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静岡市プロ野球⚾球団構想 経緯をおさらい

 静岡市でプロ野球の球団新設の構想が浮上しています。2011年の静岡市長選で、田辺信宏氏が公約に掲げてから10年超。実現を目指す静岡市のこれまでの取り組みと、田辺氏の主な発言をまとめました。「夢を追いかけたい」「ロマン」「絶対にあきらめない」ー。田辺氏の強い気持ちがにじみます。
 〈キュレーター:編集局未来戦略チーム 鈴木美晴〉

2024年参入方針 2軍のみ、都内企業が名乗り

 静岡市を本拠地とするプロ野球の2軍球団を新設する構想が浮上していることが、19日までに関係者への取材で分かった。金融事業や企業支援を手がける都内の会社がオーナーとして名乗りを上げ、2024年シーズンからの新規参入を目指している。ただ、既存球団の中には慎重論もあり、実現するかは見通せない。

プロ野球に2軍球団が新たに創設される構想が浮上。清水庵原球場が本拠地の候補に挙がっている=19日午前、静岡市清水区
プロ野球に2軍球団が新たに創設される構想が浮上。清水庵原球場が本拠地の候補に挙がっている=19日午前、静岡市清水区
 関係者によると、1軍を持たない2軍のみの球団を創設する計画で、市営の清水庵原球場(同市清水区)が本拠地の有力候補に挙がっている。近隣には国内外のプロスポーツ選手の受け入れ実績がある清水ナショナルトレーニングセンターがあり、敷地内の屋内練習場や宿泊設備などを活用するとみられる。
 新規参入が実現した場合、既存のプロ野球12球団に次ぐ13番目の球団になる見通し。日本野球機構(NPB)の球団オーナー会議で現在協議が進められていて、新規参入案を強く支持する声がある一方、2軍のみの球団の経営や選手の取り扱いを課題に挙げる意見もあるという。
 静岡市はプロ野球の地元球団を創設する構想を打ち出し、2012年度には実現の可能性を探る基礎調査を実施した。プロ野球が関係する事業の誘致にも力を入れていて、これまで日本プロ野球12球団合同トライアウト(13、14、15年)、プロ野球フレッシュオールスターゲーム(17年)などの開催実績がある。
 〈2022.09.20 あなたの静岡新聞〉

 

球団創設構想 これまでの主な動きは

フレッシュオールスターズで打席に立つ広島の桑原樹内野手と楽天の堀内謙伍捕手〈2017年7月14日静岡新聞朝刊〉
フレッシュオールスターズで打席に立つ広島の桑原樹内野手と楽天の堀内謙伍捕手〈2017年7月14日静岡新聞朝刊〉
2011年
「プロ野球地元球団創設構想」をマニフェスト(政策集)に掲げた田辺信宏氏が4月、静岡市長選で初当選。
2012年
構想実現に向けたイベント第1弾として3月、都市対抗戦の軟式野球試合を開催。
同年には球団創設に向け、市民や企業の意向調査も実施。
2013年
戦力外となった選手を対象にした日本プロ野球12球団合同トライアウトを静岡市駿河区の草薙球場で開催。球団本拠地以外での開催は初。
2014年
自民党が政府の成長戦略に対し、プロ野球チーム数の12球団から16球団への拡大案を提言。
プロ野球現役選手とファンの交流イベント「ベースボールクリスマス2014in静岡」開催。東海地方では初。
2016年
日米大学野球選手権大会の第4、5戦を草薙球場で開催。
16年度には、政府のプロ野球球団拡大構想を受け、参入候補地の自治体と勉強会も開催。
2017年
プロ野球の次代を担うスター候補の祭典・フレッシュオールスターゲームが草薙球場で開催。

 

2011年静岡市長選で公約 田辺氏のこれまでの主な発言

2011年の静岡市長選で初当選した田辺信宏氏〈2011年4月11日静岡新聞朝刊〉
2011年の静岡市長選で初当選した田辺信宏氏〈2011年4月11日静岡新聞朝刊〉
「サッカーのエスパルスと同時に、野球もプロを創設していく機運を盛り上げたい」 (2011年10月、市長選マニフェストに基づく「まちみがきアドバイザー」委嘱式での発言)


構想を掲げる理由として、市民の地元への誇りの醸成と交流人口の増加の両面で高い効果が期待できると説明。「実現が難しいことは百も承知だが、いつの日か夢がかなうということもある」 (2012年3月、市議会2月定例会での発言)


「実現可能なのかという意見もいただいている。連絡協議会発足のためには、地域密着で(球団を)育てていく受け皿を持っている、という説得力ある調査結果を携えて、(連携を)働きかけるのが必要」 (2012年8月、市民や企業の意向調査を行う方針表明の定例記者会見での発言)


「まだ現実的課題もあるが夢を追いかけたい」と述べ、関連事業を続ける考えを示した。 その理由に、交流、定住人口を増やし、地域経済を活性化させるとともに、「スポーツビジネスでサッカーも野球も許容できる経済力が政令市静岡にある」と説明。 「ロマンとリアルをどう両立させるかが課題」とも述べた。 (2013年6月、市議会6月定例会での発言)


「私の夢で絶対にあきらめない。東北楽天の優勝を見てスポーツの力を感じた。静岡の経済圏があればできる」 (2013年9月、市民らでつくる外部評価委員会から、球団構想が必要度の低い事業に分類されたことを受けての発言)


「研究すればするほど難しい。ただ、スタンバイの状態にするのは大事」 (2013年11月、市議会会派からプロ野球球団創設構想の凍結を求められての発言)


自民党による政府への球団拡大提言を受けて「大きな一歩。地域経済活性化のコンテンツの一つになる。創設・運営にはスポンサーとなる民間企業や市民の支えも必要」 (2014年5月、提言を受けての発言)


球団拡大の意義については「セ・パ(リーグ)12球団のビジネスモデルには限界がある。日本全国で地域に密着したプロ野球の応援団があるモデルに転換していかなければならない」 (2016年3月、市議会2月定例会)

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