コロナ緊急警報や変異種 静岡県内飲食店「休業要請、補償を」

 英国由来の変異型新型コロナウイルスの感染確認を受け、静岡県独自の「感染拡大緊急警報」が発令されてから一夜明けた20日。不要不急の外出や会食などの回避徹底の呼び掛けに、感染が判明した県東部の繁華街では夕方に家路を急ぐ会社員らの姿が見られた。首都圏などへの緊急事態宣言で県内でも客足が遠のく中、追い打ちを掛ける事態に、東部だけでなく中部の飲食業関係者からも休業要請と補償を求める声が上がった。

パーティション設置などの感染対策を行った飲食店。客数は大幅に減少しているという=20日午後、三島市
パーティション設置などの感染対策を行った飲食店。客数は大幅に減少しているという=20日午後、三島市

 通勤、通学者らが行き交う夕方のJR三島駅。長泉町の会社員(60)は感染力が高いとされる変異種に「怖いが移動しないと仕事に行けない。寄り道せず最小限の行動を心掛ける」と足早に帰路に就いた。
 JR沼津駅周辺。仕事帰りの会社員の男性(59)=沼津市=も「首都圏に近い県東部は、人の流れは止められない。変異種が広がらないといいが」と不安を口にした。
 飲食業者からの訴えは切実だ。三島市の食事どころ「松韻」は緊急事態宣言後に客が減り、平日の夜間営業をやめた。飛沫(ひまつ)防止パーティションなど対策は徹底したが、大隅京子統括マネジャーは「売り上げはひどいもの。上向く雰囲気は全くない。休業要請を出すなど方向性を明確に示して」と行政に注文する。
 JR沼津駅前で居酒屋「喜心」を営む立川和宏代表(54)も変異種判明に「店内の感染防止策をもう一段考えなければ」と気を引き締める一方、「全国一律で緊急事態宣言を発令し、補償してくれた方が安心できる」と訴える。
 静岡市葵区の呉服町や両替町でも「本日は休業します」という張り紙を貼った店が目立った。同区でスナック「エンゼル」を経営する石川文一さん(90)は「収入がなくなるので店を閉められない」と苦しい実情を打ち明け、店の規模や売り上げに応じた補助金の必要性を指摘した。

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