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⚽J1清水リカルド新監督就任 これまでの経歴は、人柄は

 サッカー清水エスパルスの新監督、ゼ・リカルド氏が就任しました。任期途中で契約解除となった平岡宏章前監督の後任です。チームはリーグ16位とJ2降格の崖っぷち。リカルド新監督には早急な体制の立て直しが求められています。新監督のこれまでの経歴や人柄が分かるインタビューをまとめました。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・石岡美来〉

「全てささげる」「自信を取り戻す」 全体練習で指揮も

 J1清水は14日、アイスタ日本平でリカルド新監督の就任記者会見を開いた。リーグ16位と低迷するチームの立て直しが求められるリカルド監督は「私が一つ約束できるのは、全てをささげること」と決意を示した。近年、上位から遠ざかるチームのかじ取りに「重要任務は自信を取り戻すこと」と強調した。

全体練習の指揮を執るリカルド新監督(中央)=三保グラウンド
全体練習の指揮を執るリカルド新監督(中央)=三保グラウンド
 ブラジル2部のバスコ・ダ・ガマを率いていたリカルド監督は、名門クラブでも監督を務めるなど指導経験が豊富だ。目指すサッカーの方向性については「ボールを握っていれば攻撃的なアクションをたくさん起こせる。攻守においてボールを持つことが(一つの)目標」と言及した。
 大熊清ゼネラルマネジャー(GM)はリカルド監督招聘(しょうへい)へ具体的に動きだしたのは3連敗を喫した先月の柏戦後と明かし、「日本サッカーへの敬意」が決め手になったと説明した。Jリーグ采配経験のない新監督にチームを託した理由については、課題の強度不足を指摘し、「集団的で、攻守に強度の高いサッカーをやっている。清水が目指す主導権を握るサッカーに通じた」と述べた。
 降格枠の変更やコロナ禍などさまざまな変化がある中でクラブ力が問われる今、大熊GMは「越えなければいけない状況にあると認識している。(監督と)ともに戦うという覚悟を持ち、しっかり支えていきたい」と語った。夏の移籍市場についても関心を示しつつ「今の選手を組織として鍛える」とした。
 会見に先立ち、リカルド監督は三保グラウンドで初めて全体練習の指揮を執った。ミニゲームなどをこなす選手のプレーをじっくりと見つめ、合間にはボランチの選手を呼んで助言する姿も。新監督からは早速ハードワークやプレー強度が要求されていると言う副主将のMF西沢は「求められる根幹は(前体制と)変わらない。より強調してやりたい」と語った。
〈2022.6.15 あなたの静岡新聞〉

名門クラブの監督歴任 コーチら3人も加入

 J1清水は7日、平岡宏章前監督との契約解除に伴う新監督に、ブラジル2部バスコ・ダ・ガマ前監督でブラジル人のゼ・リカルド氏(51)が就任すると発表した。

J1清水の新監督に決まったリカルド氏(AGIF提供・AP=共同)
J1清水の新監督に決まったリカルド氏(AGIF提供・AP=共同)
 リカルド氏は2006年にブラジル1部フラメンゴの下部組織から指導者生活をスタートし、フラメンゴや1部のボタフォゴ、インテルナシオナルなどの名門クラブの監督を歴任した。
 今年はバスコ・ダ・ガマを率いて2部リーグで4勝6分けの4位につけていたが、5日に自ら退任を表明していた。リカルド氏はクラブを通じて「伝統あるクラブのユニホームを守っていくことはとても重要で、大きな名誉」とコメントした。
 リカルド氏とともに新たに加わるコーチ、スタッフも発表。いずれもブラジル人で、ヘッドコーチにクレーベル・サントス氏(43)、フィジカルコーチにファビオ・エイラス氏(39)、フィジオロジストにフェリペ・オリーベ氏(51)が就く。1日の天皇杯で暫定的に指揮を執った篠田善之氏(50)はコーチとなる。
 新監督らは渡航の手続きが整い次第、来日する予定。初陣はリーグ再開初戦となる18日の福岡戦(アイスタ日本平)となる見込み。

 ■チームはJ2降格の危機 問われるクラブの姿勢
 低迷からの巻き返しを図るJ1清水がかじ取りを託したのは、Jリーグでの監督経験のないブラジル人指揮官だった。チームはリーグ戦16試合を終えて、J2降格圏と勝ち点で差がない16位。短期間で浮上の道筋をつけることが求められる状況で、大きな賭けに出た決断にも思える。
 ゼ・リカルド新監督は母国の複数のクラブを率いてきたが、国外での指揮はカタールのクラブでの1季のみと、異国のリーグへの適応力は未知数。近年のJリーグの外国人監督は欧州出身者が主流で、ブラジル出身は1人と数を減らす中、意外な人選と言える。
 崖っぷちでJ1残留を果たした昨季の最終節後。クラブ幹部は窮地を救った平岡前監督に続投を要請する考えを述べながら、「監督を頂点としたグループを築くことが重要。全部監督のせいではなく。それを(クラブで)バックアップする」と話していた。ところが、現状は前監督に見切りを付け、体制を刷新しただけに映る。
 4季連続の監督交代に加え、過去2年で後任を引き受けてきた平岡前監督がクラブを去ったことで、チームづくりの継続性は揺らいでいる。今季もまた迎えた難局。新体制の成否とともに、クラブの姿勢にも厳しい目が注がれることになる。
 〈2022.6.8 あなたの静岡新聞〉

「今すぐ結果求められている」 一問一答

記者会見に臨む清水のリカルド新監督(右)と大熊GM=アイスタ日本平
記者会見に臨む清水のリカルド新監督(右)と大熊GM=アイスタ日本平
 J1清水のリカルド新監督の記者会見での一問一答は次の通り。
 -清水の印象は。
 「偉大なクラブだという印象だ。働く人間として大きな責任を伴う。清水の選手やチームについて分析を重ねてきた。結束力の強いチームなので、それをベースにすれば、さらに成長できるはず」
 -目指すサッカーは。
 「サッカーは高い強度、組織、攻守のバランスを要求される。中長期の目標はあるが、今すぐ結果を出すことが求められている。1対1を積極的に仕掛けるようなブラジルの創造性あふれるサッカーも持ち込みたい。日本サッカーが持つスピード感と相まって強みを出すことができる」
 -Jリーグのスタイルをどう分析するか。
 「日本のサッカーは技術的に非常にたけている。速さもある。ここ数年のワールドカップでの戦いでも強度が上がり、それを証明している。日本のサッカーに興味を持っていた。そこで仕事ができるのは大きな喜びだ」
 -週末の福岡戦に向けて。
 「けがや代表で不在の選手もいるが、練習試合でポジティブな要素が出ている。福岡はとても強く厳しいチーム。集中力を高く戦わないといけない。戦う姿勢を見せないと、どこが相手でも厳しい戦いになる」
〈2022.6.15 あなたの静岡新聞〉
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