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清水駅東口エリアに太陽光発電会社 詳しく解説します

 環境保護などの観点から脱炭素の取り組みに関心が高まる中、石油元売り大手エネオスと鈴与商事、静岡ガスは、静岡市清水区のJR清水駅東口エリアに太陽光発電の新会社を設立しました。太陽光発電導入の仕組みである「PPAモデル」や「脱炭素先行地域」など耳慣れない言葉も。これまでの経緯を含めて解説します。
 〈キュレーター:編集局未来戦略チーム 石岡美来〉

エネオス、鈴与商事、静ガス合弁 余剰電力供給の新会社設立

 石油元売り大手エネオス(ENEOS)と鈴与商事、静岡ガスは1日、JR清水駅東口エリアに市内一円から太陽光発電のPPA(電力購入契約)モデルで集めた余剰電力を供給するための新会社「清水ソーラーエナジー」を設置した、と発表した。設立と事業開始は同日付。

新会社設立で手を重ねるエネオス、鈴与商事、静岡ガスの関係者=静岡市葵区の鈴与商事本社
新会社設立で手を重ねるエネオス、鈴与商事、静岡ガスの関係者=静岡市葵区の鈴与商事本社
 資本金3千万円で、エネオスが50・1%、残りを鈴与商事と静ガスが同率ずつ出資する。PPAでは市内の既存建物の屋根を対象に、初期投資ゼロで太陽光発電設備を普及できる。3社それぞれが営業など顧客対応を行い、新会社が太陽光発電設備の保守点検、余剰電力販売を行う。
 同駅東口は静岡市内のほかの2カ所と共に環境省の「脱炭素先行地域」に指定されている。エリア内に清水油槽所を持つエネオスは大型太陽光パネルと蓄電池を設置する。得られた電力で環境にやさしい「グリーン水素」の生産も行う。
 新会社はエリア内で発電する電力量をオフサイトPPAモデルで補完するのが主な目的。エネオス広報は「3社が協力し脱炭素社会の実現に取り組む」などと述べた。(清水支局・坂本昌信)
〈2022.9.2 あなたの静岡新聞〉

PPA(電力購入契約)とは?

PPAのイメージ
PPAのイメージ
 太陽光発電導入の仕組み。オフサイトPPAでは実際に電力が消費される場所から離れた発電所などから電力を供給する。PPA事業者が太陽光パネルを無償で設置し、維持管理費も事業者が負担。事業者は設置後10~20年間、施設所有者から電気料金や設備のリース料を受け取り、余剰電力を売電し収益を得る。
〈2022.7.16 あなたの静岡新聞〉

JR清水駅東口も該当 「脱炭素先行地域」のメリットは

 環境省は26日(※2022年4月)、政府目標の2050年に先駆けて30年度までの脱炭素化に取り組む「先行地域」の第1弾となる26件の提案を発表した。脱炭素社会実現に向けて再生可能エネルギー普及などの先進モデルをつくり、全国に波及させるのが狙い。

脱炭素先行地域に選ばれた静岡市内3エリアの概況
脱炭素先行地域に選ばれた静岡市内3エリアの概況
 環境省が脱炭素化に取り組む自治体を支援する先行地域について、静岡市が応募した提案が静岡県内では唯一採用された。市の提案によると、消費電力を全て再生可能エネルギーで賄い、二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする脱炭素エリアを市内3カ所に設ける。
 脱炭素の先行地域に選ばれると、関連整備に国の交付金を活用できる利点がある。
 市が提案した脱炭素エリアは、JR清水駅東口(清水区)、清水港日の出地区(同)、恩田原・片山地区(駿河区)の3カ所。主に太陽光発電と大型蓄電池の設備を導入し、電力消費に伴う二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを目指す。
 市環境創造課によると、太陽光発電の設置予定者は清水駅東口がエネオス、日の出地区が鈴与グループ、恩田原・片山地区が静岡ガスとフジタ(東京)の合同会社。国からの交付金は30年度までに計50億円(上限額)に上る見通しで、太陽光発電設備をはじめとした関連設備の導入に活用できるという。

※2022年4月26、27日のあなたの静岡新聞の記事を再編集
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