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1歳児に体罰や暴言 裾野の保育園で起きたこと

 裾野市の保育園で、1歳児に対する体罰や暴言が繰り返されていたことが分かりました。加担していたとされる保育士の3人は事実関係を認め、「保育の一環だった」と話しています。これまでに明らかになっている情報をまとめます。

1歳児に暴言や閉じ込め 複数人が繰り返す

 裾野市の私立「さくら保育園」で、1歳児を受け持つ保育士3人が園児を倉庫に閉じ込めたり、暴言を吐いたりするなどの行為を繰り返していたことが28日、関係者への取材で分かった。保育園は一連の行為を「不適切な保育」と認め、3人を処分するとともに、受け持ちから外したという。市はこの事態を把握していて、調査を進めている。

保育士が園児に不適切な行為を繰り返していたとみられる「さくら保育園」=28日午後、裾野市
保育士が園児に不適切な行為を繰り返していたとみられる「さくら保育園」=28日午後、裾野市
 関係者によると、1歳児は約20人で、保育士6人で担当していた。同僚の保育士らが3人に問題行為をやめるように進言したが、その後も続いていたという。「一部の保育士が不適切な行いをしている」との情報提供を受けた保育園が調査し、8月に一連の行為が発覚。3人を1歳児の担当から外した。
 保育園は一連の問題を市に報告した。運営する社会福祉法人「桜愛会」(同市)の関係者は「不適切な行為があったのは事実だが、担当を変え、現在は通常の状態に戻っている」と話した。同会は園児をたたくなどの暴力行為の有無について明言は避けたが、一部に「暴力や脅迫行為もあった」「幹部が事実を隠そうとしていた」などとの証言があり、市が事実関係を精査している。
 保育園は29日に保護者向けの説明会を開く予定。2歳児を通わせる女性保護者は「(一連の行為は)知らなかった。転園などは考えないが、安全な環境で保育をしてほしい」と訴えた。30代の男性保護者は「1歳児はまだまともに言葉を話せず、(保護者らに)被害を訴えることもできない。事実だとすれば、許せない行為だ」と憤った。
 保育園のホームページによると、園児の定員は120人。1981年に開設した。
 〈2022.11.29 あなたの静岡新聞〉

加担した保育士3人「保育の一環だった」 事実関係認める

 裾野市の私立さくら保育園で1歳児に対する体罰や暴言が繰り返されていた問題で、加担したとされる保育士3人が事実関係を認めていることが29日、運営する社会福祉法人桜愛会(同市)への取材で分かった。一連の行為を証明する画像も残されていたという。

 3人は30~40代のいずれも女性で、保育園の内部調査に「保育の一環だった」などと話した。6月ごろから暴力や暴言を伴う保育を行っていたとみられ、8月中旬に関係者から市に情報提供があって発覚した。3人は懲戒処分などになり、うち1人は既に退職した。
 保育園の調査などによると、「頭や顔をたたく」「ほおをつねる」「足をつかんで宙づりにする」といった体罰のほか、容姿を冷やかしたり倉庫に閉じ込めたりしていたとされる。複数の園児が被害に遭い、ほかの園児が見ている前で大声で怒鳴ることもあったという。
 1歳児は約20人で、保育士6人で担当していた。同僚の保育士が園長らに3人の行為を伝えても、改善されなかったとされる。「園児に対する暴力や暴言があったことを口外しないよう他の職員に誓約書の提出を求めた」との情報もあり、市は保育園の運営体制に問題があった可能性もあるとみて、調査している。
 〈2022.11.30 あなたの静岡新聞〉

募る不信「終始あいまい」 説明会出席の保護者

 さくら保育園は29日夜、園児に対する不適切な指導について保護者説明会を裾野市内で開いた。出席した保護者からは「あいまいな説明に終始した」などと不信の声が聞かれた。

保護者説明会で謝罪するさくら保育園の関係者=29日午後、裾野市民文化センター
保護者説明会で謝罪するさくら保育園の関係者=29日午後、裾野市民文化センター
 説明会は冒頭を除いて非公開で行われ、約30人が出席した。桜井利彦園長は「大切なお子さんの尊厳を傷つけてしまったことを深くおわび申し上げる」と謝罪した。
 出席者によると、桜井園長が児童への行為について報告した。不適切な指導をした3人は出席せず、誰かも明かされなかったという。服を脱がせたり、脚を持って宙づりにしたりする行為もあったといい、保育士は「反応が面白い子にやってしまった」と説明したという。長女が通う30代の男性は「報道で知っていたよりもひどい内容。ショックだった」と語った。
 運営法人の桜愛会の代表は29日、市役所に村田悠市長を訪ね、一連の経緯や再発防止策を説明した。同会は30日以降に1歳児以外の保護者を対象にした説明会を開いた後、今週中にも記者会見を開く方針を明らかにした。
 〈2022.11.30 あなたの静岡新聞〉

園、状況把握に2カ月 同僚の行為確認は6月

 裾野市の私立さくら保育園で保育士が1歳児に暴力や暴言を繰り返していたとされる問題で、同僚の保育士が6月下旬に不正行為を確認していたことが30日、運営する社会福祉法人桜愛会(同市)への取材で分かった。園はそれから2カ月近くたった「8月下旬に状況を正確に把握した」とした上で、市の行政指導を受けたことなどを機に本格的な是正に着手していた。

 複数の園児に対する暴力や暴言は、6月ごろから繰り返されていたとみられている。加担していたとされるのは30~40代の女性保育士3人。同会によると、現場責任者は7月中旬ごろに同僚らから相談を受け、桜井利彦園長も8月1日には認知していたとみられる。ただ、桜井園長は「やった、やらないという話があり、しっかり調査したいと考えた。隠そうとした意図はない」と釈明した。
 一方、関係者によると「園長らに伝えたが改善されなかった」「(一連の問題を)口外しないとの誓約書を求められた」などの情報もあり、市は園の運営実態を調べている。保護者からは「園の対応が遅い」との声も上がっている。
 同会によると、1歳児クラスでは園児の頭や顔をたたく、足を持って宙づりにする、容姿をののしる、大声でしかる-といった行為が繰り返されていたとされる。担当していた3人のうち主に加担していたのは2人で、残り1人はクリアファイルで園児をたたいたという。園は3人を処分し、1歳児の担当から外した。
 県は児童福祉法に基づき、市と合同で園に対する特別監査を実施する方向で調整している。
 〈2022.11.30 あなたの静岡新聞〉
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