知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

目指せ「ダムの駅」 長島ダムふれあい館開館20年

 川根本町梅地の「長島ダムふれあい館」が9月、開館20周年を記念して展示内容をリニューアルしました。全国のダムで配布されているダムカードの展示などを始め、「ダムの駅」としてPRを図っています。愛好家人気も高いダムカードやふれあい館についてまとめました。
 〈キュレーター:編集局未来戦略チーム 吉田直人〉

開館20周年で新装 全国ダムカード500枚一堂に展示

 川根本町梅地の「長島ダムふれあい館」が21日、開館20周年を記念して展示内容をリニューアルした。全国のダムで配布されているダムカードの展示などを始めて、通称「ダムの駅」としてPRを図る。

全国から集まったダムカードを見て楽しむ来館者=川根本町梅地の長島ダムふれあい館
全国から集まったダムカードを見て楽しむ来館者=川根本町梅地の長島ダムふれあい館
 ダムの来訪者に配られる同カードはダムの写真や形式、貯水池の容量などを掲載。日本ダム協会やダム愛好家の協力を得て、全国から集まったダムカード約500枚を一堂に展示した。展示は来年9月20日まで。ダムカードの寄付を募る取り組みも実行し、展示内容の充実を目指す。このほか、同協会発行の雑誌「月刊ダム日本」記念号も紹介している。
 21日のリニューアル記念式典で、国土交通省長島ダム管理所の松村昭洋管理所長は「長島ダムを入り口に全国のダムにも興味を持ってほしい」と話した。問い合わせは、同管理所<電0547(59)1021>へ。
〈2022.09.22 あなたの静岡新聞〉

ダムカード見たことある? どこでもらえるの?

 国土交通省と独立行政法人水資源機構の管理するダムでは、ダムのことをより知ってもらおうと、2007年から「ダムカード」を作成し、ダム訪問者に配布している。

ダムカード(写真は2015年5月5日静岡新聞朝刊)
ダムカード(写真は2015年5月5日静岡新聞朝刊)
 カードの大きさや掲載する情報項目などは全国統一で、表面はダムの写真、裏面はダムの形式や貯水池の容量・ダムを建設したときの技術、といった基本的な情報からちょっとマニアックな情報まで載っている。
 カードは、ダムの管理事務所やその周辺施設で配布していて、長島ダムのカードはふれあい館のほか、川根本町犬間の長島ダム管理所で入手できる。
※国土交通省ホームページ参照

開館当時を振り返ります

※2002年5月26日 静岡新聞朝刊

長島ダムふれあい館
長島ダムふれあい館
 2002年3月に完成した長島ダム関連施設「長島ダムふれあい館・四季彩公園」のオープン記念式典(本川根町主催)が25日、本川根町の長島ダム左岸で行われた。式典にはダムを利用する4市15町の行政関係者、中学生ら約320人が出席、上下流域の連携活動の拠点となる施設の完成を祝った。
  同館は斜面に建設された二階建ての施設で、延べ床面積は約700平方メートル。2階が入り口。1階に長島ダムの目的、仕組みなどを紹介するミニシアターなどがあり、ダム周辺や大井川流域の観光スポットやイベントなどの情報をパソコンで検索、閲覧できるコーナーも備わっている。
  四季彩公園は約2万平方メートルの広さ。ふれあい館に隣接し、桜やツツジなどを植栽。芝生広場、休憩所、遊歩道、展望広場なども整備した。両施設は国土交通省が7億6千万円で建設。ふれあい館は本川根町が同省の委託を受けて管理する。
  式典ではダム建設を促進してきた島田市、榛原、小笠郡などで組織する大井川総合開発推進対策協議会の桜井勝郎会長(島田市長)が「多くの人にこの場所の良さ知らせ、水資源の大切さ、保全の重要性をPRしたい。上下流域の自治体が連携を強め、水源地域を支援したい」とあいさつした。

ダム際で仕事いかが ワーケーションにも活用

 川根本町が同町犬間の「長島ダムふれあい館」の一角にワーキングスペースを整備し、29日にオープンを迎えた。コロナ禍で働き方が多様化する中、通称「ダム際ワーキング」として、ダムを眺めながら非日常的な環境で仕事をする新しい働き方を提案する。これまでの観光に加えて働く場としてもPRし、長島ダムを含む接岨峡地区への来訪者の増加と認知度向上を図る。

整備されたワーキングスペースを利用する沢渡あまねさん。窓からは長島ダムを眺めることができる=29日午後、川根本町犬間の長島ダムふれあい館
整備されたワーキングスペースを利用する沢渡あまねさん。窓からは長島ダムを眺めることができる=29日午後、川根本町犬間の長島ダムふれあい館
 同館は長島ダムやダム周辺地域の情報を映像やパネルで紹介する施設。ダムを一望できる窓際のスペースにテーブルと椅子、コンセントを設置した。今秋までに無料Wi-Fiを完備し、屋外デッキにもテーブルや椅子を設ける予定だ。
 ダム際ワーキングは働き方や組織変革を支援する「あまねキャリア」(浜松市)代表取締役の沢渡あまねさん(46)が広める新しい働き方。沢渡さんによると、長島ダム周辺は温泉地などの観光資源が多く、仕事を終えた後に宿泊ができるとして、観光地で仕事と余暇を楽しむ「ワーケーション」に適した環境だという。
 町が整備をした背景には、ふれあい館来場者の減少がある。開館した2002年以来、一時期は年間で約2万5千人を記録したが、20年度は新型コロナの影響もあり約1万5千人にとどまった。町観光商工課商工交流室の服部了士室長は「都市から地方へ新しい人の流れが生まれることで観光業の経済効果だけでなく、さまざまな地域活性効果が期待できる」と話した。
 利用は無料。午前9時半~午後4時半。木曜休館。
地域再生大賞