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なくならない教職員のセクハラ 子どもをどう守る?

 静岡県教委は、小5~高3の児童生徒を対象とした昨年度のセクハラ実態調査について、教職員に関する結果を公表しました。「教職員からセクハラと受けた」との回答は計97件。子どもの性被害は、大人が未熟さにつけ込み、被害の認識や拒絶の機会を阻んで行為をエスカレートさせると言われています。どのようにして子どもを守ればよいのか。セクハラ実態調査の結果や被害防止の取り組みを1ページにまとめました。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・安達美佑〉

「教職員からセクハラ」97件 21年度調査 小5~高3対象

 静岡県教委は11日、小5~高3の児童生徒を対象にした2021年度のセクシュアルハラスメント(セクハラ)実態調査について、教職員に関する結果を公表した。「セクハラを受けたと感じた」との回答は、同一事案の重複を除き計97件。初めて実施した20年度からは9件減少した。各校で事実確認を行い教職員を指導したほか、校内で注意喚起を行うなどした。

県教委が2021年度に実施したセクハラ調査の結果
県教委が2021年度に実施したセクハラ調査の結果
 97件のうち「自分が受けた」との回答は70件、「友人が受けた」とする回答は27件。校種別では小学校27件、中学校46件、高校21件、特別支援学校3件だった。わいせつ行為など懲戒処分に至る事案は確認されなかった。
 回答内容は「褒める時に頭をなでられた」などの不必要な身体的接触が最多の55件。「休み時間にじろじろ見られる」などの不必要な接近や凝視が12件、「『太ったね』と言われた」などの身体的特徴を巡る発言が9件と続いた。「『男のくせに泣くな』と言われた」など、性別に基づく役割の強要も7件あった。
 教育総務課は、性別に関する言動についての回答が前年度から増えたとして「教職員が古い価値観に基づき不用意に発言していた例があった」と説明した。県教委は回答を活用し、不祥事根絶推進月間の6月に教職員が日頃の言動を振り返るチェックシートを配布する。
 調査は政令市を除く公立小中学校と県立高、特別支援学校の児童生徒約15万6千人を対象に実施した。本年度も行う予定で、同課は「継続的に実施し、意識付けの機会にしたい」としている。
 〈2022.05.12 あなたの静岡新聞〉

児童生徒の性被害防止へ SOSの声、拾う体制を

 静岡県教委による教職員の懲戒処分が2020年度、計25件と過去最多に上った。中でも児童生徒に対するわいせつ行為やセクシュアルハラスメント(セクハラ)が頻発したため、県教委は政令市立を除く公立学校でセクハラの実態調査を実施した。子どもたちの不安や不快感の声を基準にした調査が行われた意義は大きい。懲戒処分相当の事案を無くすのはもちろんだが、重大事案に至る前に子どものSOSを丁寧に拾える体制づくりを望む。

県教委の懲戒処分の状況(戒告以上)
県教委の懲戒処分の状況(戒告以上)
 調査は県立学校と、小5~中3を対象とした市町立小中の2段階で行った。小中学校では、児童生徒がセクハラの定義を理解していない可能性に配慮し、セクハラの具体例を示した資料を付けてアンケートを実施した。
 県立学校で確認した訴えは回答数約6万1千人のうち35件。小中学校は約9万7千人の回答で88件。いずれも懲戒処分に直結する案件ではなかったが、内容は多様だった。「授業中に顔や頭を触られた」という身体的接触や「教員から彼氏がいるか聞かれ不快だった」という言動に関する案件、「男のくせに」といった性役割観の押し付けに対する訴えもあった。県教委によると、教員側は気軽なコミュニケーションのつもりでした言動が、子どもたちに不快感を与えていたケースが多かったという。
 子どもの性被害は、大人が未熟さにつけ込み、被害の認識や拒絶の機会を阻んで行為をエスカレートさせると言われる。大人という優位な立場を悪用する加害側に問題があることは論を待たないが、子どもが被害に気付き、声を上げるための啓発や環境も必要だ。
 文部科学省は4月、性被害の防止に向けて「生命の安全教育」と題した教材と指導の手引きを公開した。セクハラやデートDV、SNSでの自撮り被害など幅広い内容について発達段階に応じた内容をまとめた。こうした資料の活用で、自分や他者の心と体を尊重する意識を育む教育が浸透することを願う。
 特に性被害は、相談相手の言動に傷つけられる二次被害の懸念から、被害申告の壁が高いと言われる。刑事事件になれば、相談を受けた人の聞き取り内容や状況が立証を左右する場合もある。国ではわいせつ行為をした教職員の現場復帰を防ぐ法整備の動きも進んでいる。被害を受けた子どもが安心して相談でき、適切な事実確認や加害者の処分、被害者支援につながるような仕組みを、本県でも充実させてほしい。
 〈2021.05.23 あなたの静岡新聞〉

私的メールなど禁止 県教委、教職員の行動規範制定

 教職員による不祥事の根絶に向け、県教委はこのほど、県公立学校教職員行動規範を制定し、県立学校や市町教委に通知した。教職員が意識するべき事項として、チームでの指導や児童生徒と適正な距離感を保つためのルール順守など4項目を挙げた。行動規範に加え、メールやSNSを児童生徒との私的交流に利用しないよう、生徒指導の在り方について各学校でルールを作るよう求めた。

 行動規範は、県内で教職員の児童生徒に対するわいせつ行為やセクハラが相次いだことを受け、初めて制定した。主な項目は①相談し合える職場づくり②学校全体で子どもを守る体制③児童生徒の指導はチーム対応を基本とする④個人のメールやSNSで私的な連絡をしない―の4点。児童生徒からの信頼や敬慕を、教育者として客観的に受け止めることを掲げた。
 通知では、各校に作成を求めた生徒指導に関するルールの例も示した。携帯電話やメール、SNSを通じた個人的なやりとりを原則禁止した上で、緊急時の安否確認や部活動や行事のグループへの一斉伝達を目的とする連絡に例外を設ける例などを挙げた。
 〈2021.06.03 あなたの静岡新聞〉