静岡駅アスティ漏水事故 配管破損の原因、対策は
JR静岡駅構内の商業施設「アスティ静岡」西館で4月に発生したスプリンクラー配管の漏水事故から1カ月。構内の広い範囲が浸水し、混乱を招いた事故の原因がはっきりしてきました。事故当時の状況やその後の経過を1ページで振り返ります。
〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・松本直之〉
長年の負荷による接続部破損が原因 点検増、訓練強化へ
JR静岡駅構内の商業施設「アスティ静岡」西館で4月に発生したスプリンクラーの配管からの漏水について、原因は長年にわたる水圧の負荷による配管接続部の部品破損とみられることが、施設を運営するジェイアール東海静岡開発への取材で分かった。同社によると、同様の接続部分が他に6カ所あり順次部品の交換を行う。
同社は年2回、配管の検査を実施。直近では昨年11月に実施したが、異常はなかったという。漏水後の点検でも破損箇所以外は正常なため継続使用するが▽配管の点検回数を増やす▽突発的な事態に迅速対応するための訓練を今まで以上に強化する-などの対策を講じるという。
漏水は4月10日午後8時ごろ発生。同館1階の中華料理店の天井裏を通る配管から大量の水が流出し、店舗やコンコースが浸水した。一時休業した36店舗のうち35店舗は既に営業を再開し、中華料理店は5月10日に再開予定という。同店の男性店長(48)は「今回はお客様をけがなく避難させられたが、施設全体でよりスムーズな情報共有や避難誘導が必要だ」と話した。
発生は日曜の夜8時ごろ 逃げ惑う利用者らで一時騒然
4月10日午後8時ごろ、JR静岡駅構内の商業施設「アスティ静岡」西館1階の飲食店から「他店の天井の配管が破裂したようだ」などと119番があり、近くの中華料理店などから大量の水が漏れ出す事故が発生した。周辺の多くの店舗が浸水したほか、同駅のコンコースや在来線改札口まで水が押し寄せた。駅構内はぬれながら逃げ惑う利用者や通行人らで一時騒然とした。
同館を運営するジェイアール東海静岡開発(静岡市葵区)は11日、スプリンクラーの配管破損が漏水の原因と発表した。11日午前10時現在、館内の計36店が休業中で、復旧作業を急いでいる。
JR東海静岡広報室によると、在来線と新幹線の運行に影響はなかったが、コンコース内も浸水した影響で在来線の自動改札機を一時停止し、駅員が手動で対応した。
〈2022.04.11 あなたの静岡新聞〉
被害を受けた中華料理店「天井から滝のような水」「怖かった」
「ドスンという低い爆発音がして、天井から滝のように水が落ちてきた。怖かった」。10日午後、店内が水浸しになる被害を受けた「アスティ静岡」西館1階の中華料理店の男性店長はこう振り返った。
同店付近で営業する駄菓子屋「あまのや繁田商店」は4日にオープンしたばかり。繁田昌大店長(42)は隣の店からの「水が来る」という声を聞いて確認すると、既に自分の店のそばにまで迫っていて、すぐに水浸しになったという。繁田店長は「営業ができないと厳しい。いつ再開できるのか知りたい」と困惑していた。
土産物店の「駿府楽市」は入り口に土のうを置いたが、店舗の壁の隙間から浸水した。店員の中野浩明さん(48)は「水がこれ以上入ってきたらまずいと思った」と語った。
〈2022.04.11 あなたの静岡新聞〉