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JR沼津駅南 再開発の動きをまとめました

 JR沼津駅付近鉄道高架化に伴い、駅周辺の整備計画が具現化する中、複数の大規模再開発が進行しています。このたび駅南口に建設していた富士急行の複合ビルが完成し、営業を開始しました。駅南における再開発の動きをお伝えします。

富士急の複合ビル完成 夏には全フロアで営業へ

 JR沼津駅南口(沼津市大手町)に建設していた富士急行の複合ビルが18日までに完成し、進出した計4店舗が営業を始めた。今後は2店舗が新たに入居し、夏ごろには全フロア(全6店舗)が埋まって本格営業となる見通し。駅周辺で進む民間による再開発計画の一つが具体化。駅南では複数の再開発計画もあり、鉄道高架化を見据えた事業が加速する。

計4店舗で開業した富士急行の商業施設。夏には全フロアで営業が始まる=18日午前、沼津市大手町
計4店舗で開業した富士急行の商業施設。夏には全フロアで営業が始まる=18日午前、沼津市大手町
 1967(昭和42)年に開業し、建物の老朽化などで2019年に営業終了・解体した旧富士急百貨店沼津店の跡地に新設した。2階建てビルを商業施設として3棟設け、市内に出店した保険代理店や、地元の美容室とエステ、旅行代理店が営業を始めた。富士山の湧水にちなみ、施設名は「Plaza Fontana(イタリア語で泉、噴水の意味)―Numazu Station―」とした。施設は駅南口からすぐの所。
 富士急行事業推進課の内藤大介課長は鉄道高架化に伴う周辺再開発に触れ、「沼津は県東部の拠点で、百貨店があった昔から縁の深い地域。沼津駅前エリアの発展に貢献したい」と話した。
 駅南では、アーケード名店街(同市町方町)と、大手町、仲見世両商店街に挟まれたエリアで再開発計画が進み、市は本年度から民間による駅周辺の再開発を後押しする施策を導入した。(東部総局・高橋和之)
〈2023.4.19 あなたの静岡新聞〉

「富士急百貨店沼津店」ってどんなところだった?

年内にも解体作業が始まる富士急百貨店沼津店ビル=2019年6月5日、沼津市
年内にも解体作業が始まる富士急百貨店沼津店ビル=2019年6月5日、沼津市
 ※2019年6月8日 静岡新聞朝刊から
 富士急行がことし(2019年)12月にも、JR沼津駅南口の沼津市大手町に土地・建物を所有する富士急百貨店沼津店ビルの解体に着手する方針を固めたことが、(19年6月)7日までに分かった。地元や同社など複数の関係者が明らかにした。
 建物の老朽化に伴う解体で、作業は6カ月以上になる見通しという。跡地(約1820平方メートル)は売却せず、当面は同社が低層の建築物で物販施設などを整備する案が浮上している。沼津駅周辺で今後本格化するとみられる駅周辺鉄道高架事業の進展を見据え、将来の構想を検討する。
 富士急百貨店沼津店は鉄筋コンクリート造りで、売り場は地下1階から地上6階までの延べ約7千平方メートル(全床面積は1万1600平方メートル)。2002年に耐震化などの大規模なリニューアルを実施したが09年ごろから化粧品店の移転など退店が加速。耐震化実施時に、12年までの最長10年間を期限とした定期借家権契約を各テナントと交わし、以降はグループ会社のオフィスや飲食店、100円ショップが入っていた。飲食店などには既に解体を伝えている。
 同店前はグループ会社の富士急シティバスが運行する路線バスの発着所となっていて、平日1日当たり185本が往来する。解体作業中にはこうしたターミナル機能の一時的な移転も必要になるため同社は今後、発着所の移転先について関係機関と調整に入る方針。

