長島ダム(川根本町)活写90冊の記録 ふれあい館資料に

 川根本町の長島ダムの着工から完成までの様子を14年にわたって撮影し、昨夏亡くなった写真愛好家の冨永衛さん=享年(85)=の記録を収めたアルバムがこのほど、長島ダムふれあい館(同町)に寄贈された。同館は「工事誌に並ぶ貴重な資料。地域とともに歩んできたダムの魅力発信につながる」と歓迎し、来館者向けに展示を始めた。

冨永さんが手掛けた90冊のアルバムを前に笑顔の妻歳子さん(手前)と長女杉山千津子さん=川根本町の長島ダムふれあい館
冨永さんが手掛けた90冊のアルバムを前に笑顔の妻歳子さん(手前)と長女杉山千津子さん=川根本町の長島ダムふれあい館
アルバムには写真と一緒に、冨永さんによる解説文も添えられている
アルバムには写真と一緒に、冨永さんによる解説文も添えられている
冨永さんが手掛けた90冊のアルバムを前に笑顔の妻歳子さん(手前)と長女杉山千津子さん=川根本町の長島ダムふれあい館
アルバムには写真と一緒に、冨永さんによる解説文も添えられている

 冨永さんは浜松市浜北区出身。学生時代から写真撮影が趣味だったといい、川根本町には就職を機に移住した。長島ダム建設現場となった山林の管理者として仕事の傍ら、撮影を続けてきた。休みの日もカメラ片手に足を運び、着々と完成に近づく様子を記録した。
 長島ダムは1989年に本体工事が始まり、完成は2002年。約90冊にも及ぶアルバムには写真と一緒に冨永さんによる解説文も添えられ、ダム完成までの軌跡をたどることができる。
 撮影当時、川根本町にはカメラ店が無く、フィルム現像や焼き付けのため島田市まで往復する日々だったという。それでも「疲れた顔を一切見せず、楽しそうにアルバム制作に励んでいた」と妻の歳子さん(82)は振り返った。衛さんが亡くなってから、家族が「多くの人の目に触れる形で、資料として活用できないか」との思いを鈴木敏夫町長に伝えたところ、長島ダムの情報発信を担う同館への寄贈が決まった。
 展示されたアルバムを前に歳子さんと長女の杉山千津子さん(58)は「眠っていた宝物に光が当たった。天国で父も喜んでいるはず」と感慨深げに話した。

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