったチームをほどき、さらに大きくする」。その決意を大一番で体現し、涙が止まらない。
平日ナイターにもかかわらず、埼玉まで多くのファンが駆け付けた光景は、静岡にプロバスケを定着させようと奔走したクラブの5年間を物語る。地域に根ざし、B2へ-。悲願は成った。
(運動部・山本一真)
〈2023.05.02 あなたの静岡新聞〉
バスケで静岡を盛り上げたい! 結成半年で異例のB3参入 チームの沿革は
男子バスケットボールの県社会人リーグ3部に所属する静岡市の「ヴェルテックス」(山崎俊昌代表)が来季、Bリーグ3部(B3)に参戦する可能性が高いことが6日、分かった。同日、新チーム名を発表した発足式で、チームやB3関係者が明らかにした。
ヴェルテックスは4月に誕生した静岡エスアカデミア・スポーツクラブが母体。本来、B3に参入するためには準加盟申請の承認を得るほかに、県社会人1部で上位に入り、入れ替え戦に勝利して地域リーグに昇格後、地域トーナメントで上位の成績を収めなければならない。県社会人3部の同クラブがB3参入するには最低でも3年は必要だった。
だが、関係者によると、静岡市と県バスケットボール協会が全面的に支援している点をB3側が高く評価。チームが目標とする「バスケットボールを通じて静岡を盛り上げたい」という思惑がB3や静岡市、県バスケットボール協会と合致し、特例でチーム結成半年でのB3参入が認められるという。12日のB3理事会で正式決定する見通し。
発足式に来賓として出席した田辺信宏静岡市長は「地元にレベルの高いプロスポーツチームがあると市民の心が一つになる」とあいさつ。B3リーグの堀井幹也専務理事は「潜在能力は高く、期待している」とB3参入へ前向きな考えを示した。
チーム名は日本語で「頂」の意味。7月中旬から1カ月間公募し、298件が寄せられた。採用された八木利雄太さん(28)=沼津市=は「Bリーグで頂点をとってほしい」との思いを込めて応募したという。(青木功太)
<メモ>Bリーグ 国内に二つあったバスケットボールの男子リーグを統合し2016年に開幕。プロのみのB1、B2、プロと企業チームが混在するB3で構成する。現在、B1とB2は18チーム、B3は10チームが属する。Jリーグなどと同様、参入には準加盟申請やクラブライセンスの取得が必要で、B2以上はホームアリーナの収容人数などが規定されている。今季創設された地域社会人リーグ(全国6地区、静岡は東海・北信越地区)、都道府県社会人リーグが実質的な下部リーグに相当する。
昇格おめでとう 静岡で凱旋パレード
バスケットボール男子Bリーグ3部(B3)ベルテックス静岡は14日、来期のB2昇格を祝うパレードと報告会を静岡市葵区で開いた。激戦を終え、本拠地に凱旋(がいせん)した選手らを沿道に詰めかけた約2千人のファンが祝福した。
岡田雄三主将(三島市出身)は「ホームゲームだけでなく、プレーオフ会場の沼津や埼玉などアウェーにも多く足を運んでもらい力になった」とファンや関係者に感謝した。
今シーズンほぼ全ての試合を観戦した河原祥一さん(44)=沼津市=は「この日を待ちわびていた。シーズン後半は声出し応援もできたので、少しは選手たちの後押しになれたのでは」と感慨深げに語った。
(社会部・薬袋貴信)
〈2023.05.16 あなたの静岡新聞〉