地元 にぎわい期待  沼津市はJR沼津駅付近鉄道高架化事業に伴う駅前再開発に向け中心市街地のまちづくり戦略を議論中。頼重秀一市長は今回の解体方針について富士急行に「駅周辺は歩行者中心の空間に再編する方針。都市計画に理解をいただければ」と望んだ。松田和孝沼津大手町商店街振興組合理事長は「人を呼び込む力はある場所。にぎわいが生まれる活用をしてほしい」と期待した。(溝口将人)
 ※内容は当時のまま

地上20階建て規模のビル建設へ 店舗や住居、テナント誘致

 沼津市のJR沼津駅南(大手町)に、地上20階建て規模の再開発ビルが建設されることが17日までに、関係者への取材で明らかになった。駅の至近に位置し、完成後は店舗や駐車場、住居を開設するほか、大手テナントの誘致を計画している。規模は駅南の複合施設「イーラde」(地下1階、地上20階、大手町)に匹敵するとされ、鉄道高架化に伴い周辺で進む再開発の核になりそうだ。

再開発計画が明らかになったJR沼津駅南。三交イン沼津駅前(写真中央の茶色の建物)の南側エリアが対象=2022年6月(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
再開発計画が明らかになったJR沼津駅南。三交イン沼津駅前(写真中央の茶色の建物)の南側エリアが対象=2022年6月(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 関係者によると、事業協力者は旭化成不動産レジデンス(東京)と三菱地所レジデンス(同)の共同企業体。地権者らで構成する「大手町五丁目第一地区市街地再開発準備組合」(理事長・古沢隆マルサン書店代表取締役)が同日までに決めた。今後、関係機関と都市計画決定に向け協議を始める。
 再開発エリアは駅南から沼津港につながる幹線道路「さんさん通り」と仲見世商店街に挟まれた一角。対象は約0・4ヘクタールで、ワシントン靴店や旧マルサン書店仲見世店、飲食店など商業機能が集積した中心市街地に位置する。駐車場を備えて地元店中心に入居し、住居は約100戸のイーラdeより多い戸数を構える計画という。
 地元は建物の老朽化や、郊外の大型商業施設などの進出による商店街衰退を受け、5年ほど前から再開発に向け検討を開始。当初は各地権者が個別に構想を練っていたが一体となって整備すべきと、再開発に賛同する地権者らで準備組合を立ち上げた。古沢理事長は「仲見世商店街の再生、県東部の拠点となるまちづくりを目指したい」としている。(東部総局・高橋和之)
〈2023.1.18 あなたの静岡新聞〉

再開発事業 沼津市の構想と連動不可欠

 地上20階建て規模の複合施設を建設するJR沼津駅南(沼津市大手町)の再開発計画が(2023年1月)17日までに浮上した。同じ駅南ではアーケード名店街(町方町)の再開発も始動する。鉄道高架化による駅周辺の整備計画が今後具現化する中、複数の大規模再開発が進行する。地元が目指すにぎわい創出には、市が構想するまちづくりとの連動性が求められる。

 市の「中心市街地まちづくり戦略」は官民連携を強調し、居住機能の充実や交通体系再編による人中心の環境整備などを掲げる。今回判明した再開発計画では居住部分を手厚く整える方針だ。地権者らによる再開発準備組合の古沢隆理事長は「人が多く住まないと活性化につながらない。駅周辺の住環境を整え、まちなか居住を促進したい」と強調する。
 同駅周辺の居住人口は堅調に推移している。新幹線が発着する三島駅まで在来線で一駅(約4分)というアクセスの良さが要因とされ、沼津駅脇の複合施設「イーラde」のマンションは引き合いが強まっている。(東部総局・高橋和之)

JR沼津駅南の再開発の動き
・富士急行の2階建て複合ビル(大手町)
・アーケード名店街(町方町)の特定業務代行者が決まり、今後解体に着手する。2027年8月に新たな建物が完成予定
・寝具・インテリア商品販売の綿安商店が22年9月、新複合ビルオープン(大手町)
※駅北では商業施設の誘致話が浮上

〈2023.1.18 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