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プリ旨☆ 浜名湖の牡蠣カバ丼

 プリっとした浜名湖産のカキをウナギのかば焼きのタレで味付けした「牡蠣(かき)カバ丼」。ご飯が進みます。まだまだ最近の名物かと思いきや、デビュー12年目とのこと。すっかり定着した「牡蠣カバ丼」について1ページでまとめます。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・松本直之〉

今季の販売スタート 浜松市内13店舗で

 浜名湖産のカキをウナギのかば焼きのタレで味付けした「牡蠣(かき)カバ丼」の今季の販売が、浜松市内の13店舗で始まった。

浜名湖産のカキをウナギのかば焼きのタレで味付けした牡蠣カバ丼=17日午前、浜松市西区舘山寺町の舘山寺園
浜名湖産のカキをウナギのかば焼きのタレで味付けした牡蠣カバ丼=17日午前、浜松市西区舘山寺町の舘山寺園
 牡蠣カバ丼は浜名湖周辺の飲食店や観光業者でつくる浜名湖研究会が考案し、発売12年目を迎えた。甘めのタレを絡めたカキをご飯の上に乗せ、浜名湖産のノリや地元のタマネギ、ミカンの皮などを添え、名物料理として人気を集めている。
 研究会によると、昨年は浜名湖産カキの不漁が深刻で、丼の提供は数量限定など一部にとどまったという。西区舘山寺町の食堂「舘山寺園」のおかみ舘理恵さん(50)は「毎年楽しみにしている観光客は多い。今季はプリっとした良質のカキが提供でき、喜んでもらっている」と話す。
 価格は店ごとに異なり、1800円前後。来年3月中旬までの販売を予定している。
 〈2021.12.21 あなたの静岡新聞〉
牡蠣カバ丼を提供している店舗にはのぼり旗が立つ=浜松市西区舘山寺町の舘山寺園

舘山寺温泉への誘客策 2010年に開発、地元食材ふんだん

 浜名湖の新たなご当地グルメとして、舘山寺温泉(浜松市西区)の観光関係者らが、浜名湖産のカキやノリなど地元食材をふんだんに使った「牡蠣(カキ)カバ丼」を考案し、売り出している。ウナギに続く新たな食の観光資源として発信し、浜名湖周辺への誘客、地域おこしを図る。

浜名湖産のカキなど、地元食材をふんだんに使った「牡蠣カバ丼」=浜松市西区舘山寺町の舘山寺園
浜名湖産のカキなど、地元食材をふんだんに使った「牡蠣カバ丼」=浜松市西区舘山寺町の舘山寺園
  舘山寺温泉観光協会の役員や旅館・ホテルの料理人、おかみらが2010年9月ごろから「地元の特産物を使って、全く新しいグルメを作ろう」と検討を重ねた。「ウナギほどメジャーでないからこそ、スポットライトを当てれば新しい魅力になる」(斉藤隆夫同協会事務局長)と、浜名湖で養殖の歴史が100年以上あるカキに目を付けた。
  意外性を演出するためにウナギかば焼き用のたれで味付けしたところ、カキの風味とたれの甘みが絶妙にマッチ。微妙な火加減で、浜名湖産の特徴のぷりっとした食感も残した。さらに浜名湖産のノリをまぶし、香り付けにすり下ろした三ケ日ミカンの皮をかけるなど、とことん地元食材にこだわった。
  取扱店は当初、同温泉やJR浜松駅周辺などの飲食店6店舗だったが、1カ月余りで9店舗に増えた。価格は1100~1500円。週末には同温泉の5店舗で1日に計200食売れるなど評判は上々だ。斉藤事務局長は「ウナギ以外にも食の選択肢が増え、お客さんも楽しんでくれている」と手応えを感じる。
  カキのシーズンは2月に終わるため、今後はシラス、カツオ、ハモなど、季節ごとの旬の食材を使った“浜名湖丼”シリーズを打ち出す予定。取扱店も広げ、マップ作りにも取り組む。問い合わせは同協会<電053(540)1730>へ。
 〈2011.1.4 静岡新聞夕刊〉

夏の“浜名湖ご当地丼” 「はもカバ丼」も追随

 遠州灘で漁獲されるハモをかば焼きにした「はもカバ丼」が5月、浜松市西区舘山寺町の料理店など14店舗で売り出される。ハモの骨切りや冷凍保存を行う加工場が地元に整備され、地域で食材の安定供給に向けた動きが進む。地元関係者は冬の「かきカバ丼」と並ぶ夏の“ご当地丼”として定着を図り、いずれはハモを多彩な料理に広めていく考えだ。

ハモのかば焼きをのせたはもカバ丼の試作品
ハモのかば焼きをのせたはもカバ丼の試作品
  遠州灘のハモは漁の開始が全国で最も早い「走りハモ」と呼ばれ、大きな身と脂ののった味わいが特徴。舞阪漁港(同市西区)では4~9月に10~20トンが水揚げされ、主に関西地方の市場などへ出荷されている。京料理の食材として有名なハモも、浜名湖周辺ではなじみが薄い。関係者は減少するウナギに代わる新たな地場食材として、ハモの活用を模索していた。
  はもカバ丼は湯引きしたハモをかば焼きのタレにからめて炒め、地元の旬野菜とともにご飯にのせて提供する。5年ほど前に地元料理店が売り出して好評を集めたが、定着には至らなかった。ハモの魚価は春に安く、需要が多い夏に向けて高騰する傾向があり、各料理店が夏場を通じて安定的に食材を仕入れることが困難だったためだ。
  今春、同市西区の水産卸販売業「海老仙」が同町のふぐ組合から加工場を借り受け、自社の加工場とともにハモの骨切り機を導入した。できるだけ春や夏前の値が安い時期に仕入れて冷凍保存することで、ハモを安定的に供給することが可能になるという。職人の数が減る中、手間を抑えればより手軽に使える食材として普及する可能性もある。
  同社は今後、天ぷらなど多様な料理の食材としても提案していく。加茂仙一郎社長は「浜松でハモが水揚げされているのを知らない人も多い。これだけおいしい食材があるのだから、いずれは和洋中の料理にも使ってもらいたい」と語る。
 〈2018.4.28 あなたの静岡新聞〉
地域再生大賞